大地震や風水害などの災害に備え、非常食の準備は欠かせない。数多くの商品がある中で、あすなろパン(北海道厚沢部町、江差町)製造の災害備蓄用「缶パン」が安定した人気を誇る。2014年度は約400万缶を出荷。売り上げは約8億円に達する。
あすなろパンは民間企業ではない。社会福祉法人江差福祉会(樋口英俊理事長)が運営する知的障害者授産施設。18歳以上の障害者と職員計約50人が働く。
パンは5年間保存できるのが特徴。缶の中にカップケーキ型の柔らかいパンが二つ入っている。殺菌性にも優れ、製法は特許を取得している。
製造のきっかけは1993年の北海道南西沖地震。「長期間保存できる食品を作れないか」。樋口理事長と職員らが検討。試行錯誤の結果、2003年に災害備蓄用缶パンの開発にこぎ着けた。ことし10月には水でかき混ぜるだけで食べることができる災害備蓄用おもち缶を販売する予定。
担当者は「常に新しいものを考えていかないと、生き残れない」。民間企業に負けない商品を作りたいという意気込みが伝わる。業績は順調、施設で働く障害者の工賃(給料)は全国の授産施設の中でもトップクラスという。
ちなみに「あすなろ」はヒノキ科の常緑木。日本では未来に希望を持つ若者に例えて用いることがある。施設の働き手は障害のある30代が多い。社会貢献し、将来性も期待できる職場。あすなろパンの取り組みは、創意工夫と意欲で、それが可能なことを示している。(K)
Googleの自動運転車が初めて公開されたのは2012年のことです。以来、Googleはテスト走行の大部分をカリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle本社の道路に制限して行っていましたが、ここにきてテキサス州オースティンに進出しました。
ワシントン・ポストおよびWearoboによると、Googleはオースティンのシンカリー博物館にて、自動運転車の発表を行いました。自動運転車(Lexus RX450h)にドライバーレス技術を追加したものに加えて、ポッド型の試作車も開発中とのこと。
Googleは、自動運転車プロジェクト・ウェブサイト上でオースティンをテスト地域とすることを発表し、テスト車には「Lexus SUVの改造車と新たな試作車」を含むと述べています。これまでGoogleの試作車はマウンテンビューにあるGoogleキャンパスでのみテストされていました。この自動運転車には実際に人が運転できるように取り外し可能なハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルが備え付けられる予定です。
なぜ、オースティンで自動運転車のテストを行うのでしょうか。Googleが挙げている理由は納得のいくものです。この街はテクノロジーとスタートアップの中心地で、将来有望なエンジニアリングの人材に満ち溢れています。それだけでなく、Googleが独自の実験的な試み、ギガビット接続のGoogle Fiberインターネットサービスをこの地域に提供していることも理由の1つです。
Google自動運転車プロジェクトは、2010年に初めて発表されました。車には、一般乗用車にGoogleの技術を後付けした改造車もありますが、他はカスタムメイドです。昨年の2014年、2人がけシートの小さな試作車がお目見えしましたが、従来のどんな車よりもまさに「走るリビングルーム」といった感じでした(ハンドルすらついていないので)。
しかし、現在GoogleはテストをLexus改造車に限定しているようです。他の自動運転車モデルが実現するのかどうか、そしてそれはいつごろなのか、まだ発表されていません。Googleは高速道路のテスト走行を無事故で合計30万マイル(48万km)達成したと報じられています。ただし、ワシントン・ポストによると、速度は25マイル/時(約40km/時)に制限されているそうです。
もし計画通りに行ったとしたらどうなるでしょう。Googleの自動運転車プロジェクトは、輸送や燃費にとって福音となりますし、言うまでもなく、ドライブ中に人々がより一層リラックスしたり、仕事に時間を使えるようになるというメリットもあります。視覚障害者、身体障害者、高齢者といったドライバーにとってはもっと深い意義があります。しかも、自動運転車マーケットにはTeslaやAppleも参入してくる模様です。
警視庁は7日、東京都八王子市美山町の福祉施設「多摩藤倉学園」から行方が分からなくなっている中学3年、松沢和真さん(15)の顔写真を公開した。同庁によると、松沢さんは重度の知的障害を持っており、名前や住所を話すことができない。
同庁によると、4日午後4時45分ごろ、同学園の生活棟の自動扉から1人で外へ出る様子が防犯カメラに映っていた。目撃情報などから、その後はバスに乗って京王線高尾駅(同市)から電車に切符を買わずに乗車。午後5時35分ごろ、高尾山口駅(同)の改札を無理に通過する様子がカメラに映っていたという。
松沢さんは身長172センチで中肉、短髪。所持品はなく、紫色の長袖シャツに紺色長ズボン、紫色サンダルを身につけていた。シャツの首の裏のタグに「マツザワ」と書いてあるという。情報提供は八王子署((電)042・645・0110)。
警視庁が公開した福祉施設から行方不明となっている松沢和真さん
2015.9.7 産経ニュース
◇9、10日 うめきた 「障害者への先入観 覆して」
病気やけがのため義足をつけ、趣味やスポーツを楽しむ女性たちを撮影した写真展「切断ヴィーナス」が9、10両日、大阪市北区のグランフロント大阪で開かれる。出品するのは東京五輪・パラリンピックの招致スピーチで写真が紹介された大阪出身の写真家・越智貴雄さん(36)で、「障害のイメージを覆す彼女らの魅力的な姿を見てもらいたい」と話す。(斎藤七月)
越智さんは、大阪芸術大在学中の2000年、シドニー大会で初めてパラリンピックを撮影。義足でトラックを駆ける選手らを見て、「障害者に対する『かわいそう』という考え方が、『かっこいい』に180度変わった」と話す。
その後、アテネ、北京パラリンピックなど多くの障害者スポーツを撮影。インターネットに情報サイトを作るなど、障害者スポーツの魅力を発信してきた。13年の東京五輪・パラリンピック招致で、プレゼンターを務めたパラリンピック選手の佐藤真海さんのスピーチの最中に映し出された佐藤さんの写真も撮影した。
約10年前に取材で知り合った義肢装具士の臼井二美男さん(60)に教わったのは、「義足は隠すものではない」ということ。臼井さんは、義足に花柄のデザインを取り入れたり、ヒールが履ける仕様にしたり、女性のおしゃれ心に応える仕事を続けていた。
臼井さんの義足をファッションの一部として使う女性もおり、越智さんは「この姿を見れば障害者への先入観は崩れる」と、臼井さんを通じて協力を得た10~50歳代の女性11人を撮影。昨年5月、写真集「切断ヴィーナス」を出版した。
写真展は昨年5月と12月に東京で開いているが、関西では初めて。今回は写真集に収めた14枚と新作計約30枚を出展。陸上やサーフィンに打ち込む女性らの写真が並ぶ。
メタリック仕様の義足で大型バイク・ハーレーダビッドソンにまたがって撮影に協力した村上清加さやかさん(32)(東京)は、100メートル走と走り幅跳びでパラリンピックを目指しているといい、「かっこいい義足が私の世界を変えてくれた。見た人が前向きな気持ちを感じてくれたらうれしい」と語る。
義足をいとおしそうに抱きしめる写真が目を引く小林久枝さん(52)(横浜市)は、先天性の病気で5年前に右足を切断したが、義足になり、これまで諦めてきた趣味のサーフィンを再開し、陸上も始めた。「やってみたいことは何でも挑戦してみようと思えるようになったのは義足のおかげ。今の自分のほうが好き」と笑った。
越智さんは「これからも力強く、自分らしく生きている女性たちを追いかけたい」と話している。
12日には、同じ会場で義足の女性たちによるファッションショーも行われる。いずれも入場無料。問い合わせは、越智貴雄写真事務所(0422・52・1152)へ。
仙台市太白区長町南の住宅街に「共生型福祉施設」が登場した。障害児・高齢者向けのデイサービスや障害者の就労支援、小規模保育園と複数の事業を同じ建物で手掛ける新たなタイプの施設。障害の有無にかかわらず、子どもや大人がアットホームな環境で過ごす。「地域の交流拠点に」と夢も広がる。(報道部・河添結日)
◎デイサービス、カフェ、保育園が共存 互いを認め合う場に
<家庭的な雰囲気>
「こんにちは」
心身に障害のある子どもたちが元気よくあいさつし、「放課後等デイサービス」を受けに来た。スタッフが明るく出迎える。自宅にいるかのような温かい雰囲気だ。
施設は「みんなのおうち太白だんだん」。NPO法人「ワーカーズコープ」(東京)が昨年7月、国などの補助金を活用し、2階建ての倉庫を改装して開設した。
1階にランチやコーヒーを楽しめるカフェ、2階にデイサービス施設と小規模保育園を配置した。カフェは地域にも開放しており、月2回、住民が作った手芸品の販売や地場産野菜の販売会を開いている。
若林区の清水美紀さん(49)はカフェの調理スタッフとして働き、中学2年の娘を週2回デイサービスに預ける。娘を通わせるための面談の際に「働いてみませんか」と声を掛けられた。「娘の顔が見えるので安心できる。近くにいるので娘も落ち着くと思う」と話す。
<働く場所を提供>
施設は、企業での就労が困難な障害者に働く場を提供する「就労継続支援B型施設」でもある。週1回以上通う利用者は約20人。カフェでの接客や皿洗い、施設の清掃といった作業に励む。
「できないことに無理に取り組むのではなく、できることをやれる環境がある。『できた』という実感を通じて自信を取り戻せる」。てんかんを患う宮城野区の大場幸雄さん(37)は週3回、カフェの調理や清掃に通う。「仲間と会うと楽しい。自分にとって大切な居場所です」と言う。
既存の福祉施設は高齢者なら高齢者、障害者なら障害者などと対象別に分けられることが一般的だ。保育園もある「みんなのおうち」のような例は珍しい。
佐々木禎史施設長(48)は「多様な利用者がともに過ごすことで互いを認め合う雰囲気になる」と語る。開設してから1年余り。「いろんな世代の人が交流できる地域循環型のコミュニティーにしたい」と願う。
【メモ】
カフェは水曜を除く平日と第1、第3土曜に営業(午前11時~午後3時半)。ランチ提供日は火曜、木曜と第1、第3土曜(午前11時半~、なくなり次第終了)。限定30食で550円。野菜や手芸品の販売などを行うイベントは第1、第3土曜の午前10時~午後3時。連絡先022(796)7261。
カフェでくつろぐ利用者やスタッフら
2015年09月07日 河北新報