大動脈弁輪の左室側に近い、大動脈側から見て一番落ち込んだ深い部分をNadirと呼びますが、これは英和辞典で検索すると、発音記号(néidər | -diə)と近い日本語はネイダー、もしくはネイディアと発音するそうです。Native English Speakerに発音を確認したいところですが、英語での大動脈弁置換のレクチャーや発表で、ナディールという発音でしゃべっている外人を何人か聞いたことがあります。実際はどうなのでしょうか、ご存じの方、教えてほしいです。
→ 留学経験のある大学で准教授をしているドクターが当院に見学にいらした際に聞いてみたところ、ネイディアではないか、との話でした。当院ではネイダーと呼ぶことにします。
さて、このNadir、日本人のお医者さんたちは、ナディール、もしくはナディアと呼んでいる人が多いのですが、ナディアというと、アニメ「不思議の海のナディア」とか、トヨタの車種「ナディア」を思い浮かべます。そこで、日本語で言うナディアという言葉をネット検索してみたところ、ナディアのスペルはNadiaで、これはロシア語の「希望(надежда)」(ナディージタ)を語源とするそうで、ロシアでは女性の名前として一般的だそうです。希望、という名前、日本ではさしずめ、「のぞみ」さん、という感じでしょうか。
一方、大動脈弁置換で出てくるNadirはスペルも違っていますが、こちらを英和辞典で調べると、意味は、「どん底」(人生の)です。画像検索するとイカ墨パスタを頬張るグロテスクなロックバンドが出てきました(https://vk.gy/images/10911-flyer.png)。
人生のどん底と希望、まったく意味が正反対になってしまうので、少なくともナディアとは呼ばずにやはり、ネイダー、もしくはネイディアと呼ぶのが正当でしょうか。
ちなみに天文学では、Nadirは天底という言葉があり、天頂(Zenith)の反対語だそうです。Zenithといえば、そういう名前のステントグラフトがありますね。