末梢神経の痛みを引き起こす原因となる遺伝子が発見されたそうです(毎日jp)。末梢神経の痛みやしびれは、神経細胞の軸細(神経線維)を取り巻く髄鞘と呼ばれる組織が壊れて神経がむきだしになって起こると考えられているそうです。髄鞘の形成を促す「サイトヘジン1」と呼ばれる遺伝子を特定し、マウスでこの遺伝子を壊したところ、80%以上の髄鞘が減少し、歩くことができなくなったそうです。動けなくなったのは神経の痛みが原因とみられるそうです。逆に、サイトヘジン1を活性化させる薬が開発されれば髄鞘の形成につながり、手足の痛みの治療に貢献できるとも。ギランバレー症候群や糖尿病による手足の痛みの治療薬開発につながる可能性があるそうです。
生後間もないひな鳥が初めて見た相手を親とみなす「刷り込み」には、脳内での甲状腺ホルモンの働きが不可欠であることが明らかになったそうです(47NEWS)。刷り込みが起こるのはふ化してから数日に限られ、その期間が過ぎると学習ができなくなるそうです。こうした特定の発達段階は「学習臨界期」と呼ばれ、人でも言語の習得や絶対音感の獲得などに適した臨界期があるとされているそうです。こうした人にも共通している可能性のあるメカニズムが解明される可能性がある研究成果だそうです。
食事でマグネシウムを多く取る人は、生活習慣病の2型糖尿病になりにくいということが発表されました(産経ニュース)。欧米の疫学研究では以前から指摘されていた傾向だそうですが、福岡県久山町の住民の健康診断データを21年間にわたって追跡した調査で確認されたそうです。これまでアジアでの研究は少なく、結果も一致していなかったそうです。調査では、昭和63年の健康診断で糖尿病ではなかった40~79歳の住民1999人を平成21年まで追跡し、このうち417人が糖尿病を発症したそうです。住民が食事で取るマグネシウムの量は、昭和63年に70項目にわたる質問で把握し、1日の平均摂取量によって4つのグループに分け、糖尿病発症との関連を調べたそうです。それによると、マグネシウム摂取量が148・5ミリグラム以下の最も少ないグループと比較すると、摂取量が増えるほど糖尿病のリスクが下がるという結果になったとのことです。また、インスリンの効きが悪い「インスリン抵抗性」の人、習慣的に酒を多く飲むなど一般に糖尿病のリスクが高いとされる人で、マグネシウム摂取による予防効果がより高い可能性も示されたそうです。驚きですね。ちなみに、マグネシウムは豆や海藻をはじめ、精製していない食品に広く含まれるそうです。厚生労働省は30~49歳の男性に1日370ミリグラム、同年代の女性に同290ミリグラムの摂取を推奨しているが、実際の摂取量は男性平均250ミリグラム、女性同224ミリグラム(平成22年国民健康・栄養調査)で、だいぶ下回っているとも。食品による取り過ぎの報告はないそうですが、サプリメントなどで過剰に摂取すると下痢などを起こすことがあるので注意が必要だそうです。もうした食品を摂取している人は、バランスのとれた食事をして、生活習慣がそうでない人に比べて良い可能性もあるかもしれません。
内閣府は、介護人材の能力を評価する「介護プロフェッショナルのキャリア段位制度」のレベル認定や、評価者(アセッサー)の育成を担当する補助事業者の募集を開始したそうです(CBニュース)。同制度では、2020年度までに累計13万人の認定者輩出を目指しており、10月下旬までに補助事業者となる団体を決定し、今年度内には事業を開始する方針だそうです。「キャリア段位制度」は、業界全体で活用できる7段階の能力の「ものさし」を作ることで、効率的な人材育成と新たな人材の参入促進を図る制度とのことです。特に実践的スキルを重点的に評価するシステムで、当面は、大多数の介護職が該当するとみられるレベル4までの認定を行うそうです。内閣府では、14年度までに2万人、20年度までには13万人を認定するとする目標を決定し、あわせて補助事業者の公募を始めたそうです。公募期間は10月9日午後5時までで、希望する団体は、9月27日に内閣府で開催される公募説明会に出席しなければならないとも。個人でなく団体なのですね。
トヨタ自動車が、人の活動をサポートする「トヨタ・パートナーロボット」の一つとして、手足の不自由な人のために、家庭内での自立生活をアシストする生活支援ロボット(HSR:human support robotの略)を開発したと発表したそうです(財経新聞)。HSRは、小回りの効く円筒型の小型・軽量ボディに折畳み式のアームを備えることにより、「床の上の物を掴んで拾う」、「薄い物を吸引して拾う」、「棚、机の上、高い所から物を取ってくる」、「カーテンを開ける」などの仕事ができるロボット。操作は、音声認識機能やタブレット端末を使って簡単に行うことができるものだそうです。さらに、人に触れることを前提に安心・安全に使えるよう配慮し、ボディやアームの駆動部に大きな力が生じないように設計しているそうです。HSRの開発にあたっては、生活の質(QOL)の維持・向上に貢献することを目指し、日本介助犬協会の協力のもと、手足の不自由な人のニーズや要望を把握し、「落ちた物を拾う」、「物を取ってくる」、「家族や介護者とのコミュニケーション」という機能の開発に取り組んできたそうです。2011年には、横浜市総合リハビリテーションセンターの協力のもと、障がい者の自宅でHSRを使った実証実験を実施し、利用者の視点を設計にフィードバックしながら開発を進めてきたとも。今後は、少子高齢化社会の課題も踏まえ、HSRを使って遠隔地から見守りや介助ができる新たな機能を開発するなど実用化を目指し、大学をはじめとする研究機関や介護・医療関係者などと連携して研究開発に取り組んでいくそうです。
ビールに含まれる成分が筋肉の萎縮を抑える効果があることが発表されました(YOMIURI ONLINE)。びっくりです。筋萎縮は寝たきり状態となることなどで、体内にユビキチンリガーゼという物質が多く発生し、たんぱく質の分解が進むことで起こるとされています。したがって、ユビキチンリガーゼの発生を抑えれば、たんぱく質の分解が減ると考え、筋肉細胞に取り込まれやすい食品を探す中で、ホップに含まれるプレニルナリンゲニンという物質が効果的であることを突き止めたというものです。寝たきりに近い状態としたマウスにプレニルナリンゲニンを与えて行った実験では、与えないマウスの筋肉量が4日で10%減ったのに対し、筋肉量にほとんど変化はなかったそうです。ただし、人間に当てはめた場合、1日1キロのホップ乾燥粉末か、約80リットルから2万リットルのビール摂取が必要だそうです。食事で筋萎縮が予防できるなんて・・・・・。
先週金曜日に、北里大学病院心臓リハビリテーションスタッフのリサーチカンファレンスで「骨格筋とその可塑性」と題して講演を行いました。心臓リハビリテーションにも骨格筋機能の維持向上は重要であることは言うまでもありませんが、循環器と骨格筋という専門が異なる方々に話をするというので、どのような話をしたらよいのか悩みました。結局、骨格筋の特性とこれまでの行ってきた研究の一部を紹介することにしましたが、聞きに来ていただいた方々の興味に合致していたのか、あるいは今後の研究や業務に役立つ話ができたのかと反省をしています。自分にとっては、専門分野の異なる方々の考え方などを知ることができたので、非常に良い経験になりました。先生やスタッフの方はもちろんですが、大学院生が非常に熱心に話を聞いてくれて感謝しています。
外傷による衝撃などで視神経が損傷した場合、薬剤を投与して根元の細胞体が死ぬのを抑制することに成功したそうです(毎日jp)。人間やマウスの目は、網膜表面にある細胞体から視神経が出て脳まで伸び、視覚情報を伝えていますが、この細胞体が大量に死ぬと視覚情報が脳に伝わりません。視神経の細胞体は傷つくと再生することがなく、視力低下や失明を起こすそうです。研究では、細胞死を誘導するASK1や、連動して働くp38という遺伝子が、視神経の損傷後に過剰に活性化し、細胞体を減少させていると予想したそうです。ASK1がないマウスを人工的につくり、視神経をわざと傷つけたところ、2週間後、細胞体の減少量は通常のマウスに比べて半分以下にとどまっていたそうです。また、視神経を損傷させた直後、p38の働きを阻害する薬剤を眼球に注射したところ、やはり細胞体の減少量が抑えられたそうです。これらから、視神経が損傷した後でも、ASK1やp38の活性を抑える薬剤を投与することで、細胞体の死を抑えることができるというのです。薬剤で細胞体を保護した後、傷付いた神経部分を再生できれば、視覚機能を回復させる新たな治療法になるということです。視神経の細胞体が死ぬことで発症し、国内で失明の最多の原因となっている緑内障の治療法の開発にもつながると期待される成果だそうです。
個人のゲノム(全遺伝情報)の医療利用が現実味を帯びてくる解読費用の水準とされた「1人分千ドル(約8万円)」をほぼ実現する機器が近く登場するそうです(MSN産経ニュース)。人間のゲノム解読が完了した翌年の2004年、米国立衛生研究所(NIH)は1人分の読み取り費用を1千万ドル以上から千ドル以下にするとの目標を設定していたそうです。安価になれば、個人の体質に合った病気の予防法や治療法の開発、利用に弾みがつきそうだということですが、どの程度人が受けるかは未知数ですね。新型の読み取り機と約100億塩基の読み取りに対応したチップが今月下旬に発売されるそうです。ただ精度を高めるには数十回分の読み取りが必要で、1人分のゲノムを高精度に解読するには、来年3月に販売を予定している約600億塩基用のチップが必要となるとも。確かに安いかもしれませんが、ちょっと怖い?
1日に数回、インスリンを注射している糖尿病患者は日本で約100万人いるそうですが、他にも成長ホルモンやワクチンなどを自己注射している患者もいます。こうした人たちの肉体的、精神的な負担を軽くしようと、世界で最も細い注射針が開発されたそうです(Science Portal)。先端部の直径が0.18ミリメートルのこの注射針は、「痛くない注射針」として2005年に販売した注射針よりもさらに0.02mm細いそうです。針はステンレス板を筒状に丸めて成形し、薬剤を抵抗なく注入できるように外径・内径とも根元で太く、先端に行くほど細いということです。皮膚への挿入をよりスムーズにするため、針の先端が日本刀の切っ先のような非対称刃面構造に加工しているとも。新しい注射針は従前品よりも直径が10%細くなった分、ヒトの皮膚表面に1平方センチメートル当たり100-200個の割合で存在する「痛点」に触れる可能性が低くなり、痛みを感じにくいそうです。これも日本の技術ですね。