健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

自殺傾向が血液検査で

2014-08-04 08:30:17 | 研究
自殺を図る人々が共通して持つとみられる遺伝子変異が特定されたという研究論文が先日American Journal of Psychiatryに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。その遺伝子とは、脳がストレスホルモンにどのように反応するかに関連する「SKA2」と呼ばれる遺伝子。このSKA2は、マイナス思考を抑制し、衝動的な行動を制御するために機能するそうです。SKA2が十分に存在しなかったり変異していたりすると、脳は異常レベルのストレスホルモン、コルチゾールを放出するそうです。自殺を計画したり実行に移したりする人々では、異常なレベルのコルチゾール放出が起きていることが、これまでの研究で明らかになっているそうです。研究では、自殺した人々から採取した脳サンプルを調査して、この遺伝子の変異を見出し、さらに自殺した人々はSKA2のレベルが健康な人に比べて著しく低下していることもこの調査で分かったそうです。自殺予防研究で325人から採取した血液サンプルを検査し、SKA2に存在する変異により、自殺願望を経験している人や自殺を図ったことがある人を80%の精度で予測できることが確認されたそうです。

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ランニングに寿命伸ばす効果

2014-08-03 08:30:30 | 研究
短時間のランニングにも長い距離を走るのと同程度の寿命を延ばす効果があるとした研究論文が、Journal of the American College of Cardiologyに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。研究論文によると、毎日5~10分程度の短時間のランニングを行うことで、心臓疾患や早死にのリスクを大幅に軽減することができるというのです。研究では、ランニングする人は、まったく走らない人に比べて、死亡リスクが30%低く、心臓疾患で死亡するリスクが45%低いという結果が得られたそうです。またランニングをしている人は、していない人に比べて、平均約3年長生きできる可能性があることも。さらに、走る時間や速度が違っても同様の効果が期待できることも明らかに。走る時間が週50分の人と週180分の人とを比べた場合でも、リスク軽減に関する結果に統計的な大きな違いは見られず、また時速10キロ未満でゆっくり走った場合と速く走った場合との間にも大差はなかったそうです。
この研究は、米テキサス州の成人(平均年齢44歳)5万5000人以上を対象に、15年間にわたる調査によるもの。対象者のほとんどは白人で、全体の約25%が女性。対象者は、ランニングをする人としない人で大まかに分けられ、その上で、走る時間や距離、頻度に応じてさらにグループ分けされ、最終的に6グループを対象に調査。また、ランニングとウオーキングを比較。その結果、5分間のランニングには、15分間のウオーキングと同程度の健康効果があることが分かったそうです。ちなみにLancetに2011年に掲載された論文では、15分のウオーキングによって寿命を3年延ばす効果が得られる可能性が示されていたそうです。推奨されるウオーキングの時間は30分だったそうです。
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薬剤耐性菌の弱点を特定

2014-08-02 08:30:48 | 研究
抗生物質が効かない耐性菌の強固な細胞壁に弱点を発見したという研究成果が発表されそうです(AFPBB NEWS)。「グラム陰性菌」と呼ばれる細菌の一群は、脂質を基盤とする不浸透性の細胞壁外膜を持ち、このため抗生物質やヒト免疫システムに対する耐性が強いそうです。この外膜を取り除けば細胞はもろくなり死滅することが知られているそうです。研究では、外膜組織を構成するブロックである「リポ多糖体」をグラム陰性菌がどのように輸送しているかを突き止めたとそうです。外膜のブロックを細胞外面に運ぶ経路と門を特定。さらに、この門に鍵をかければ細菌が死ぬことが確認されたそうです。この発見により、細胞壁外膜の構築を阻害して無効化する新薬の開発に道が開かれたそうです。世界保健機関(World Health Organization、WHO)は4月、薬剤耐性菌の増加により、これまで治療可能だった疾患が再び致死性の疾患になっていると警告を発表していたそうです。今回の研究は、拡大する耐性菌問題を解決する糸口になるかもしれないものだそうです。
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日本人平均寿命が延伸

2014-08-01 08:30:54 | 研究
厚生労働省が昨日、2013年の日本人の平均寿命は女性86・61歳、男性80・21歳で、いずれも過去最高を更新したと発表したそうです(YOMIURI ONLINE)。前年より女性は0・20歳、男性は0・27歳延び、男性は調査が始まった1891年以来初めて80歳を超えたそうです。女性は2年連続で長寿世界一。厚生労働省によると、がんや心疾患、脳血管疾患、肺炎で亡くなる割合が下がったことが、平均寿命の延びにつながっているそうです。世界各国・地域の最新統計との比較では、女性が香港(86・57歳)を僅差で抑え、長寿世界一。男性も前年の5位から4位に順位を上げたそうです。男性のトップは香港(80・87歳)だそうです。将来、どの死因で死亡するかを計算した「死因別死亡確率」では、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大死因」で亡くなる確率は、男性で52・42%、女性は48・46%で、4年前(2009年)と比べ、男性は2・23ポイント、女性は3・38ポイント下がっているそうです。日本人の平均寿命は、男女とも終戦直後の1947年(昭和22年)は50歳代だったが、50年には女性が、51年には男性がそれぞれ60歳を超え、その後、女性は60年には70歳代、84年には80歳代に到達し、2002年には85歳を超えています。男性が70歳代になったのは71年で、その後、約40年かけて10歳分延びたということだそうです。
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心筋細胞をペースメーカーにする遺伝子治療

2014-07-30 08:30:46 | 研究
驚きの研究結果が先日発表されていました。心筋に特定の遺伝子を注入して、弱った心臓を強く拍動させることに動物実験で成功したというのです(AFPBB NEWS)。「Tbx18」として知られる遺伝子を、心室の一部にカテーテル注入したそうです。Tbx18は、通常の心筋細胞の一部を、心臓のペースメーカー細胞である「洞房細胞」と呼ばれる細胞に変換するそうです。心筋細胞自身は、通常はペースメーカー細胞が発生する活動電位を伝搬するだけですが、Tbx18遺伝子を心筋細胞に導入して心臓内の特定部位に新たな洞房結節を形成することに成功したというもの。この治療は、「完全ブロック」として知られる疾患を持つブタに対して行われたそうです。この治療法では、開胸手術を行う必要はありません。遺伝子を注入したブタはその翌日には、治療を施していないブタに比べて心拍数が著しく速くなっていたそうです。この治療効果は、研究期間の2週間にわたって続いたそうです。通常は、電子ペースメーカーを埋め込む治療が行われているそうで、米国では毎年約30万件行われ、保健医療制度の費用は年間約80億ドル(約8125億円)に上っているそうです。この治療の最初ターゲットになるに治療の対象になる可能性がある候補としては、ペースメーカー埋め込み術後に感染症を発症する全体の2%の患者が挙げられているそうです。また「先天性心ブロック」と呼ばれる疾患を持つ胎児も候補の一つに挙げられているそうです。先天性心ブロックは、胎児2万2000人に1人の割合で発症し、胎内で不整脈を引き起こすもの。胎児にペースメーカーを埋め込むことは不可能なので、先天性心ブロックを治療するためにできることはほとんどなく、死産という結果に終わる場合が多いそうです。今回のように病気を治す目的で生きた動物の心筋細胞に遺伝子を組み込んだのは初めてだそうです。ただ、人への応用はまだまだ課題が多く、人への臨床試験を行えるようになるにはまだ少なくとも2~3年を要するとも。ペースメーカーの埋め込み手術は必要となる時が意外と早く来るかもしれません。
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ストレスと心臓発作

2014-07-29 08:30:56 | 研究
慢性ストレスが心臓発作や脳卒中を引き起こす仕組みに関する論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この論文によれば、ストレスが引き金となり、白血球が体に害を及ぼす恐れがあるほど過剰に生成されることがそのきっかけとなるということのようです。過剰な細胞は動脈の内壁の上に凝集して、血液の流れを抑制し、血栓の形成を促します。そしてこの血栓は、血行を妨げたり、内壁からはがれて体の他の部位にまで流れて塞栓や梗塞を引き起こします。今回の研究は、集中治療室(ICU)で働いている専門医学実習生29人を対象に調査した結果だそうです。被験者の職場環境は、生死に関わる決断に対して重い責任を負わされることを考えると、慢性ストレスにさらされている状態のモデルとみなすことができるそうです。勤務時間中と非番時に採取した血液サンプルと、ストレスの認識に関するアンケートの結果を比較調査して、ストレスと免疫系との間の関連性を見出すことに成功したというのです。そして、ストレスが骨髄系幹細胞を活性化し、これによって白血球の過剰生成が誘発されることが確認されたようです。次に、すし詰め状態にしたり、かごを傾けたりなどの方法で、マウスにとってのストレスに相当する状況にマウスを置く実験を行ったそうです。この実験では、アテローム性動脈硬化症を発症しやすいマウスを選んで用いたそうです。その結果、ストレスが原因で生成された過剰な白血球が動脈の内側に蓄積して、プラークの成長を促すことが分かったというのです。なるほど。
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適量の飲酒

2014-07-28 08:30:01 | 研究
グラス1、2杯の酒のような適度の飲酒は健康に良いという説がありますね。でも、British Medical Journalに発表された研究論文によると、この考え方には問題がある可能性がでてきたというのです(AFPBB NEWS)。論文は、アルコールの摂取を少量でも控えることで、冠状動脈性心臓病のリスクを軽減させ、体重の減少や高血圧の抑制にもつながるとしているそうです。研究では、飲酒の習慣と健康についての研究論文50件が調査(対象とされたのは26万人以上の欧州系の人)。研究者らが特に注目したのは、ADH1Bと呼ばれる遺伝子で、これまでの研究では、この遺伝子の変異により、アルコールがより早く分解され、依存症リスクが軽減されるとしていたそうです。今回の研究では、ADH1Bの変異を持つ人は持たない人に比べて1週間あたりのアルコール摂取量が17%少なく、深酒についても78%の確率でしないとの結果が示されたそうです。さらに冠状動脈性心臓病リスクは10%低く、血圧の最高値および肥満の可能性も低かったというのです。つまり、アルコール摂取量が普段から少ない人でも、それをさらに減らすことで、心臓血管の病にかかるリスクを低減できると。ですが、今回の研究は統計的なアプローチだけに基づいている点とADH1Bの変異を持つ人がなぜより健康であるのかについて解明していない点で、ADH1Bの変異を持つ人にだけに当てはまる何らかの要因が存在している可能性がある限り、飲酒について一般的な「助言」をするのは危険とされているようです。一般的に軽~中程度の飲酒とは、1週間のアルコール摂取量が12~25単位とされているそうです。アルコール度数5%のラガービール330ミリリットルで1.6単位、アルコール度数12%のワイン125ミリリットルの単位は1.5程度だそうです。
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赤ちゃんの突然死と寝具の共有

2014-07-27 08:30:26 | 研究
赤ちゃんの突然死は、大人の寝具で添い寝することが最大の要因で、新生児の場合はその傾向が強いとする研究報告が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この研究は、米国24州で2004~2012年に起きた睡眠に関連する赤ちゃんの死亡例8207件の政府記録を基に実施されたものだそうです。研究では、突然死の69%で眠る場所が誰かと共有され、また生後3か月までと生後4か月~12か月とでは、死亡のリスク要因が異なることが明らかに。寝具を共有していた割合では、生後3か月までの赤ちゃんで73.8%、生後4か月~12か月の赤ちゃんで58.9%。この研究での「寝具共有」は、大人用の寝具で、他の人の近く、もしくはその人の上で赤ちゃんが眠ることと定義。一方、生後4か月~12か月の赤ちゃんの突然死では、眠る場所に毛布やぬいぐるみなどが置かれ、赤ちゃんがうつぶせの状態で見つかるケースが多かったそうです。米国小児科学会(American Academy of Pediatrics、AAP)は、窒息事故を防ぐためには、赤ちゃんを両親やベビーシッターと同じ寝具で寝かせず、保護者の近くにベビーベッドを設置した上で、硬いマットレスの上で眠らせることを推奨しているそうです。また、赤ちゃんを仰向けに寝かせ、枕や毛布、おもちゃなどをベビーベッドの外に出しておくべきとも。
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赤ちゃんの社会的能力向上と音楽・ダンス

2014-07-26 08:30:00 | 研究
音楽に合わせて他の人たちと一緒に体を揺らすことは、赤ちゃんにとって思いやりを学ぶために効果的であるという研究結果が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。人と人とが一緒に動く活動には、絆や連帯感を強める効果があることはすでに立証されているそうですが、赤ちゃんに対する効果を研究したのは今回が初めてのようです。研究は、2人1組となり、68人の赤ちゃんを対象に実験を行ったそうです。音楽が鳴り始めると、各組の1人は赤ちゃんを抱きかかえて一緒に体を上下に揺らし、もう一人は赤ちゃんと向き合って体を揺らしたそうです。このときにテスト対象のグループの赤ちゃんを抱いた人物は向かい合った研究者と同じリズムで体を上下に揺らし、もう一つのグループは向かい合った研究者とは異なるリズムで体を揺らしたそうです。音楽が止むと、テスト対象の赤ちゃんたちには、子供の利他的行為に関する実験で一般的に使用されるテストを実施。テストでは、赤ちゃんと向かい合わせになっていた研究者がわざと物を落とし、赤ちゃんがそれを拾って助けてくれようとするかどうかを調べたそうです。その結果、研究者と同時に体を動かした赤ちゃんは、異なるリズムで動いた赤ちゃんに比べて相手を助ける可能性が約20%高かったというのです。
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歩き方で人の感情を判別

2014-07-25 08:30:58 | 研究
歩き方を計測することで人の感情を数学的に認識できることが明らかになったそうです(財経新聞)。人は声や顔の表情から感情を認識していると言われていますが、歩き方も同様に感情を認識するための要素であると考えられているそうです。一方、これまで、ロボットに感情を認識させる際には声と顔だけを用いるのが主流で、歩き方に対する定量的な調査は実施されていなかったそうです。今回の研究では、4人の演者が5種類の感情(喜怒哀楽恐)を歩き方で表現し、20人の被験者がどのように感情を認識するか調べたそうです。その結果、歩く速度や姿勢など、特定のパラメータが感情の認識に影響を与えることが分かったというもの。この結果に基づいて感情認識アルゴリズムを作製し、パラメータ(速度、頭や胴体の姿勢)の重み付けを変えるなどして、感情認識の成功率を検証したところ、特定のパラメータが感情認識に大きく影響を与えることが明らかになったそうです。これによって、全体の動作ではなく一部の動きを見るだけで感情を認識できることが示されたそうです。
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