横須賀うわまち病院心臓血管外科

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Intuity 神奈川県1例目実施

2021-03-30 05:32:13 | 心臓病の治療
 大動脈弁狭窄症に対するスーチャレス弁(縫わなくてよい人工弁)は短時間で人工弁の移植ができるためRapid Deployment Valveともいわれます。現在市販されているものとして、Edwards Scientific社のIntuityと、LivaNova社のPercevalがあります。横須賀市立うわまち病院では大動脈弁置換術の半数を右小開胸アプローチで実施しており、その質の向上、時間の短縮、術者の幅を広げるために今後は積極的にこのスーチャレス弁を採用していく予定です。
 すでに1例ずつPerceval、Intuityを実施しており、Intuityにおいては神奈川県内で第一例目を実施しております。Percevalにおいては、おそらく6例目くらいの実施を当院で行いました。
 Intuityにおいては19mm以上の弁輪径のサイズがありますが、実は実施しようとした3例中2例が19mmのサイズが入らいない、もしくはバレルのサイザーがようやく通過してもきつく、レプリカのサイザーが弁輪まで落ちないということで適応外と判断し、従来の生体弁置換に術中方針を変更しました。Intuityは既存のMagna弁の下に圧着するためにカフが装着されており、このカフが広がって弁下の部分で圧着させて固定するタイプの弁であり、このカフの部分が人工弁の本来のカフの部分よりも0.8mm大きいためにサイザーも大きめです。このため、従来の人工弁が通過する弁輪径でも入らないということが多く発生する可能性があります。特に横須賀市立うわまち病院では80才以上の高齢者の患者さんが1/3以上を占めており、小柄な女性が多いため弁輪径が小さい可能性が高い現状があります。術前の計測で23mmある患者さんでも19mmが入らないということも起きていますし、また、術前19mmギリギリという患者さんでも21mmが入ったという事例もありました。
 特にスーチャレス弁は適切なサイズを移植しないと弁周囲逆流が起きる可能性が増えるので術中のサイズ選択は非常に重要です。
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