健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

スーパー耐性菌

2016-05-31 08:30:18 | 研究
全ての既存薬に耐性を持つスーパー耐性菌への感染が米国内で初めて確認されたと、米国疾病対策センター(CDC)が発表したそうです(AFPBB NEWS)。感染が確認されたのは、米国Pennsylvania州在住の女性(49)で、尿路感染症の検査で、感染症治療における最終選択薬とされている抗生物質「コリスチン」への耐性を持つ大腸菌株の陽性反応が出たというものです。コリスチンは「悪夢の細菌」の異名で知られるカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)に対して唯一有効な抗菌薬だそうです。見つかったスーパー耐性菌が保有する遺伝子「MCR-1」は、中国や欧州でも確認されているそうです。American Society for Microbiologyの専門誌Antimicrobial Agents and Chemotherapyに掲載されたCDCの報告書は、米国での「MCR-1」初確認について、「まさに全既存薬を無効にする耐性菌の出現を告げるもの」だとしているそうです。コリスチンは1959年からある抗菌薬で、大腸菌やサルモネラ菌、アシネトバクター属菌などによる重い感染症の治療に用いられたもの。腎毒性が高いことから1980年代に人体への使用が中止され、中国を中心に家畜に使われるのみとなっていたそうですが、近年、耐性菌の出現により他の抗菌薬が効かない場合の最終選択薬として医療機関で再び使用されるようになっていたということです。
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ニンジンのゲノム解読

2016-05-30 08:30:49 | 研究
ビタミンAの重要な源となり、一部の果物や野菜を鮮やかなオレンジ色や赤色にする色素「カロテノイド(カロチノイド)」を生成する遺伝子を、ニンジンで特定したとの研究結果がNature geneticsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。「DCAR_032551」と命名された遺伝子の存在は、ニンジンのゲノム(全遺伝情報)の完全解読によって明らかに。論文では、ビタミンA欠乏症が地球規模の健康問題となっていることを指摘し、カロテノイドを豊富に含むニンジンについて、プロビタミンA(ビタミンAの前駆物質)の重要な供給源と説明しているそうです。ニンジン(キャロット)で最初に発見されたカロテノイドは、ニンジンが持つ遺伝子のどれが、その形成に最も大きく関与しているかについてはこれまで、謎のままだったそうです。ニンジンは、今回の新たな分析により、合計で3万2115個の遺伝子を持つことが明らかになったそうです。これによりニンジンは、ジャガイモ、キュウリ、トマト、コショウなどを含む、ゲノムが完全解読された十数種ほどの野菜のグループの仲間入りを果たしたとも。ニンジンには、体内でビタミンAに変換される天然化学物質のベータカロチンが豊富に含まれているそうです。オレンジ色が濃いほど、ベータカロチンの含有量が多くなるそうです。ビタミンAは、正常な発育と発達、さらには免疫系や視力の正常な働きなどに不可欠とされています。また、カロテノイドについては、細胞を傷つける恐れのある「フリーラジカル」と呼ばれる単体の酸素原子を中和する抗酸化物質として作用し、心臓病や一部のがんを防ぐ働きがあると考えられているそうです。また、興味深いことに、ニンジンが持つ遺伝子の数は、他の多くの植物と同様に、ヒトのそれより約20%ほど多いそうです。
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地球軌道周回10万回

2016-05-29 08:30:41 | 宇宙
国際宇宙ステーション(ISS)が先日(5月16日)、地球軌道の周回数が10万回に到達したとロシア管制センターが発表したそうです(AFPBB NEWS)。高度約400キロの軌道を時速約2万8000キロの速度で移動しているISSは、地球を約90分ごとに1周しています。米国航空宇宙局(NASA)はISSの公式Twitterアカウントに、ISSがこれまでに移動した距離は約42億キロで、火星までの往復飛行10回分くらいの距離に相当すると投稿。ロシア語で「夜明け」を意味する「Zarya」と命名されたISSの最初のモジュールは、今から17年余り前の1998年11月20日に宇宙空間に打ち上げられたそうです。ISSに居住する最初の乗組員となった米国人宇宙飛行士のBill Shepherd氏、ロシア人宇宙飛行士のSergei Krikalev氏とYuri Gidzenko氏の3人が2000年に到着して以降、ISSには継続的に乗組員が滞在。ロシア管制センターによると、これまでの運用期間中に、15か国から226人がISSを訪れたそうです。ISSは、欧州連合(EU)を除くすべての参加国が少なくとも2024年まで資金提供を続けることで合意したため、それまでは運用が継続される見込みだそうです。
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体重増の死亡リスク

2016-05-28 08:30:55 | 研究
体重が標準より重い部類に入ることは現在、少なくとも死亡リスクに関してみると、1970年代ほど危険ではなくなっていることを示唆する研究結果がJAMAに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。体重と身長の比率の最適値である体格指数(BMI)は現在、健康とされる範囲の上限側にあるそうです。今回の調査報告は、デンマークに住む10万人以上のデータに基づくものだそうです。調査は3つの対象集団にわたって実施され、1976~1978年、1991~1994年、2003~2013年の3期間にすべての理由による死亡率をそれぞれ調査。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出するBMIについて、医師らは現在、18.5~24.9を普通体重と定義し、BMIが25~29.9で過体重、30以上で肥満とみなされています。1970年代では、死亡率が最低となるBMIの最適値は23.7。この値は、男性では身長183センチで体重77キロ、女性では身長165センチで体重65キロに相当。ですが、このBMI最適値は、1991~94年の調査では24.6に増加し、2003~13年では27に。これは40年前と比較して、身長183センチの男性で体重が14キロ、身長165センチの女性で体重が9キロ、それぞれ増加したことに相当するそうです。1970年代には、肥満とされる人は標準体重の人に比べて死亡率が高かったが、2000年代になるとこの関連性が消失。普通体重と比較して肥満の方が、原因を問わない死亡率がどれだけ上がるかは、1976~78年には30%だったが、2003~13年には0%となっているそうです。今回の最新成果は、過体重になることが死を防ぐことを意味するわけではなく、多くの外的影響(交絡)因子がこの結果をもたらしている可能性があるとみるのが正しいということです。
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ふけの原因

2016-05-27 08:30:45 | 研究
頭のふけの原因は真菌だと思っている人が多いとおもいますが、実際は頭皮に常在する2種の競合する細菌間のバランスが崩れることで発生するとの研究結果がScientific Reportsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。プロピオン酸菌とブドウ球菌は健康な髪の陰と陽のようなもので、この2種の細菌が互いに抑制し合っている場合にはふけの発生も食い止められるが、一方の細菌が他方より優勢になると、まるで雪片のように肩に積もるあの白い薄片が増え始めるのだというのです。地球上で最も一般的な頭皮の病気であるふけ症は、世界人口の約半数にとって髪にまつわる悩みの種となっているそうです。
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高齢者の健康

2016-05-26 08:30:07 | 研究
老後の健康維持に年齢はあまり関係なく、肥満もさほど問題ではないとする研究論文がPNASに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。孤独や絶望感、骨折などの要因の方が、むしろその後5年以内に死亡するリスクを高める可能性があるということです。研究では、57~85歳までの米国人3000人を対象に調査を行った結果、このうちの22%が重度の肥満や高血圧にもかかわらず「健康」の定義に合致していることが明らかとなり、かつ最も健康な人々は、太っていて丈夫だったというのです。こうした人々は、臓器系疾患が少なく、運動機能や感覚機能、精神的な健康状態も他の人々より優れていたとも。また、5年以内に死亡したり行動できなくなったりするリスクが最も低かったそうです。研究では、こうしたリスクが2倍になるグループとして、体重は標準的だが、甲状腺疾患や貧血、潰瘍、45歳以降の骨折、精神疾患など、鍵となる健康問題を抱えている人が含まれていたそうです。最も不健康だったのは、糖尿病や高血圧を放置している人々で、その一部は、歩行や日常生活で困難に直面していたそうです。肥満を嘆かわしい健康状態だとして改善することに焦点をあてた政策ではなく、孤立する高齢者の孤独を解消し、感覚機能の回復を支援する方が、高齢者の健康と福祉の向上には効果的だとことです。論文は、55歳を超える人々の死因の24%はがんだが、がんは臓器系疾患に関係なく発症するとみられるとしているそうです。
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人工ミルク

2016-05-25 08:30:50 | 研究
国連は報告書で、人工ミルクによる育児が世界的に広がっている現状に警戒感を示し、その販売促進に関する法律を大幅に厳格化すべきだと訴えたそうです(AFPBB NEWS)。報告書は世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)、乳児用食品国際行動ネットワーク(IBFAN)がまとめたものだそうです。母乳による育児に健康上の大きなメリットがあることは広く知られている半面、人工ミルクの販売は各国で規制されていないため、人工ミルクで育てられている子どもがあまりにも多いと警鐘を鳴らしているというもの。WHOとユニセフは、生後半年は母乳だけを与えることを推奨。その後も少なくとも2歳になるまでは、安全で栄養価の高い他の食べ物と共に母乳を与え続けるべきだとしています。専門家らはかねて、母乳で育った子どもの方が健康で、知能テストの成績も良く、肥満や糖尿病にもなりにくいとして、母乳が持つ健康上のメリットを称賛してきたそうです。母乳を与える女性も、乳がんや卵巣がんにかかるリスクが減少するという研究結果が報告されているそうです。それにもかかわらず、母乳だけで半年間育てられる赤ちゃんは3人に1人程度にとどまり、この割合は過去20年にわたって改善していないそうです。各国は2025年までにこの割合を少なくとも50%まで引き上げることで合意しているそうですが、成長著しい人工ミルク産業からの圧力によって取り組みは難航しているとも。
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若者の健康問題

2016-05-24 08:30:02 | 研究
10~24歳の若者の健康問題は、世界的に過去数十年間軽視され、十分な投資が行われずにいたことで悪影響を受け、未来の世代の育成を阻む恐れも出てきたとする研究論文がThe Lancetに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。世界的な取り組みにより5歳以下の幼児の健康状況は大きく改善したそうですが、この論文で10~24歳と定義されている若者ではそれほど改善していないというのです。この年齢層には人類の4人に1人に当たる約18億人が属し、その死亡率低下のペースはより緩やかだというのです。主な死因は交通事故や自殺、暴力、結核、溺死、飲料水を原因とする病気、不十分な衛生環境などで、これらは以前から変わっていないのだそうです。1990~2013年の間で上昇率が最も高かった健康リスクは無防備な性行為だったそうです。若者10人中9人は、これらのリスクが大幅に高い発展途上国に住んでいるそうです。若者全体の3分の2は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)やAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)、低年齢での妊娠、うつ病、けが、暴力など、予防や治療が可能な健康問題が日常的な脅威であり続けている国々で暮らしているっということです。20~24歳のリスク要因では、この年齢層に対する世界全体の医療費支出総額のうち7%を占めると推定されているアルコールがトップとなり、麻薬の使用がこれに続いたそうです。10~14歳ではHIVやエイズ、交通事故、溺死が死因全体の4分の1、腸疾患や呼吸器感染症、マラリアが同21%を占め、15~19歳と20~24歳ではともに事故が死因のトップとなり、自殺と暴力がそれに続いたそうです。
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人工甘味料入り飲料の妊娠中摂取

2016-05-23 08:30:20 | 研究
妊娠中の人工甘味料含有飲料の摂取により、生まれる子どもが過体重になる恐れがあることを示唆する研究結果がJAMA Pediatricsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。人工甘味料入り飲料の日常的な摂取は、同様の飲料を全く飲まなかった場合に比べて、子どもが1歳時に過体重となるリスクが2倍となることに関連しているというのです。この研究報告は、自己報告の調査データに基づくもののため、因果関係を証明するまでには至っていないそうですが、この問題に関する研究のさらなる後押しとなるものと考えられるそうです。研究では、3000人以上の母親が自ら記録した食生活習慣のデータを分析したほか、子どもの1歳時のBMIを測定。妊娠中に人工甘味料入り飲料を飲んでいたと報告した女性は、全体の30%近くに上り、どの種類の甘味料を摂取していたかについては、今回の研究では特定されなかったそうです。また、幼児の体重に影響を及ぼす可能性のある、潜在的な外的影響(交絡)因子も考慮して調整を行ったそうです。交絡因子としては、幼児の性別、母親が過体重かどうか、幼児が母乳で育てられたかどうか、またその場合は期間はどれくらいかなどが例として挙げているそうです。一方で、妊娠中の母親が自己報告した砂糖入り飲料の摂取量と子どものBMIとの間には、関連性は認められなかったそうです。この問題に関するこれまでの研究は、実験動物を用いて実施されたものだったそうです。人工甘味料をめぐっては、食欲を誘発して体重増加の原因となる可能性があることと、重要な腸内細菌の活動を妨げ、心臓障害のリスクを上昇させる可能性があることが、これまでの一部の研究で判明しているそうです。
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医療ミスが死因の3位

2016-05-22 08:30:18 | 研究
医療ミスが米国における死因の3位になっているとの研究結果が、British Medical Journalに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。研究によると、2013年に、回避可能なミスにより死亡した人は少なくとも25万人。この人数は、脳卒中とアルツハイマー病を合わせた死亡者数よりも多く、また、毎年それぞれ約60万人の死亡の原因とされる心臓疾患とがんに続き3番目に多いそうです。また、この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるそうです。世界の保健問題において報告が実際より最も少ないのが医療ミスではと言う指摘がるそうです。過去の研究によると、医療ミスによる死亡者は推計で年間25万~44万人に上るそうです。
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