司法修習生の給費制復活を訴えるシンポジウムが1月21日、横浜弁護士会館で開かれた。弁護士でもある佐々木さやか参議院議員(公明)が登壇し、困っている障害者や高齢者らに対して、司法・福祉・行政が一緒に法的支援をする「司法ソーシャルワーク」の重要性を語った。
●「司法の側からアプローチしていく必要がある」
佐々木弁護士によると、これまでも自治体による無料法律相談や「法テラス」(日本司法支援センター)によるサービス提供はあったが、それだけでは対応できないケースが目立ってきているという。
司法ソーシャルワークのカギとなるのが、「アウトリーチ(現場出張)型の対応」。弁護士の側から困っている人のほうへアプローチしていくことだ。自分が法律問題を抱えていることをわかっている人は、自ら法律相談に出向くことができる。しかし、すべての人がそうした対応を取れるわけではない。
「認知力や判断能力に心もとないところがあって、自分から弁護士に相談しようというところまで考えられない人がいます。また、そもそも自分が法律的な問題に巻き込まれているということ自体、わからない人もいます。そういう人たちに対して、司法の側からさまざまなアプローチしていく必要があるのです」
そうしたアプローチのためには、弁護士ら司法の側が、行政や福祉など地域の様々な職種の人たちと連携していくことが不可欠なのだという。
佐々木議員は「ほとんどの人は、弁護士との接点はなくても、行政的、福祉的サービスを受けています。つまり、行政や福祉サービスに携わっている人が、問題の第一発見者になることが多いのです」と指摘する。
たとえば、ゴミ屋敷の住人に改善指導をしていた行政が、その住人を狙う「投資詐欺」の業者を発見した例もあるそうだ。
弁護士に頼るとなると、心配になるのが費用の問題だ。だが、司法ソーシャルワークの充実を経済的に後押しするために、弁護士費用などの負担を国が援助したり、建て替えたりする「民事法律扶助制度」を利用できる人の対象を広げる法改正に向けた動きが進んでいるという。
「これまでは、志の高い弁護士が個人的に、地域に密着して、障害者や高齢者への法的サービスを提供してきました。これからは、そうした取り組みを、制度として全国に広げていきたいです」
佐々木議員はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース) 2015年01月24日