横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

心房内シャント作成術の重症心不全に対する有効性:新しい心不全治療

2020-03-10 17:09:06 | 心臓病の治療
Circulation. 2018;137:364–375. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.117.03209

Circulationに報告された論文によると、NYHA Class III-IVの重症の心不全で、左室駆出率40%の症例において、経カテーテル的に心房内シャントを作成すると、肺静脈楔入圧が平均5mmHg低下し、臨床的な運動耐用能が改善するという報告があります。
 重症心不全では、なかなか根治的な治療が難しい患者さんがいますが、左房内の圧を下げて肺静脈の鬱血を軽減させることで姑息的ではありますが、心不全を改善し、寿命を延長し、症状が改善するのであれば、十分やってみる価値のある治療と思われます。日本国内で行われているのかはまだ知りませんが、こうした新しい治療が増えて治療の選択肢を広めることにより少しでも心不全パンデミックに対応していくことが必要と思います。

 この心房内シャントを作成する専用のデバイスも開発研究が進んでいるようです。
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明日で震災から9年

2020-03-10 09:37:38 | その他
 明日2020年3月11日は東日本大震災からちょうど9年です。9年前何をしていか、皆さんはどのように過ごしていたでしょうか?
 ちょうどその時は、筆者は初代横須賀市立うわまち病院部長として、勤務していました。金曜は今と同じように外来日で、通常の診察が終わり、予定していたインタビューーの仕事を受けている最中でした。けっこう揺れが長いのに、そのままインタビューを終了するまで継続しました。まさかそのあとあのような大災害になっていることを知るとはその時点では想像もしていませんでしたが、横須賀市内全域が停電し、電車もストップ、信号も点いていない状況を初めて体験しました。
 津波がくるかもしれない、ということで横須賀湾添いの地下に自分の車を駐車していたので、自宅へ夕方もどり、当時はビルの一階に居住していたので可能な限りのブルーレイデッキやテレビなど電化製品を少しでも高いところにあげてから、ショッパーズで帰るだけのお弁当を山のように購入して自家用車で病院に戻り、購入したお弁当を夜勤のナースに配布しました。当日はレンジで解凍するような夕食のナースが多く、電気が使えない状況で夜ご飯がないという人がたくさんいたので配りましたが、その時は全くお金を払ってくれる人はいませんでした。筆者もお弁当の代金をもらおうとは全く思わなかったので、それでいいと思うのですが、そういうときってその日の食事もない人ってけっこう多いという事実を実感しました。
 当日のうちに自衛隊員は横須賀から援助に出向したので横須賀湾は空っぽになりました。
 停電の夜を過ごし、そのあと繰り返される計画停電のため自分の送別会もすべてキャンセルになり、ちょうど4月からさいために転勤だったので、計画停電の中の引っ越しという得意な体験をしました。自分はまったく苦労はしませんでしたが、停電の中、エアコンの取り付け作業をしてくださった人に非常にご苦労をかけてしまい、たいへん感謝しています。
 友人知人に数日連絡をとれませんでしたが、周りの人全員が元気であることを確認したときには安堵しました。

 今までたくさんの災害を経験しましたが、定期的にやってくる災害を毎回のりこえなくてはならい日本、ALL  JAPANで難局をのりこえていきたいものです。
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