ゴエモンのつぶやき

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『聞こえない高校球児』がフランス一人旅へ ~「世界のろう者に会いたい」

2015年09月25日 01時52分31秒 | 障害者の自立

第97回全国高校野球・東東京大会で話題になった「聞こえない捕手」玉田宙くんをご記憶の方は多かろう。都立大森高校野球部、生まれつき両耳が聞こえない正捕手の武器は身ぶりやグラウンドの土を使った筆談だ。

高校野球東京予選4回戦で強豪・関東一高に敗退して宙くんの高校野球は終わったが、彼の夏には続きがあった。フランスへの一人旅に行ってきたのだ。

旅は10日間。宙くんは同じ年(17才)のろう者リザンドラさんをフランス郊外の街ポワティエに訪ねた。滞在はリザンドラさん宅。旅の間はノートルダム寺院、モンマルトルの丘、といった定番の観光を楽しむかたわら、パリやポワティエのろう学校を訪ねたり、世界のろう学校発祥の地を訪れたりもしたそうだ。旅の様子はフランス在住の映画監督・藤原亜希さんの手でドキュメンタリー映画として制作される予定だが、それに先立って、宙くんに旅のことを聞いてみることにした。

■ 怖くはない。どんな体験ができるかが楽しみで。


若松:フランス旅の直接のきっかけは、パリを拠点に活動する映画監督・藤原亜希さんがドキュメンタリー映画を制作したいと宙くんに会いに来たことだと聞いています。しかし、出会っただけで「フランスに行くぞ!」とはならないですよね。どんな気持ちからフランス行きを決意なさったのですか?それとも、昔から海外一人旅に興味があったのですか?

宙くん:はい、興味がありました。六年前のことですが、兄と二人でイギリスの叔父さんの家へ行った事があります。その時に、ロンドンで英語が分からなくて困っている兄を見て、僕も何とかしなきゃと思いました。兄がひとつずつ問題を解決するたびに嬉しくて、いつか自分でもやってみたいと思いました。

宙くんのお母さま、さとみさん:ロンドンヒースロー空港からブライトンまで2時間半の道中、チケット詐欺に遭いそうになったり、電車の乗り換えがわからずロンドンの町をうろついたり、いろいろあったようです。長男の話では、宙はちょっと目を離すと店に入って行ったり、アイスを見るとねだったりと、好奇心が強く楽天的で世話をするのが大変だったそうです。

一方、宙の話では、兄はちっとも英語を使わず、わからないなら身振りでいいから誰かに聞けばいいのにと思ったそうです。

若松:フランスへ旅に出るのは、怖くはありませんでしたか?

宙くん:イギリスで経験したことがとても楽しかったので、海外一人旅とはどんな体験ができるか知りたくて、逆に楽しみでした。

■ 「どうやって人とコミュニケーションをとるかを考えるのが大好き」


若松:映画制作のための資金はクラウドファンディングで集めていると聞いています。そのサイトReadyfor.jp のなかで宙くんは、“ろう者は『聞こえる人よりできない人』ではなく、『聞こえる人にできない事で、ろう者にできることもある』” と語っていますね。聞こえる私たちにはイメージができない部分でもあります。宙くんにできて、私たちにできないコミュニケーションってどんなものですか?

宙くん:僕は声と言うものを信用してないから、どうやって人とコミュニケーションをとるか考えるのが大好きです。フランス人も英語があまり得意ではないので、英語の筆談を少しと、身振りとでコミュニケーションをとりました。通じたときの喜びが何とも言えず楽しいです。

見知らぬフランス人にホテルまでの道を聞いたり、お店の人におまけしてもらったりしました。帰りの飛行機では隣に座ったフランス人と友だちになって、彼の通訳や案内をしたりもしました。

監督の藤原さんと打合せをしたときに、(フランスでの)ホテルの場所を詳しく教えてくれようとしたので断りました。代わりにホテルの名前と住所と通りの名前をフランス語で書いてもらいました。僕は、それを使って現地のフランス人にホテルまでの道を教えてもらおうと思っていたからです。

はじめからわかっていることをやるのは面白くないです。見えないこと、わからないことに挑戦するから、クリアしたとき最高に気持ちがいいのだと思います。

■ 「寿司を食べようとしたら醤油に蜂蜜が入っていてがっかり」


若松:フランスでホームステイしたブータン家はリザンドラさんのお宅ですか?

宙くん:はい、そうです。僕が行ったときは、ちょうど引っ越しやアパートのリフォームをしている最中だったので、それを手伝うはめになりました。大変だったけど面白かったです。

若松:ホームステイ、初めてだったと思います。どんなお宅でしたか?そして、率直にどんな感想をお持ちになりましたか?

宙くん:自分の想像より家が広くて、驚きました。賑やかで雰囲気も良く住みやすそうだなと感じました。初対面のときから心を開くことができ、とても楽しかったです。

日本手話とフランス手話は違う言語だけど、3日目には日常会話に苦労しませんでした。手話の文法で似ているところがあるのと、お互いにろう者として同じような経験をしているので、通じやすいのです。

食べ物は、日本の方が美味しいです。寿司を食べようとしたら醤油に蜂蜜が入っていてがっかりしたり、カップラーメンも甘くてまずかったですね。

でも、パンは最高に美味しくて毎日パン屋に通いました。2日めに、お店の人が残ったシューケットをおまけしてくれました。フランスのパンはパリパリで美味しくて、それに比べると日本のパンはガムのようで僕にはまずく感じます。

■夢は聴覚障害者も楽しく生きられる日本。


若松:旅を追えて帰国しました。宙くんには何か変化がありましたか?

宙くん:フランス人ろう者と日本人ろう者の違いがわかりました。フランス人ろう者は、自分たちの歴史をみんな知っていました。中世のろう者がどんな生活をしていたのか、どんな教育を受けてきたのかを知っています。そしてろう者としてのアイデンティティをもっています。日本のろう者は歴史をあまり知らないし、アイデンティティをもたない人も多くいます。それは、フランスに行ったからそこわかったことです。

おかげで、次の目標や挑戦などが見えてきました。それは大きな壁だけど、乗り越えられるように頑張りたいと思います。

若松:宙さんの次の夢はなんですか?あるいは、ほかの国にも行ってみたいと思うようになりましたか?

宙くん:僕の夢は、ろう者だけじゃなく聴覚障害者(ろう者・難聴者・中途失聴者)が楽しく生きられるようにすることです。誰もが幸せな生活を送れる社会にしたいです。

そのためには、海外のろう者の力を借りる必要があります。だから世界中に行ってみたいです。聴覚障害者に対する支援は日本より世界の方が優れているからです。僕は世界中のろう者のネットワークを使って、日本のろう者と聴覚障害者が社会の中で幸せに暮らせるようにしたいです。

■ 宙くんの旅から見えるコミュニケーションのヒント

ここまで、宙くんのインタビューをお読みいただいた。このインタビューを通じてもっとも強く感じたのは、宙くんはそもそも、コミュニケーションを難しいものだとは“これっぽっち”も思っていないということだ。

それには、野球部でチームメイトと連携をとっていた経験が生きているかもしれないし、『フランスのパンはパリパリで美味しくて、それに比べると日本のパンはガムのようだ』という豊かな感性もあるかもしれない。しかし、何より一番の理由は、宙くん自身の「未知をおもしろがる心」だとも想像する。宙くんの話、みなさまはどうお読みになっただろうか。


若年認知症 来年度から全国に支援員 医療や福祉連携

2015年09月25日 01時48分29秒 | 障害者の自立

 六十五歳未満の若年性認知症の人や家族を支援するため、厚生労働省は二〇一六年度から、都道府県に専門のコーディネーターを配置する。働き盛りで発症する人も多く、認知症への知識不足で受診が遅れたり、仕事を続けられずに経済的に苦しくなったりすることから、医療・福祉・就労の関係機関とのつなぎ役として生活全般をサポートする。 

 厚労省推計(〇九年)によると、若年性認知症の人は全国に約三万八千人で、平均の発症年齢は五一・三歳。認知症の高齢者(一二年、四百六十二万人)に比べて少ないが、職場や家庭でさまざまな役割を担っており、支援が不十分だとの指摘があった。

 コーディネーターは認知症介護の経験や専門知識がある人を想定。自治体が委託した社会福祉協議会や医療機関に常勤として少なくとも一人を配置、国が人件費などを補助する。

 若年性認知症の人に対する厚労省研究班の生活実態調査(一四年)では、就労経験がある約千四百人のうち約八割が勤務先を自ら辞めたり、解雇されたりしたと回答。突然、収入源を絶たれるなど深刻な影響が出ている。

 一方で、早期治療によって症状の進行を抑えられることもある。コーディネーターは発症から間もない場合に企業との勤務調整に当たったり、職場復帰や再就職を支援したりする。主治医と連絡を取りながら病状を把握し、障害年金や医療費助成といった社会保障の情報も伝える。

 このほか、介護の負担が配偶者に集中することから、介護保険の利用についての助言や家族の心のケアに応じる。近隣の専門医や若年性認知症に対応したデイサービスなども紹介する。

 東京都はすでに一二年からコーディネーターを配置。社会福祉士や作業療法士ら計三人が相談に応じ、介護の利用や障害者手帳の発行など行政手続きを手助けする。兵庫県も専門の相談員を置いている。

 <認知症> 脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、徘徊(はいかい)などの症状が出て日常生活に支障が出る状態。厚生労働省によると、2012年に認知症高齢者は462万人で、25年には675万~730万人に増え、65歳以上の約5人に1人に上ると推計されている。高齢者はアルツハイマー病が最も多い。一方、65歳未満が発症する若年性は、脳梗塞などが原因で起こる血管性認知症が4割を占める。政府は今年1月に策定した認知症対策の国家戦略で、介護する家族らへの支援や研究開発の推進を掲げている。

2015年9月24日   東京新聞


125団体と349人表彰 県地域福祉推進大会

2015年09月25日 01時43分37秒 | 障害者の自立

 第10回県地域福祉推進大会(大分合同新聞社後援)が別府市のビーコンプラザであった。
 県内の民生・児童委員、老人クラブ会員、社会福祉施設職員など約2500人が出席。広瀬勝貞知事が「子育て家庭や高齢者、障害者らの支援に取り組み、県民が安心して暮らせる社会を実現させよう」とあいさつ。社会福祉の向上に尽くした349人と125団体を表彰した。知事表彰などを受けた民生・児童委員の松田靖善さん(中津市)が謝辞を述べた。
 「笑いと福祉とボランティア」をテーマに、落語家の笑福亭学光(がっこ)さんの講演会もあった。
 県や県社会福祉協議会などが、社会福祉関係者の連携強化などを目的に毎年開いている。

※この記事は、9月23日大分合同新聞夕刊11ページに掲載されています。