横須賀うわまち病院心臓血管外科

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完全鏡視下3D=MICSーMVPの見学

2021-12-07 06:44:33 | 心臓病の治療
 3D内視鏡による完全鏡視下MICSの第一人者である名古屋第一赤十字病院の伊藤敏明先生のところに、日帰りで手術見学に行ってまいりました。僧帽弁後尖P2の逸脱に対して、人工腱索4対での僧帽弁形成術、なんとSkin to skinで1時間58分で終わりました。人工心肺開始まで15分、遮断まで30分以内で到達しており、まさに全くの無駄な動きというか操作がない完璧な手術を見学できて、達人の技とはこうしたものか、と驚愕と感動を覚えました。上手な外科医の手術ほど、見学していて簡単そうに見えるものですが、3次元の画面での操作を見ていて、これなら自分でもできそう、って思えてしまいましたが、その一つ一つの手技に計算されつくした理論と工夫があり、この域に達するには相当な研鑽が必要なことも事実と思います。数年前に見学したときよりもいろいろな点で改良進化しているのも驚きました。
 手術終了後にカフェでいろいろと手技の細かいところを教授いただく時間がありましたが、術中の形成の出来栄えだけでなく、将来的に形成した僧帽弁の動きがどうなっていくのかを考えながら人工腱索の長さや形成の形態を作り上げていく奥の深さに感銘しました。最後にその前週にうわまち病院で三次元完全鏡視下で行った僧帽弁形成の手術ビデオを見ていただき、形成の出来栄え、人工腱索の長さなどを評価して頂きましたが、「いんじゃない?」と言われました。手技に関してこれだけこだわりと厳しい目をお持ちの達人に「いんじゃない?」という評価は、個人的には「合格!」という評価と受け止めていいのではないでしょうか。もちろん、自分の中ではパーフェクトな手術をした動画を見ていただいたつもりです。それでも今回の見学を経て、まだまだ手術の技の奥は深い、ということを改めて実感しました。



この日の新幹線から見える富士山も素晴らしかったです。
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