オランダの研究者らが、血液バンク、精子バンクに続いて同国初の「糞便(ふんべん)バンク」を開設したそうです(AFPBB NEWS)。慢性腸内感染症の患者の治療を目的とした最先端医学の一分野だそうです。新たに立ち上げられたのは「オランダ・ドナー糞便バンク(NDFB)」。糞便移植療法は、慢性の腸内感染症、特にクロストリジウム・ディフィシレ菌(Clostridium Difficile、CD)に苦しめられている患者の唯一の解決策である場合が多いそうです。特に、長期にわたって抗生物質を多用する治療を受けた後の患者の体内で増殖するケースが顕著なのだそうです。糞便移植により、体に良い細菌を体内に戻すことができ、この細菌が移植後に腸内で拡散することで、健全な細菌叢が腸内に再生されるということです。オランダでは毎年約3000人がCD感染と診断されており、感染例の約5%で慢性化するとされているようです。そしてオランダでは毎月約3~4件の糞便移植が実施されているとも。昨年世界初の糞便バンクを2か所開設した米国とは異なり、ドナーに報酬は支払われないそうです。糞便はそれぞれの自宅で収集され、ドナーは匿名性が保たれるそうです。
妊娠中の女性が魚を過剰に食べると、生まれてくる子どもの肥満リスクが高まる可能性があるとの研究論文がJAMA Pediatricsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。論文によると推奨される魚の摂取回数は週3回だそうです。ただ、因果関係が証明されたわけではないとも。魚は、胎児の脳の発達に良いとされるが、水銀などの汚染物質も含んでいるとされるため、その摂取量を心配する妊婦は多いそうです。研究では、欧州や米国の研究論文に掲載された妊婦とその子ども2万6000人以上のデータを対象に分析。また、女性が妊娠期間中に毎週どのくらいの量の魚を食べていたかについての報告を基に、その子どもが6歳になるまでの追跡調査を行い、母親の魚の摂取量と子どもの成長についての関連性を調べたそうです。米食品医薬品局(FDA)と米環境保護局(EPA)は、毎週3回魚を食べることを妊婦に推奨しているそうです。論文によると、妊娠中に毎週3回よりも多く魚を食べた女性の子どもは、それよりも少なかった女性の子どもと比較して、BMI値が2歳、4歳、6歳の時点で高かったそうです。また、魚を推奨量以上食べた女性では、同1回以下の女性に比べて、子どもの2歳までの成長の度合いが早まったり、4歳や6歳の時点で過体重や肥満と診断されるリスクが高まったりする傾向も認められたとも。一方で、食べられた魚の種類や、メチル水銀などの汚染物質レベルについては調査されていないそうです。
アリの集団が長期間存続するためには、働かないアリが一定の割合で存在する必要があるとの研究成果がScientific Reportsに掲載されたそうです(YOMIURI ONLINE)。これまでの研究で、アリの集団には常に2~3割、ほとんど働かないアリが存在することがわかっていたそうです。働くアリだけを集めても一部が働かなくなり、働かないアリだけを集めると一部が働き始めるが、その理由はナゾだったそうです。研究では、様々な働き方のアリの集団をコンピューターで模擬的に作成し、どの集団が長く存続するかを調べたそうでう。その結果、働き方が均一な集団よりも、バラバラの集団の方が長く存続したそうです。働くアリが疲れて動けなくなった時に、普段は働かないアリが代わりに働き始めるためだそうです。実際に8集団1200匹のアリを観察すると、働くアリが休んだ時、それまで働いていなかったアリが活動し始めることが確認できたそうです。
小児がんの3割強を占める小児急性リンパ性白血病で、特定の遺伝子によって抗がん剤が効き過ぎる体質になることが明らかになったと、Nature Geneticsに発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。その遺伝子は「NUDT15」で、通常型と変異した三つの型があり、三つの型は抗がん剤を分解する能力が低いために、抗がん剤が効きすぎることが判明したというもの。日本人の3人に1人がこの特異な型を持っていることも明らかになったそうです。急性リンパ性白血病は、白血球の一種のリンパ球ががん化して異常増殖する病気で、治療ではまず7か月、抗がん剤4、5種類を投与して、がんの大半を死滅させ、その後、1年5か月かけて、毎日、抗がん剤「6メルカプトプリン」を投与して、残っているがんを少しずつ減らし、再発の芽を摘むというものだそうです。
バナナの皮の黒い点が、皮膚がんの早期発見に役立つかもしれないとする研究論文が、Angewandte Chemieに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。論文によると、バナナの皮を活用することによって、皮膚がんのより簡単な診断が可能となり、患者の生存率上昇も期待できるというもの。熟したバナナの皮には、丸くて小さな黒点が現れるますね。これはチロシナーゼとして知られる酵素の働きによるもので、この酵素はヒトの皮膚にもある。皮膚がんの中でも致死率の高い悪性黒色腫(メラノーマ)に苦しむ人に多く認められるものだそうです。最も早期の第1ステージのがんでは、この酵素はあまり認めないが、第2ステージでは少しずつ均等に広がり、そして第3ステージでは不均等に拡散するのだそうです。この第3ステージまでに、がんは他の器官に転移を始めるそうです。米国がん協会(ACS)によると、メラノーマがステージ1で検出された場合の10年生存率は95%だが、この数字はステージ3中期までに43%に激減するそうです。開発したスキャナーは、柔軟性のある微小電極8本で構成されており、「くし」状の形をしているそうです。これを皮膚に当ててチロシナーゼの量とその分布を調べるのだそうです。このスキャナーの利用で、侵襲的な組織検査は必要がなくなり、将来的にはがん細胞の破壊にも利用できる可能性があるとも。
双生児の出産件数が先進国で過去40年間にほぼ倍増したことが、Population and Development Reviewに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。米国での双生児出産は、1975年には出産1000件に対し9.5件だったのが、2011年には16.9件とほぼ倍増。同様の傾向は他の先進国でもみられ、英国では9.9件から16.1件へ、ドイツでは9.2件から17.2件へ、フランスでは9.3件から17.4件へ、デンマークでは9.6件から21.2件へ、韓国では5.0件から14.6件へ、それぞれ増えているそうです。双生児出産の増加の要因として、排卵誘発や体外受精などの生殖技術が生まれた1970年代以降の「医療技術が補助する生殖医療(MAR)」の拡大が挙げられるそうです。排卵誘発も体外受精(IVF)も、1回の妊娠で複数の胎児が宿る確率が高いとも。
脳震盪を経験したことのある成人は、その後数年間に自殺するリスクが経験していない人に比べて3倍以上高まる可能性があるとする研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この研究では、カナダのOntario州で過去20年間に脳振とうを起こした23万5000人以上の医療記録を分析したもので、脳震盪を経験した患者がその後数年間に自殺するリスクが、一般の人々に比べて3倍高いとわかったというもの。また、週末に脳震盪を起こした人が自殺するリスクは、平日に脳震盪を起こした人に比べ、3割程度高かったとも。週末に脳震盪を起こした人は、仕事中よりも余暇活動中に起こしたとみられるそうです。脳震盪は通常すぐに症状が解消することから、医師らは、脳震盪の影響やその患者の病歴との関連性を過小評価している可能性があるそうです。ちなみに、脳震盪を起こしてから自殺に至るまでの平均期間は約6年で、患者の平均年齢は41歳だったそうです。また、過去に自殺未遂や入院、精神疾患などの病歴のない、都心部在住の男性である傾向が高かったとも。
特定の遺伝子を持つタイプの虫歯菌が脳出血の発症に関与している可能性が高いことが明らかになったという論文が、サイエンティフィック・リポーツに発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。研究では、脳出血や脳梗塞などで同センターに入院した79人の唾液を採取。血小板の止血作用を低下させる「cnm遺伝子」を持つ虫歯菌の有無を調査。その結果、脳の血管が破れる脳出血の23人のうち、6人(26%)からこの遺伝子タイプの菌を検出したそうです。一方、血の塊が脳の血管に詰まる脳梗塞などの56人からは4人(7%)しか検出されなかったそうです。虫歯菌のうちcnm遺伝子を持つ割合は約1割だそうです。したがって、口腔ケアで虫歯菌を減らすことが、脳出血の予防につながる可能性があるということです。
朝食を抜く人は、毎日食べている人に比べて脳出血を起こしやすいという調査結果が、先日発表されましたそうです(YOMIURI ONLINE)。もちろん、朝食を抜く食習慣と脳卒中との関連が示されたのは世界初だそうです。45~74歳の男女約8万人を平均13年間追跡。1週間に朝食を取る頻度を0~2回、3~4回、5~6回、毎日の4群に分けて調査。その結果、期間中に3772人が脳卒中を発症。朝食を週0~2回しか取らない人の脳卒中の危険度は、毎日取る人に比べて18%高かったというもも。特に脳出血の危険度は、週0~2回の人は36%、3~4回で22%、5~6回で10%と、朝食の回数が少ないほど高かったそうです。くも膜下出血や脳梗塞、心筋梗塞などの心疾患では、関連性は出なかったとも。
1日の歩行時間が30分未満などと少ない人は、1日の歩行時間が2時間以上などの人に比べて、自覚していない糖尿病を有するリスクが高くなるとする調査結果が発表されたそうです(財経新聞)。糖尿病発症に対しては、身体活動度を上げることが防的に働くことはすでに明らかにされています。そこで、身体活動の中でも歩行という多くの人にとって実践しやすい活動に注目し、歩行時間と糖尿病リスクとの関係を調べたそうです。調査対象は、国立がん研究センターの多目的コホート研究で1998~2000年度に実施した糖尿病調査に参加した人のうち、自分に糖尿病があることを自覚している人を除外した2万6,488名(調査時平均年齢62歳, 男性36%)。これらの人を対象として、1日の歩行時間と自覚していない糖尿病(血糖値やヘモグロビンA1cを検査して初めて判明する糖尿病)を有することとの関係を検討。この調査では、1,058名に自覚していない糖尿病があることが判明したそうです。調査結果を解析したところ、1日の歩行時間が2時間以上の群に比べ、1時間から2時間未満、30分から1時間未満、30分未満の3つの群において自覚していない糖尿病を有するリスクは、それぞれ1.04、0.99、1.23倍であり、特に1日の歩行時間が30分未満の群においてリスクが高いことが明らかになったそうです。