KDDIの取り組みを取材
キャッシュレス決済の進展で、障害者が能力を活かせる場が広がりそうです。KDDIの取り組みを取材しました。
●障害者が多岐にわたり活躍
ダイバーシティ(多様性)を社内哲学として掲げるKDDIグループは、子会社の『KDDIチャレンジド』を通じ、障害者を積極雇用。1月16日時点で計121人の障害者を雇用し、内訳は知的障害が41人、身体障害が15人、精神障害が65人だといいます。特に、鬱や発達障害などを抱える精神障害者が多く、その理由についてKDDIチャレンジドの池内公和氏(事業1部長)は次のように説明します。
「当初は身体障害者を中心に雇用していました。しかし、軽度の身体障害の方は売り手市場。我々が必要としても採用が難しいのです。そこで、5年前に精神障害者をハローワークの推薦もあって採用したところ、非常に活躍してくれたんです」
採用形態は、入社から1年〜5年は契約社員。以降は正社員に移行することを前提に採用するとのこと。当初は携帯電話の分解・分別業務が中心でしたが、その後は事務業務へと拡大し、現在では契約支援、購買業務支援、携帯保守センター、リフレッシュルーム(針・マッサージなど提供)、カフェなどで働いているといいます。
●カフェは完全キャッシュレス
障害者雇用で欠かせないのが、働きやすい環境づくりです。障害者に業務を割り振る際には必ず業務マニュアルを作成し、必要な作業を明確化しているとのこと。さらに、精神障害者には基本的に残業させず、18時までに退社するルールを設けているといいます。
別の配慮が、"完全キャッシュレス"です。KDDI本社ビルにあるリフレッシュルームやカフェでは、障害のある従業員がレジを担当します。リフレッシュルームの従業員は視覚障害者が多いほか、障害者の一部には現金の扱いが苦手という方もいるため、そうした方でもレジ業務につけるよう、現金は使わずに完全キャッシュレスを導入したといいます。
利用できる電子マネーはau WALLET、Suica・Pasmoをはじめとする交通系電子マネー、nanaco、WAON、楽天Edyと多岐にわたります。レジにはiPadが設置され、メニュー名の書かれたボタンを押すだけで、自動的に代金に加算される仕組みとのこと。
現金を廃する取り組みは、決済事業も展開するKDDIならでは。キャッシュレスをはじめとするテクノロジーの進展が、障害者が社会に参加する障壁を取り払ってくれることを期待させるものでした。