害者雇用の変革に取り組む成澤俊輔氏。成澤氏は3歳の時、徐々に視力を失う難病と診断され、現在ははわずかに光を感じるのみだという。大学時代には、ひきこもりを経験するも克服し、経営コンサルなどを経験し、独立した。現在は、障害者が安心して働ける環境整備と、就労訓練などを提供するNPO法人の理事長を務めている。
――成澤さん、障害者が安心して働ける環境とは、どういったことなんでしょう?
私たちは就労困難な方、家族、支援者、行政、企業の皆さんに「働く」を通じて「大丈夫」と申し上げるのが仕事です。
私たちのところには10~20代で、不登校、いじめ、学校の中退を経験した若い職業経験がない人や、30~40代の中高年の引きこもりといわれる、大学とアルバイトはできたけれども働けていない、もう30歳だが自分の親は介護や年金だという課題を抱えている人、そして50~60代で大企業を早期退職してしまったり、エンジニアで鬱病になってしまったり、障害を持ってしまった人たち――そんなそれぞれの人たちに自分の強みや特技を生かしながら働ける環境をつくりたいなと思っています。
――そういった方々の強みを見つけるために、どういった工夫をされているんでしょうか。
大きく分けると2つあるかと思います。まずは家族から協力をしてもらうことですね。特に若い働きづらさがある子どもたちの親御さんに、「息子さん、娘さんの強みってなんですか、いい所ってなんですか」と聞くんです。毎日朝7時に起きられたり、しっかり挨拶ができることでも十分強みだよと。その強みや好きなこと、得意なことを、家族に意識をしてもらうことなどを大事にしています。
2つ目は、いろんな仕事を経験してもらうことかなと思っています。おそらく仕事というのは「パソコンを使う/使わない」「1人で行う/チームで行う」「マニュアルがある仕事/臨機応変な仕事」、この6つに分けられるかなと思っています。
キッザニアのように、様々なシーンやシチュエーションで、いろんな仕事の経験をしてもらうことで、「これは自分に向いているな」「これ嫌だな」「週3日、6時間だったらデータ入力の仕事できるな」「小さいチームでの働き方って嫌だな」とか、そんなことを感じてもらえたらなと思って、マッチングや支援をしています。
【the SOCIAL guestより】2018年1月15日
厚生労働省は15日までに、重度の知的障害者が暮らす大規模入所施設「国立のぞみの園」(群馬県高崎市)の事業を縮小する方針を決めた。入所者が減っているためだ。現在は国の独立行政法人が運営しているが、民間への移管や場所の移転も検討する。
3月までに有識者検討会が報告書をまとめ、工程表を示す。2018~22年度の5年間で細かなスケジュールなど具体化に向けた議論を進める。
のぞみの園は1971年、障害者を終生支援する唯一の「国立コロニー」として、山間部の232ヘクタールの広大な敷地に定員550人で開園。だが2003年以降、国は障害者が地域で生活するよう移行する方針に転換、長期入所者は17年4月に約220人まで減少した。
厚労省は(1)社会福祉法人などの民間に運営を移管(2)診療所や就労支援など付帯事業の縮小、廃止(3)山の上の現在地から市街地への移転――などを検討している。
ただ、平均入所期間が40年を超え、平均年齢も65歳超と高齢化が進んでいるため、本人や家族に不安が生じないよう最後まで責任を持って支援するとしている。期間限定で受け入れている行動障害が著しい人のサポートも続ける。
2018/1/15 日本経済新聞
富士市と市教委は14日、障害や精神的苦痛などさまざまな理由で成人式に出席しづらい新成人のための「もうひとつの成人式」を市教育プラザで開いた。通常と別日程の成人式は同市で初の取り組み。振り袖やスーツ姿の静岡県立富士特別支援学校の卒業生22人が参加し、保護者らが新成人の門出を祝った。
市が行う通常の成人式は約2時間。市内全域の新成人が集まり、例年、2千人前後が参加する。もうひとつの成人式は、障害がある新成人の保護者から「参加したいが、長時間座っていることができない」という相談をきっかけに始まった。
障害者だけでなく、性的少数者(LGBT)やいじめ経験者などの理由で式に参加しない新成人がいることも想定し、対象者を限定せずに参加希望を募った。式典時間は約20分間に短縮し、参加しやすい形に配慮した。
式典には小長井義正市長や望月昇議長、同校の教員らも参列し、それぞれ祝辞などを述べた。新成人は友人や恩師らとの再会を喜び合い、写真撮影などを楽しんだ。新成人の父親(52)は「娘は同級生と会えるのを楽しみにしていた。短時間の式典は良いと思う」と話した。
恩師との再会を喜ぶ新成人ら
2018/1/15
成人期の発達障害者支援について考えようと、発達障害当事者協会などは14日、大阪市中央区の大阪産業創造館で「発達障害当事者会フォーラム」を開催した。
発達障害当事者の交流や情報交換の場となる「当事者会」の活動に関し、同協会が全国の発達障害者支援センターや当事者会に行った調査結果について報告。当事者会は孤立しがちな当事者同士が緩やかにつながることができる「居場所」としての機能があるものの、運営資金や当事者同士のトラブル対応などに課題があることが示された。
後半は、大阪、兵庫、愛知の当事者会の代表や専門家らがパネルディスカッション。当事者会では就労や恋愛についての相談が多く寄せられていることなどが紹介された。また、発達障害者支援センターや専門家による当事者会への支援の在り方などについて活発に意見が交わされた。
2018.1.15 産経ニュース
世界各国の政府が外国企業による自動運転車の普及を阻むことを中国インターネット検索大手、百度(バイドゥ)の自動運転車プログラム責任者が警告した。自動運転車が「凶器化」することが懸念されるためだ。
百度の陸奇・総裁兼最高執行責任者(COO)は、安全面の懸念は米国や中国などの世界的な自動車メーカーやテクノロジー企業にとって障害になり得ると述べた。
陸氏は先週、世界最大の家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)の関連イベントで、「特にどの国の政府がどうということではなく、これは自動という性質そのものの問題だ」とした上で、「自力で動くことのできる物体は当然、凶器になる」と述べた。
自動運転技術は規制が追いつかないほど急速に発展しているという見方が増えている。各国の中央・地方政府は自動運転車の公道での走行をいつ、どのような条件下で許可するかという難題に取り組んでいる。
陸氏は、多国籍企業は自動運転に関する各国政府の要件を満たすという「高いハードル」に直面するだろうとした上で、「どこか1カ所で生産された車が世界各国を走る時代は終わった」と語った。
その一方で、世界最大の石油グループであるサウジアラビアの国営サウジアラムコの最高技術責任者が、気候変動問題に取り組むために、電気自動車を待つのではなく、従来型エンジンの効率が改善することに注目していると述べた。
米デトロイトで14日に開幕した「北米国際自動車ショー」に先立ち、アハマド・アル・ホワイテル氏は、21世紀半ばまでは約90%の車がまだ内燃機関で動いているというのが一般的な見方で、温暖化ガスを削減できる可能性が一番大きいのはエンジン性能を高めることだと指摘した。
■中国2社、来年にも自動運転車を生産
百度は中核事業のインターネット広告から人工知能(AI)へ事業の多様化を試みており、自動運転車のソフトウエア「アポロ」に多額の投資をしている。アポロにはどんな企業でも新たなソースコードを提供することが可能だ。
同社は既に米フォードや独ダイムラーといった欧米の自動車メーカーに加え、インテルなどの米半導体メーカーとの提携にも合意している。また、中国では、安徽江淮汽車集団(JAC)や北京汽車集団(BAIC)といった国内メーカーと協業しており、これら2社はアポロをベースに、早ければ来年にも自動運転車の生産を開始する予定だ。米マイクロソフトから1年前に百度に移籍した陸氏は、自動運転車は、路上での事故や意図的なテロ行為による死者数を減少させるはずだと述べた。
車が意図的に歩行者をはねたロンドンや米バージニア州シャーロッツビルの事件に言及し、陸氏は「自動運転車は将来、誰が運転しようと、目の前に人を検知したら動かない仕組みになる」と述べた。
陸氏は、自動運転は「圧倒的に大きな恩恵」をもたらすが、企業と規制当局、政治家が意見交換を重ねることなしに、これが実現することはないと指摘した。「私が見たところ、安全を確立するまでの道のりは長い旅になる」と同氏は述べた。
By Tim Bradshaw
(2018年1月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)