横須賀うわまち病院心臓血管外科

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心膜開窓術=Fenestration

2018-09-18 20:40:49 | 心臓病の治療
心膜は非常に強い組織で心臓を覆っている袋です。この膜は丈夫なので、牛の心膜を人工弁の膜に使用したりしています。人間の心膜で大動脈弁の代わり(尾崎手術)にしたり、僧帽弁形成術に使用したりするのも丈夫さゆえです。

しかし、この非常に丈夫な膜は、もし心膜の内側に出血したり、心嚢液がたまったりすると、伸縮もしないので、心臓の拡張を邪魔して、いわゆる心タンポナーデによる心不全やショックの原因となります。このため、心膜に穴をあけて、貯留している液体が胸腔に逃がして、心タンポナーデを予防する処置を心膜開窓術といいます。胸腔に逃がす場合と、横隔膜を開けて腹腔に逃がす場合があります。心嚢液の貯留する心膜炎や癌性心膜炎の際に実施することがあります。同時に心膜の組織生検を行うことが多いです。だいたい500円玉サイズの穴をあけることが多く、小さすぎると閉塞の可能性があり、大きすぎると心臓脱の危険があります。

 心胸膜欠損という先天奇形がありますが、これを人為的に作成するのと同じです。

開窓術 = Fenestration と英語では表記しますが、Fenestraって昔勉強したイタリア語では「窓」の意味だったと記憶しています。

他に心臓血管外科領域でFenestrationっていうと、大動脈解離で偽腔と真腔の間にあるフラップに穴を開ける開窓術があります。こちらは真腔と偽腔の圧を同じくすることで主に腹部臓器・下肢血流障害を解除する技です。
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