健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

ミトコンドリアの老化はゲノムの突然変異ではなく修飾による

2015-05-31 08:30:33 | 研究
ミトコンドリアの老化はゲノムの突然変異ではなく修飾によるということが明らかになったそうです(財経新聞)。ミトコンドリアは、細胞内のエネルギー工場として働く細胞内小器官で、酸素呼吸により生命活動のエネルギー源となるATPを合成しています。ミトコンドリアには核にある遺伝情報(核DNA)とは別に、独自の遺伝情報(mtDNA)が存在しており、これに突然変異が生じると、ミトコンドリアの呼吸活性が低下して十分なATP合成ができなくなり、ミトコンドリア病という特殊な疾患を発症。また、定説とされる「老化ミトコンドリア原因説」では、老化現象にもmtDNA突然変異が関与している可能性が指摘されていたそうです。今回、胎児から12歳の若年グループと80歳から97歳の老年グループで、それぞれ繊維芽細胞を使用して、ヒトの老化の仕組みを調べたところ、ミトコンドリアの呼吸活性は定説通り老年グループが有意に低下しているが、mtDNA突然変異の蓄積率は両者で有意差がないことを明らかにしたそうです。また、それぞれのグループの繊維芽細胞をiPS細胞にすることで初期化し、繊維芽細胞に再分化させてから呼吸活性を比較したところ、老化グループの呼吸活性は若年グループのレベルにまで回復していることが分かったそうです。つまり、加齢に伴う呼吸欠損の原因は、突然変異のような不可逆的な変化ではなく、ゲノム修飾のような可逆的な変化にあると考えられるというもの。さらに、遺伝子の網羅的発現解析によって、原因遺伝子の1つとして、ミトコンドリア内のアミノ酸代謝(グリシン代謝)に関係するGCAT(glycine C-acetyltransferase)遺伝子を特定。このGCAT遺伝子は、加齢とともに発現量が低下するが、初期化後の再分化により発現量の回復が観察されたそうです。そこで培養液中にグリシンを添加したところ、加齢に伴って低下していた呼吸活性がかなり回復したそうです。この結果は加齢に伴う呼吸欠損の原因がゲノム修飾であるという新仮説を支持するだけでなく、継続的なグリシン摂取が老化の緩和戦略として有効である可能性も示唆しているということでう。
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意図を感知してロボットアームを制御

2015-05-30 08:30:28 | 研究
ロボットアームを動かそうとする患者の意図を感知する最新の脳インプラント技術を開発したとの研究結果がScienceに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。21歳の時に銃弾による負傷で首から下がまひ状態になった人が、ロボットアームを使って握手のしぐさをしたり、飲み物が入ったコップをつかんだり、「じゃんけん」をしたりすることもできるようになったというのです。今回の実験では、2個の微小電極アレイを後頭頂葉(PPC)に埋め込んで実施したそうです。PPCは「手を伸ばす」「つかむ」などの動作をするための意図を処理する脳部位だそうです。
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10代での肥満は中年期の大腸がん発症リスクを倍増する

2015-05-29 08:30:19 | 研究
肥満に近い過体重の10代の若者は、中年期に大腸がんを発症するリスクが倍増するとした研究論文がGutに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。研究は、1969~76年の間にスウェーデン軍に徴兵された16~20歳の男性23万9000人以上を対象に、健康状態の追跡調査して行ったもの。徴兵時の割合は、低体重が約12%、普通体重が80%以上、やや過体重が5%。残りの対象者については、体格指数(BMI)が27~30未満の肥満に近い過体重が1.5%で、BMIが30を超える肥満は1%だったそうです。対象者らは以降35年にわたって定期的に大腸がん検査を受け、その結果、結腸がん501件、直腸がん384件の計885件のがんが見つかったそうです。このうち、10代当時に肥満に近い過体重とされた対象者は、普通体重だった人に比べて、中年期のがん発症リスクは約2倍だったというもの。肥満だった人は、2.4倍近くになったそうです。
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遺伝子組み換え酵母菌からモルヒネ

2015-05-28 08:30:04 | 研究
遺伝子組み換え酵母菌から鎮痛剤を製造する方法を開発したとする研究結果が、Nature Chemical Biologyに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この発見に関する論文は、PLoS ONEに先月掲載された論文に続くものだそうです。両論文とも、糖を餌として鎮痛剤などの薬剤を生成する遺伝子組み換え酵母菌の開発に向けた重要な段階について説明しているとのこと。この研究の目標は、ケシに比べて安価で、中毒性が低い鎮痛薬を信頼できる供給源から製造・提供することだそうです。一方で、この発見について専門家らは、基本的な知識と技術があれば誰でも簡単な自家製ビール醸造キットを使って、この種の酵母菌からモルヒネやコデインのほか、さまざまな麻薬を大量生産できると指摘しており、麻薬密売組織に巨額の利益をもたらす危険性もあるとしているそうです。
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体重を測るだけで肥満改善!?

2015-05-27 08:30:17 | 研究
体重を継続的に量るだけで肥満が改善することが、愛知県蒲郡市の市民3240人の調査でわかったそうです(YOMIURI ONLINE)。やせ気味だった人では、逆に体重が増えており、体重を量ることで健康意識が高まり、生活習慣が改善されたことが理由らしいのですが・・・・・。同市は2011年度の特定健診で、メタボリック症候群と判定された割合が24・7%と同県内で最も高かったことから、改善策として手軽にできる体重測定に着目。2014年度に「体重測定100日チャレンジ!めざせ1万人!」を実施、市民に体重測定を呼びかけたそうです。約6000人の市民が参加。このうち100日間継続的に体重を測定した男性1404人、女性1836人の計3240人を、体格指数(BMI)で肥満、普通(18・5以上25未満)、やせの3群に分けて、それぞれの群でBMIがどう変化したかを調べた結果、このような結果になったそうです。
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握力で心臓病リスクを判定!?

2015-05-26 08:30:43 | 研究
心臓発作や脳卒中の発症リスクを簡単に安価で判定できる手段として、握力検査を用いることができる可能性を示す研究結果が、Lancetに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。手を固く握りしめることが、大まかだが信頼性のある健康のバロメーターになるという証拠に関する大規模な調査を実施。世界17か国の35~70歳の患者14万人近くを対象に、4年間にわたり健康状態の経過観察を行い、検診ごとにジャマー型油圧握力計と呼ばれる機器を患者たちに握らせ、筋力を測定。その結果、4年の調査期間で、握力が5キロ低下するごとに、何らかの原因による死亡リスクが16%増加する関連性が認められたそうです。またこの握力低下は、心臓発作リスクの7%増、脳卒中リスクの9%増にそれぞれ関連していたそうです。今回の研究では収縮期血圧よりも握力の方が、早死に関する有意な予測因子であることが判明。年齢、たばこやアルコールの摂取、教育水準、職業的地位などの健康に影響を及ぼす要因を考慮した場合も同じ結果が得られたそうですが、糖尿病、呼吸器系疾患、転倒による外傷または骨折などと握力との関連性は認められなかったそうです。握力の強さは個人の体の大きさや体重、民族によって異なる可能性があるため、さらに誤差を調整するための研究を重ねる必要があるとも。さらに、筋力が健康のバロメーターになると思われる理由や、筋緊張を改善することで死亡や循環器疾患のリスクを緩和できるかどうかを解明するにも、さらに研究が必要と指摘しているようです。
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1日30分の運動が長寿の秘訣!?

2015-05-25 08:30:15 | 研究
高齢男性を対象とした調査の結果、1日30分の運動を週6日間、取り入れた人は、運動をしない同年代の人に比べて、死亡リスクが40%低下する可能性があるとした調査結果が、British Journal of Sports Medicineに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。「オスロ研究(Oslo Study)」と呼ばれる大規模な調査プロジェクトで、健康診断を受けた1923~32年生まれの男性数千人から、生活スタイルと運動について任意で情報を募ったそうです。1972年~73年の調査開始当初は1万5000人近い男性が参加し、2000年の再調査の際には対象者1万2700人が存命。うち5700人に対して調査が続行されたが、2011年には存命中の対象者が3600人以下に。調査対象者が70代から80代にさしかかった2000~2011年の間に取り入れた定期的な運動の効果に注目。運動の強度が軽いか激しいかには関係なく、1日30分の運動を週6日取り入れることと、死亡率が40%減少することの間に関連性がみられたというのです。さらに週に数回、きつい運動をこなす高齢者は、ほとんど動かない高齢者に比べて、寿命が5年も長かったとも。高齢者が定期的に運動を行えば、強度にかかわらず少量の運動で、健康面で禁煙と同じくらい有益な効果がもたらされるということですね。
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体内細菌群で個人特定

2015-05-24 08:30:39 | 研究
腸内バクテリアなどの個人の体内や皮膚上に生息する細菌のコロニーは、指紋と同様に個人を特定する手がかりとなる可能性があるとの研究結果が、Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)に発表されたそうです(AFPBB NEWS)体内細菌は、個人の年齢、食事、居住地、健康全般などによって大幅に異なる可能性があるそうです。便サンプルは特に信頼性が高く、サンプル採取から1年後に、腸内バクテリアによって全体の最大86%の人々を特定できたそうです。皮膚サンプルの信頼性はこれより低く、サンプル採取1年後に全体の約3分の1の人々を個人照合できたとも。サンプル照合が不可能なことはあっても、誤認識はほとんど発生しないそうです。
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肥満のもう1つの問題

2015-05-23 08:30:02 | 研究
肥満問題は死後にも問題に(AFPBB NEWS)。肥満問題が深刻化しているブラジルで、身体の大きな人の遺体の埋葬に頭を悩ませていたRio de Janeiroのある墓地が解決方法として、体重500キロまでの遺体のための「特大墓所」を用意。ただし、この特大墓地は7万5000レアル(約300万円)と値段も高額とのこと。ブラジル保健省の統計によれば、過去10年間で肥満人口の割合は50%増えたそうです。太りすぎの人も23%増加。特大墓所の売れ行きは順調で、墓地内の一画を占めるまでになっているそうです。慢性的な過体重の人々が治療を求める中、ブラジル政府は2013年3月、約2億人の国民の肥満予防に2億5000万ドル(約300億円)を投じ、肥満防止キャンペーンを立ち上げたそうです。政府はまた、このキャンペーンを促進するために、食品に含まれる塩分と砂糖を制限する方向で食品業界と合意し、協定を結んでいるそうです。他人事ではないですね。
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遺伝子活性の季節性

2015-05-22 08:30:55 | 研究
人間の遺伝子の4分の1近くは、活性化の程度が季節によって変化するとの研究結果が、Nature Communicationsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。分析対象の遺伝子2万2822個のうち、季節によって活性化レベルが上昇または低下する遺伝子は5136個。すべて同様ではなく、活性化レベルが冬に高くなるものもあれば、夏に高くなるものもあったそうです。このことは、心臓病から精神疾患に至るまでの非常に多くの病気が冬季に悪化する理由を説明できるものだそうです。サーカディアンリズム(体内時計)とも関係ありそうです。
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