障害者の農業技術を認証する制度として京都府が全国で初めて設けた「チャレンジ・アグリ認証」の第1期講座がこのほど終了した。障害者の自信や意欲の向上につなげるとともに、習得している農作業の知識や技術を「見える化」し、新たな就労の場づくりにも結び付ける狙いだ。府は第1期生の受講状況などを踏まえプログラムを改善し、第2期生の講座に生かす。
第1期生は、昨年度実施した事前講座をモニターとして受講した8人。6~7月に計5回、府きょうと農福連携センター南サテライト拠点の指定を受けている就労支援事業所「さんさん山城」(京田辺市)で土作りから収穫、販売までを学び、全員が修了した。
府は近く、修了生にそれぞれが習得した技術や得意な仕事内容、今後の就労意向などを記入した修了証を「キャリアパスポート」として交付する。
第1期生は当面、現在利用している事業所内で、学んだ技術を生かして別の利用者にアドバイスするといった役割を担う。府は、認証を取得した障害者たちが将来的に農家から仕事を請け負ったり、農業法人に就職したりして、活躍の幅を広げるように支援することも目指している。
農業は担い手不足が深刻なため、すでに一部の就労支援事業所では、除草などの作業を農家から請け負うケースも出ている。ただ、障害者と連携した経験がある農家や農業法人はまだ少ないため、修了生と農家をどのように結びつけていくかが課題だ。
府障害者支援課は「認証制度を通じて、一人一人の障害者ができる農作業を農家や農業法人に伝えることで、障害者が担える作業を仕事として切り出してもらえるような仕組みをつくっていきたい」としている。
チャレンジ・アグリ認証制度で土作りから学んで育てたコマツナを収穫する第1期生たち
2018年08月19日 京都新聞