横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

NP(Nurse Practitioner)に心臓外科医の代わりに大伏在静脈を採取してもらう?

2020-03-09 17:35:20 | 心臓病の治療
 働き方改革の名の下に事務職やその他の業務が軽減化しているなか、帰って仕事が集中して業務が増える一方の医師に対して、医師の仕事の補助、肩代わりを目的にナースの業務範囲を拡大したNP=Nurse Practitionerに期待を寄せられています。横須賀市立うわまち病院でも特定行為認定看護師に、心臓血管外科でチーム医療を行っていくにあたり、外科医は手術に集中できるようにたいへんなサポートを頂いています。他病院からの特定行為の研修を多く受け入れていますが、その中で、
「大伏在静脈の採取もいずれはさせてもらえるんでしょうか?」と素朴な質問を頂きました。
 たしかに、海外ではアシスタントが大伏在静脈を採取し、外科医は後からやってきて冠動脈バイパス術において実際の冠動脈の吻合をおこなうだけ。開胸も閉胸もアシスタントが行う、ということを聞いたことがあります。
 たくさんの手術症例を一人の外科医がこなすにはこうした分業が必要ですが、そこまでのハイボリュームセンターはまだ国内ではなかなかないのが実情です。ナースに大伏在静脈を採取してもらうまえに修練医に経験させる方が優先されるからです。もっとまえに器械だしをするスクラブナースの人手不足のほうがはるかに申告です。
 外科医が一人で心臓血管外科診療を実際に行っている病院も現実としてあるので、そうした限られた施設においては需要があるかもしれませんが、そうした小規模の施設は今後なくなっていく可能性があることをかんがえると、まだまだ日本の施設においては、病棟管理や術後管理、麻酔の補助などに需要が大きいと考えられます。
コメント
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