研究成果など大学の知的財産を生かした社会貢献に取り組むために、崇城大(熊本市)の准教授が中心となって設立したベンチャー企業が、高齢者や障害者などの立ち上がりを補助する介助椅子「楽立楽座 たて~る」を開発した。一昨年の開業以来、初の商品開発にこぎつけた。ばねなど衝撃を吸収する部品を使って転倒を防ぐ設計で、すでに特許も出願。九州の介護施設などを対象に2月下旬から販売を始める予定だ。
開発に携わったのは同大のアハラリ・アリレザ准教授(工学)。2013年5月、有志とともに福祉用具開発製造会社「フュージョンテク」(熊本市)を設立後、リハビリ器具の開発を目指していた。介助椅子は、熊本市の介護施設を訪問した際、高齢者から「腰が弱って立ち上がるのがきつい。楽に立ち上がることができる器具がほしい」と要望を受けたのを機に、試行錯誤の末に誕生した。
電力の要らない手動で、体重30キロから90キロ以上まで設定できる。最初は強め、ある程度立ち上がったら弱めになる2段階式で、体重90キロの場合、座面は最初に約50キロ、次に約20キロの力で起き上がる。体重を軽く設定するほど、座面が起き上がる力が弱くなる。
アハラリ准教授と開発に関わった稲田雅嘉顧問は「体重よりも軽く設定すると立ち上がるのに自分の力がより必要になり、リハビリ効果もある」と話す。
組み立て業務は、福岡県大川市の通所施設「就労継続支援 大地」に委託。価格は3万円弱程度という。
フュージョンテク=096(342)4449。
椅子の座面が自動で起き上がることで、高齢者の立ち上がりを補助する「楽立楽座たて~る」
=2015/01/20付 西日本新聞朝刊=