厚生労働省は2018年度、障害者の芸術文化活動を促進する補助事業の仕組みを見直す。補助対象を従来の民間団体から、より地域の実情に詳しい都道府県に切り替え、活動を全国に根付かせる。18年度は30都道府県以上への補助を見込み、関連経費を同年度予算案に計上した。19年度には全国に広げる考え。
障害者の芸術作品は「アール・ブリュット(生の芸術)」とも呼ばれ、国内外で高く評価されている。ただ、障害者がサービス事業所などで絵を描いたり、造形物を制作したりしても、事業所の職員だけで芸術的な価値を見いだすことは難しい。
このため、厚労省は各都道府県に「障害者芸術活動支援センター」の設置を進めていく方針だ。センターでは、芸術活動全般に関する相談を受け付けたり、作品の保存方法や著作権の在り方などを助言したりする。また活動を支援する人材育成やネットワークづくりにも取り組んでもらう。企画展や演劇祭、音楽会の開催などを通じて、障害者と健常者の交流を促す役割も期待している。
事業に対する国の補助率は2分の1。支援センターの運営については、都道府県直営や、同様の事業を展開している民間団体への委託など形態を問わない方針だ。同省は全国7ブロックで支援センターを助ける広域の拠点と、全国の活動を統括する事務局も設置する。
(2018/01/20-時事通信 )