【厚岸】釧路管内厚岸町で障害者の通所授産施設を営むNPO法人「のんき村」が9月から、施設で栽培した無農薬野菜を町内全域と周辺4市町の一部に宅配する事業を始めた。1人暮らしで買い物が大変な高齢者が増えており、宅配を通じて地域に貢献する目的。障害者にとっても自信と励みにつながっている。道保健福祉部は「道内の障害者施設が広範囲に無農薬野菜の宅配に取り組む例は聞いたことがない」と注目する。
9月上旬、厚岸町の公営住宅の玄関先。のんき村の通所者の松葉大輔さん(19)が無農薬のハクサイとキャベツ、ジャガイモを届けると、1人暮らしの加茂ノリ子さん(71)が「のんき村の野菜は新鮮で安全。すごく助かる」と声を弾ませた。初配達を終えた松葉さんは「自分たちで作った野菜を食べてもらえるのがうれしい」とはにかんだ。
のんき村は1997年、代表の小野寺敏雄さん(65)が重い知的障害のある長男のため、酪農家を辞めて設立し喫茶店経営や野菜栽培などを始めた。2005年にNPO法人となり、現在は厚岸町と隣町の釧路管内浜中町から知的障害者や身体障害者ら17人が通う。
無農薬野菜は施設内の2ヘクタールで栽培。畑に草をすきこみ、有機栽培に不可欠な微生物がすみ着きやすい土をつくる農法に取り組む。野菜はこれまでもイベントなどで販売していたが、9月からジャガイモやニンジン、カボチャ、枝豆など10種類の宅配を始めた。
宅配先は厚岸町全域と、釧路市、釧路管内標茶町、釧路町、浜中町の一部が対象で、11月13日まで。時間は平日の午前10時~11時、午後1時~2時。問い合わせはのんき村(電)0153・57・2232へ。
09/22 北海道新聞