横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

心室中隔欠損症の閉鎖手術:MICS可能かどうか

2020-03-03 17:30:13 | 心臓病の治療
 心室中隔欠損症は最も多い先天性心疾患の一つで、左心室から右心室へ短絡する血液量が多いと右心室の負担が増加し、そこから左心房、左心室へ回ってくる血液量も増加するため左心室の負担が結果的に増加する両心負荷の状態となります。この短絡量が多い場合は手術で欠損孔を閉鎖する必要があります。
 一般的には胸骨正中切開での正中アプローチでの手術が行われていますが、症例によっては右小開胸によるいわゆる低侵襲アプローチも可能です。これは心室中隔欠損症のタイプによって、すなわち欠損孔の位置によって可能かどうか決定されます。成人の場合は、ほとんどの場合は肺動脈弁下型か、膜性部型のどちらかです。他に漏斗部型や心内膜床型は珍しいうえに複雑な手術が必要となることが多く、また筋性中隔型は手術適応にならないことが多いと認識しています。肺動脈弁下型の場合は肺動脈を切開して、肺動脈弁ごしに欠損孔に到達してパッチ閉鎖するため、正中からのアプローチにする必要があります。一方、膜性部型の場合は、右房切開からのアプローチになるので通常のMICS=右小開胸によるいわゆる低侵襲アプローチが可能となります。
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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と心臓血管外科診療

2020-03-03 17:19:33 | 心臓病の治療
 連日新型コロナウィルス感染症のついてのニュースが世間を賑わせているだけでなく、社会生活に深刻かつ重大な影響を与えている今日この頃です。まさにこれは災害に対する対応を迫られている現状ですが、大地震などと違うのは、社会資源が破壊されることなく一時的に停止しているだけ、という状況ですので、正常に機能が回復した途端にもとの日常に復帰できるという点です。マスクやその他の資材が手に入らない状況も、向上が破壊されたわけではないので不足の状況は一時的なはずです。

 心臓血管外科診療に関しては横須賀市立うわまち病院は、指定感染症の入院施設ではないため、新型コロナウィルス感染症が発生しても入院治療を現時点では行う段階ではなく、診断された患者様が発生した場合、保健所と協議の上、最初は指定施設へ移動して入院してもらうことになります。今後患者数が増加して指定された施設では収容できなくなった場合は、一般病棟へ入院することになり、そうなった場合は、横須賀市立うわまち病院にも感染した患者様を入院受け入れしていく可能性があります。その対策のために毎週対策会議が繰り返し行われていますが、まず最初に段階としては、隔離可能な病状へ入院してもらい、それでも数が多くなった場合は一般病棟へ影響が出て、場合によっては集中治療室で管理するということになると、集中治療室を二つに機能と場所を分けて管理することになります。それでも集中治療室の機能が損なわれるまでに患者数が増加した場合は、予定の心臓血管外科手術は延期となり、緊急手術にのみ対応することになります。現在休校措置などいろいろな対策が行われておりますが、それでも大流行した場合は、こうした日常診療に大きな影響がでる可能性があり、我々心臓血管外科医も、COVID-19に対する診療に直接従事する可能性があります。現時点では内科のドクターが診察に当たりますが、万が一、内科医師が感染したりして手が足りなくなると我々外科医にも必然と対応を迫られることになります。
 このまま終息してくれることを祈るばかりです。
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