天皇陛下は23日、84歳の誕生日を迎えられた。皇居では譲位日が「平成31年4月30日」と決まってから初めての一般参賀が行われ、平成に入って最多の5万2300人が祝福に訪れた。
午前中、陛下は皇后さま、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、長女の眞子さまとともに宮殿「長和殿」のベランダに計3回姿を見せ、マイクを通じて「誕生日に当たり、皆さんの祝意に深く感謝いたします」と述べられた。
さらに、「台風や豪雨により被害を受けた地域の人々、また、東日本大震災など過去の災害により、いまだ不自由な生活を送っている人々のことを深く案じています」と語りかけ、自然災害の被災者への気遣いを見せられた。
障害者にも心を寄せられてきた天皇、皇后両陛下。参賀者が集まる宮殿東庭の最前列には、車いすの人たちのために最前列のスペースが用意されてきたが、今年は初めて耳が不自由な人たちもその近くに案内され、陛下のお言葉が手話で同時通訳された。
一般参賀の前後には、御所と宮殿で祝賀行事が分刻みで行われた。陛下は午前9時半、皇后さまとともに御所で侍従長ら側近からお祝いのあいさつを受けた後、宮殿にご移動。宮内庁長官ら幹部職員、相談役の参与、御用掛と面会された。皇太子ご夫妻をはじめとする皇族方からのご祝意も受けられた。
続いて、安倍晋三首相ら三権の長による「祝賀の儀」があり、午後1時からは大食堂の「豊明殿」で首相はじめ閣僚、衆参議員、都道府県知事と配偶者ら約460人を招いての「宴会の儀」が催された。平成28年度の文化勲章受章者である前衛美術家の草間彌生さん、ノーベル医学・生理学賞受賞者の大隅良典さんらも招待された。
冒頭、陛下は「皆さんと祝宴をともにすることを誠に喜ばしく思います。この機会に国の発展と国民の幸せを願い、合わせて一同の健康を祈ります」とごあいさつ。安倍首相が「一同を代表してお祝いとお礼の言葉を申し上げます」と述べた。テーブルには鯛の尾頭付きやかまぼこなどの料理が並び、大島理森衆院議長の発声で乾杯をした。
各国の駐日大使夫妻を招いての「茶会の儀」では、皇太子さま、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方とともに交流を深められた。
午後6時から未成年の孫である敬宮(としのみや)愛子さま、悠仁さまが御所でお祝いのごあいさつ。同6時半から皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、黒田清子さん夫妻とお祝いの夕食を囲み、ようやくプライベートな時間を持たれた。宮内庁によると、陛下はこの日、宮殿内を約3・1キロ、陛下お一方での行事もあるため、皇后さまはやや少ない約2・9キロを歩かれた計算になるという。
27日には、両陛下と皇族方、元皇族、ご親族が宮殿に集まり、年末恒例の昼食会を開かれた。
両陛下は25日、タイのチュラポン王女を御所に招き、昼食をともにされた。王女は昨年10月に死去したプミポン前国王の三女で、東京大の諮問委員会の一員として来日。車寄せで出迎えた両陛下はにこやかな表情で王女と握手し、言葉を交わされた。
宮内庁の山本信一郎長官は28日の定例会見で、江戸末期の光格天皇以来約200年ぶりの譲位が決まった1年を振り返り、「非常に意義のある年だった。象徴天皇として譲位が先例となりうるという意味では、深い歴史に刻まれるだろう」と述べた。また、来年以降の準備作業に向けては「円滑なお代替わりとなるよう取り組んでいきたい」と強調した。
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天皇陛下の84歳の誕生日を祝う般参賀で、訪れた人たちに手を振られる天皇陛下=23日、皇居・宮殿「長和殿」
2017.12.30 産経ニュース
皇室ウイークリー 2017 12.31 8:30