細胞内のエネルギー物質 “GTP(グアノシン三リン酸)”の濃度を検知し、細胞の働きを制御する “GTPセンサー”を発見されたそうです(財経新聞)。全ての生き物は、生きるためにエネルギーを必要とする。そのため生物の体を構成する一つ一つの細胞には、エネルギー変化に応じて、適切な応答を起こす仕組みが備わっています。例えば、“生体のエネルギー通貨”として広く知られる ATPの細胞内の濃度変化は、複数の“ATPセンサー”タンパク質により感知されて、細胞の代謝や遺伝子発現を変化させることはよく知られています。一方、細胞で主にタンパク質の合成やシグナル伝達の原動力となるエネルギー物質として働くのが“GTP”であち、GTPの細胞内濃度はATPとは独立に制御されており、細胞内のGTP濃度を検知し、細胞機能を制御する“GTPセンサー”は未だ発見されていなかったそうです。また、そのため細胞がどのようにしてGTP濃度を検知し、その濃度変化に応じて適切な細胞応答を引き起こすのかは、意外にもこれまで不明だったそうです。脂質キナーゼの一種PI5P4Kβが細胞内のGTPセンサーであることを発見し、PI5P4KβとGTPとの複合体の立体構造解析などによってそれを証明したというもの。さらに、PI5P4KβのGTPセンサー機能が、がんの増殖にも関与することを明らかに。
個人向けにインターネット上で販売されている輸入健康食品の半数以上に、副作用のリスクがある医薬品成分が含まれていることが、厚生労働省の調査でわかったそうです(YOMIURI ONLINE)。急性脳症のような重い副作用を引き起こす恐れがある成分も確認されているそうで、厚労省は注意を呼びかけているそうです。厚労省は2014年1~3月、運営者の所在地が海外だったり不明だったりするウェブサイトから、カプセルやコーヒー粉末の形状をした計81製品を購入し、国立医薬品食品衛生研究所で成分を分析。その結果、半数を超える49製品に副作用の恐れがある医薬品成分が見つかったというもの。内訳を見ると、精力増強をうたった50製品のうち、33製品に勃起障害治療薬など医薬品の成分が入っており、頭痛や発疹の副作用を起こす可能性があったそうです。やせる効果をうたう31製品では、16製品が急性脳症や意識障害の恐れがあるぜんそく治療薬の成分などを含んでいたそうです。
先日(15日)、米国疾病対策センター(CDC)は、ジカウイルスの感染が拡大していることを受け、妊娠した女性に対し、カリブ海や中南米の14の国や地域への旅行を避けるよう警告したそうです(AFPBB NEWS)。ジカウイルスは蚊が媒介する感染症。感染すると、デング熱と似た症状を発し、出生異常が生じる恐れがあるそうです。CDCが今回発令したのは、3段階の真ん中に当たるレベル2の渡航警告。対象地域はブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、仏海外県マルティニク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、スリナム、ベネズエラ、米自治領プエルトルコ。一方エクアドル当局は15日、同国内でジカウイルスの感染者2人が確認されたと発表。同国当局はこれまでに国外で感染した4人を確認していたそうですが、感染症の流行を監視するある当局幹部によると、国内での感染は今回が初めてだそうです。
哺乳類脳と鳥類脳で共通したメカニズムや同様の神経幹細胞が存在することが明らかになったそうです(財経新聞)。哺乳類の大脳皮質は、脳の中でも最も主要な部分として感情情報を統合し記憶や認知機能を司る中枢である一方で、哺乳類の進化の過程でどのようにして獲得されたかは謎に包まれていたそうです。研究では、羊膜類の中でも哺乳類と同様に大きく発達する鳥類の大脳の発生過程を解析。電気穿孔法という簡便かつ多量に外来遺伝子を生体組織に導入できる方法によって神経幹細胞が産生されるメカニズムを解析した結果、哺乳類脳と鳥類脳に共通した発生プログラムや、鳥類脳独特の発生プログラムを解明。その結果、哺乳類、特に霊長類の大脳皮質に多く存在する神経幹細胞と同様の特徴を持つ細胞が鳥類にも存在することを発見。したがって、哺乳類と鳥類は、進化の過程で共通したメカニズムによって大きな脳を獲得したことが推測されるそうです。鳥類は哺乳類と同様に社会性や高度な知性を持つことから、今回の研究成果が哺乳類の脳の進化起源に迫る手がかりとして、哺乳類独特の大脳皮質の発生に伴う様々な疾患の解明にも貢献することが期待されるそうです。
宇宙で水ができる化学反応を実験室内で忠実に再現して、できた水のオルト:パラ比が地球と同じになることが明らかになったそうです(財経新聞)。宇宙や彗星で観測される水のオルト:パラ比は0.1~2.5:1で、地球の水のオルト:パラ比(3:1)とは異なるそうです。これまでは宇宙の極低温環境がその原因であると考えられていたそうですが、その仮説が正しいかは明らかになっていなかった。今回、宇宙で氷ができ、気相へ放出される過程を、実験室内で忠実に再現。そして、そのオルト:パラ比を共鳴多光子イオン化法で直接測定したところ、-263℃で氷を作った場合でも、地球のオルト:パラ比である3:1になることがわかったそうです。つまり、宇宙でできた水のオルト:パラ比は、生成時の温度を示すものではないと言えるそうです。このため、太陽系ができたばかりの頃がどのような温度環境であったかを知るためには新しい理論が必要になるそうです。
がん細胞だけを狙い撃ちする放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の実用化に向けた最終段階の臨床試験(治験)を始めるそうです(YOMIURI ONLINE)。BNCTは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤を患者に点滴し、体への影響が少ない中性子線を照射。ホウ素は、中性子線を吸収して核分裂した際に放射線を出し、がん細胞を内部から破壊するそうです。放射線の射程は細胞1個分ほどで、周囲の正常な細胞を傷つけにくいそうです。悪性脳腫瘍を再発した患者を対象に、生存率などから治療効果を検証し、早ければ5年後に入院費などの一部保険がきく先進医療の認定を目指すそうです。
老年医学の専門医と薬剤師が連携して高齢者の薬物治療のあり方を研究する「日本老年薬学会」が発足し、高齢者専門の薬剤師の育成を目指すそうです(YOMIURI ONLINE)。複数の持病を抱える高齢者が多くの薬を飲み、深刻な副作用が出るケースが後を絶たないそうですが、これまで高齢者の薬の作用を専門に研究する学会はなく、専門性の高い薬剤師を養成し、適切な薬物治療の普及を目指すそうです。高齢者は薬の成分を体外に排出する機能などが衰えるため、高齢者以外の成人と同じ量の薬を飲むと過剰になりやすいそうです。薬の種類が増えるとさらに副作用のリスクが高まります。生活習慣や薬の処方の見直しなどで薬を減らすことが可能な場合もあるそうですが、実際には副作用で起きた認知機能の低下や手足の震えなどを治そうと、別の薬を追加され、さらに体調を悪化させる例も珍しくないそうです。
喫煙する女性が妊娠初期に禁煙しても、たばこを吸わない女性より、新生児の出生時の平均体重が28~39グラム減るとの研究結果が発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。環境省の大規模調査の一環で、さらに出産まで喫煙を続けた場合の減少幅は120グラムを超え、新生児への喫煙の悪影響をはっきり示す結果となっているそうです。全国の親子10万組を対象に化学物質の影響を継続して調べる「エコチル調査」のうち、約1万組の2011年の結果を分析。喫煙しない女性から生まれた男児の平均体重は3096グラムで、喫煙者が妊娠初期に禁煙した場合は28グラム軽い3068グラム、禁煙せず出産した場合は136グラム軽い2960グラム。女児も同様の傾向だったそうです。妊娠前に禁煙すると、男児が7グラム軽く、女児は逆に13グラム重かったとも。
難治性内分泌疾患であるクッシング病の新規治療薬として、レチノイン酸(ビタミンAの代謝物)の受容体に対する薬剤である HX630が有効である可能性が発表されたそうです(財経新聞)。クッシング病とは、脳下垂体に発生した腫瘍(下垂体腫瘍)が原因となってホルモンのバランスが崩れ、肥満、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、筋力低下、多毛、免疫力低下やうつ状態などを引き起こす疾患。脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰になることから、副腎皮質からステロイドホルモンが過剰産生され、様々な症状を引き起こすことが知られています。未治療の状態では心・血管病変や感染症により命にかかわる場合も。治療法としては、下垂体腫瘍を外科的に摘出することが第一選択で、手術をしても症状が改善しない場合や術後の再発、病変部位によっては手術不可能な場合も。このため、そのような難治患者に対しては薬物療法が必要ですが、これまで下垂体腫瘍をターゲットとした有効な薬剤が存在していなかったそうです。
ビデオゲームプレイ習慣が数年後の言語知能や脳の微小形態の特徴とどう関連しているかを解析し、ビデオゲームの長時間プレイが神経系の好ましくない神経メカニズムの発達と言語知能の遅れとつながることが示されたそうです(財経新聞)。発達期の小児の長時間のビデオゲームプレイには、一層の注意が必要だそうです。これまで、ビデオゲームプレイは視空間能力に対する好影響などが知られている一方で、特定タイプの言語記憶、注意、睡眠、学業、知識などに対する悪影響などが知られていたそうです。またビデオゲームをプレイしている時は、快感や意欲に関わる神経伝達物質のドーパミン系のシステムにおける多くのドーパミン放出が起こり、ビデオゲームは中毒につながりうることも知られていたそうです。また、これまでの脳画像研究においては、ゲームプレイ習慣が、背外側前頭前皮質や前頭眼野などの灰白質量などの大きさと関係していることも。これらの知見は、上述のビデオゲームプレイのポジティブな効果と結び付けられてとらえられていたそうです。今回の研究では、悪性腫瘍や意識喪失を伴う外傷経験の既往歴等のない健康な小児を対象に、研究参加者は最初に日々のビデオゲームプレイ時間を含む生活習慣などについて質問に答え、知能検査、MRI撮像を受けたそうです。この時点では研究参加者の年齢は5歳から18歳(平均約11歳)。これらの研究参加者の一部が、3年後に再び研究に参加し、再び知能検査と MRI撮像を受けたそうです。その結果、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の低い言語性知能と関連し、初回参加時から数年後の2回目参加時へのより一層の言語性知能低下につながっていたそうです。同様に初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の前頭前皮質、尾状核、淡蒼球、左海馬、前島、視床等各領域の水の拡散性の高さ(高いほど水が拡散しやすく組織が疎であることの証拠)と関連しており、さらに初回参加時から数年後の2回目参加時へのこうした領域の発達性変化への逆の影響(水の拡散性の発達に伴う減少がより少ない)と関連していたとも。また、言語知能、動作性知能、総知能のいずれも、共通して、左海馬、左尾状核、左前島、左視床、周辺の領域の水の拡散性と負相関が。今回の成果より、小児における長時間のビデオゲームプレイで、脳の高次認知機能に関わる領域が影響をうけ、これが長時間のビデオゲームプレイによる言語知能の低下と関連することが示唆されたそうです。こうした領域には海馬(記憶や睡眠)、外側前頭前皮質(実行機能、作動記憶)、代表的なドーパミン作動系領域である尾状核や眼窩皮質の他前島(いずれも報酬、意欲)が含まれ、対応する機能への影響が示唆されたそうです。とくにドーパミン作動系領域の拡散性の増大は、メタアンフェタミンの長期ユーザーでも見られる特徴で、ビデオゲーム長時間プレイ者での相同の神経改変を疑わせたそうです。