県は平成28年度の県内の障害者に対する虐待状況を発表した。障害者が家族や福祉施設の職員らから虐待を受け、県や市町村が受けた相談や通報の件数は前年度比54件増の287件だった。そのうち、虐待と認定されたのは同19件増の116件。相談や通報、虐待と認定された件数は調査開始の24年度以降、ともに過去最高を更新した。
県によると、福祉施設の職員らによる虐待の相談や通報は同53件増の100件と倍増した。そのうち、虐待と認定されたのは同11件増の25件だった。
虐待行為の内訳は、「身体的虐待」が16件、「心理的虐待」が12件、「経済的虐待」が3件、「放棄・放置」と「性的虐待」がそれぞれ2件だった。虐待を受けたのは男性26人、女性4人。被害者は知的障害が27人で最も多かった。
福祉施設の職員から虐待を受けたとの相談や通報が倍増した背景について、県では「(28年の)神奈川県相模原市の障害者施設殺傷事件の影響で通報への意識が高まったため」とみている。
県や市町村では虐待が認められた施設に対し、指導や改善計画の提出要請、報告聴取や立ち入り検査などを行ったとしている。
一方、家族らからの虐待の相談や通報は同1件増の187件。そのうち、虐待と認定されたのは同8件増の91件だった。
虐待行為の内訳は「身体的虐待」が64件、「心理的虐待」が25件、「放棄・放置」が13件、「経済的虐待」が11件、「性的虐待」が4件。虐待を受けたのは男性30人、女性61人。被害者は知的障害者が最も多く50人だった。
県は市町村の担当職員や相談支援専門員、施設職員向けの研修などを通じて、障害者への虐待件数を減らしたいとしている。
産経ニュース