私の友達に
アンパンマン と名乗る不可思議な男がいる
アンパンマン氏と知り合ったのは今から24年前、25歳の頃
当時、私が働いていた会社で知り合った
アンパンマン氏と私は同年、
アンパンマン氏は
仕事面では
口八兆、 手八兆 かなりのやり手 口が悪く
毒舌でイタズラ好き
同じ職場のパートのオバチャンに
巧妙なイタズラをしかけ
イジメるのが趣味
でも、不思議な事に
アンパンマンに まんまとハメられた
オバチャン達は
彼に対して決して怒ったりはしない
むしろ、嬉しそうな顔をする
「 俺は世渡り上手のバチ当たりだ!!!! 」
これがアンパン氏の口癖
アンパンマン氏は自ら、自分が 悪人 であると言う事を
常に、堂々と 周囲の者に公言していた
そんな彼の言動にたいして
初めは少々の不信感をもっていた
ただ者ではない・・・
何か、裏がある・・・・・
油断しているとアンパンマン
裏の 裏をかいて 何かを仕掛けて来るかも知れない・・・
アンパン氏と知り合って約一年くらいは
距離を置いて彼の動向を観察していた
当時、同じ職場に 砂川恵美 という50歳くらいのオバチャンがいた
このオバチャンのご主人は
日雇いの土木作業の仕事をしてみえるお方
このご主人、稼いだ金はほとんど飲み食いに使ってしまうような
お方、貯金などまったくしない
当然の事ながら、家はビンボウ
古い借家に住み
前歯が抜けていて
背が低く
見るからに 貧相で汚らしく、品がない、
でも、この夫婦、もの凄く仲が良い
砂川恵美さんご主人より背が遥かに高く
体格もガッチリしていて大柄な女性
とても美人とは言えないが、気さくで、優しく、
親切なお方であった
ある日の事、砂川恵美さんが少し迷惑な話を
私とアンパンマンに持ちかけてきた
「ウチの主人がぜひとも、食事をご馳走したいといっている
近くに物凄く安くて美味しい中華料理屋があるので、
そこへ招待します !! 」
私はあまり乗り気にはなれなかった
それは、アンパンマン氏も同様であった
断るのも気が引ける
結局、断りきれず、ご馳走になる事に決めた
・・・・・・・・・・・・・・・
会社のすぐ近くにある中華料理の店に案内される
砂川オヤジは嬉しそうな顔で言った
おお! 若いの!! 今日は俺が おごる から遠慮せすドンドン食べてくれ!!
まずは餃子でも食うか!!
おい!!! 店員さん!!! 餃子 3人前!!!
餃子が運ばれて来た・・・・・
3人前と言っても
一見した所、6人前位の量がある
砂川オヤジ テーブルに置かれた餃子を真っ先に1つ食べた
うまい!!!! この店は安くて、量が多くて、美味しいんだ
おい、若いの! とんどん食べてくれ!!!
・・・・・・・・・・
何だかイヤな予感、確かに量は多いけど・・・
見るからにマズそう・・・
1つ食べてみた、
んんん・・・・・・・
これはヒドイ・・・・・・
冷凍の餃子を茹でて、しばらく放置したような感じの食感
皮がぶよぶよで、焦げ目がない
中身の具はパサパサしていてほとんど水気がない・・・
砂川オヤジは旨そうにパクパク食べている
出されたものを残す訳にはゆかない・・・・
アンパン氏の顔色を伺った
アンパン氏も私の顔色を伺っている様子
目が遭った
アンパン氏の目は 私に ・・・・・ と訴えている
私は「美味しいですね」と言って全部 食べた
アンパン氏も 美味しい!!
と言いながら自分の分は平らげた
・・・・・・・・・・・・・・・・・
気を良くした砂川オヤジ
そのあと勢いに乗って他の料理を 次から次えと注文する
どれを取っても量は多いが 恐ろしい程 マズい・・・
砂川オヤジの好意を無にする訳には行かない・・・・
砂川オヤジ 口が悪く、柄が悪いが
優しさが伝わって来る
私と、アンパン氏は食べ続けた
・・・・・・・・・・・・・
もう限界だ・・・・・・と思っていると
砂川オヤジが更に追い討ちをかけてきた
ここの 野菜炒め は旨いぞ・・・・
食べるか?
私とアンパン氏は
声を揃えて言った
「 もう十分です、お腹一杯でこれ以上は食べられません 」
ナニを情けない事言っているんだ!!!
遠慮せず食べろと言ったじゃないか!!!
おい! 店員さん! 野菜炒め 3人前持ってきて!
・・・・・・・・・
アンパン氏の顔を見ると、苦しそうな顔をしている
アンパン氏は育ちが良く、かなりの美食家
酒が好きで、酒を飲みながら美味しい物をホンの少しだけ
食べるといったタイプ
私は、酒より 食べる方が主である
その気になれば結構な量を食べる事が出来た
そんな私でも、ここまでが限界だった
ましてや、アンパン氏は私以上に苦しいはず・・・
・・・・・・・
大皿に1つに盛られた 野菜炒め 3人前が運ばれて来た・・・
量が半端じゃない・・・
普通の5人前に匹敵する程の量であった
もう、一口も食べたくない思いであった
決死の思いで
取り皿に少し取って食べてみた
想像を絶するマズさだった・・・・・
アンパン氏、私の耳元で砂川オヤジに聞こえないように
ソッとつぶやいた
マズ過ぎる・・・・
湯通し した野菜に油を混ぜ、ソース と ケチャップ と 砂糖で
味付けしたような味だった
いま思い出しても
あれほどマズイ野菜炒め を食べたのは、あれが最初で最後のような気がする
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おい!!! なに遠慮してるんだ!!!
旨いだろう!!! 俺の分も食え!!!
砂川オヤジ 3人前頼んでおいて自分はほとんど食べず
ビールばかり飲んでいる
もうこれ以上食べられない・・・・
さすがの私も、完全な限界を感じた
もし、これ以上食べたら、たぶん嘔吐していだだろう・・・・
このとき、私はアンパンマン氏の本質を垣間見ることとなる
なんと、アンパン氏、この恐ろしくマズい、
大量な野菜炒めを一人ですべて平らげてしまったのだ
この光景を目の当たりにしたとき
アンパンマン氏の本質を見た気がした
それまで、
この男・・必ず何か裏がある・・・と警戒していた
この野菜炒め をいかにも美味しそうな顔をして
嬉しそうに黙々と食べる姿を見たとき
アンパンマン氏の 器の大きさが 実感として分かった
これは理屈では説明できない、以心伝心 の世界
負けた・・・・・
アンパンマン恐るべし・・・・・
この一件以降、私はアンパンマン氏に
絶対的な信頼をもつようになっていた ・・・・
アンパンマン と名乗る不可思議な男がいる
アンパンマン氏と知り合ったのは今から24年前、25歳の頃
当時、私が働いていた会社で知り合った
アンパンマン氏と私は同年、
アンパンマン氏は
仕事面では
口八兆、 手八兆 かなりのやり手 口が悪く
毒舌でイタズラ好き
同じ職場のパートのオバチャンに
巧妙なイタズラをしかけ
イジメるのが趣味
でも、不思議な事に
アンパンマンに まんまとハメられた
オバチャン達は
彼に対して決して怒ったりはしない
むしろ、嬉しそうな顔をする
「 俺は世渡り上手のバチ当たりだ!!!! 」
これがアンパン氏の口癖
アンパンマン氏は自ら、自分が 悪人 であると言う事を
常に、堂々と 周囲の者に公言していた
そんな彼の言動にたいして
初めは少々の不信感をもっていた
ただ者ではない・・・
何か、裏がある・・・・・
油断しているとアンパンマン
裏の 裏をかいて 何かを仕掛けて来るかも知れない・・・
アンパン氏と知り合って約一年くらいは
距離を置いて彼の動向を観察していた
当時、同じ職場に 砂川恵美 という50歳くらいのオバチャンがいた
このオバチャンのご主人は
日雇いの土木作業の仕事をしてみえるお方
このご主人、稼いだ金はほとんど飲み食いに使ってしまうような
お方、貯金などまったくしない
当然の事ながら、家はビンボウ
古い借家に住み
前歯が抜けていて
背が低く
見るからに 貧相で汚らしく、品がない、
でも、この夫婦、もの凄く仲が良い
砂川恵美さんご主人より背が遥かに高く
体格もガッチリしていて大柄な女性
とても美人とは言えないが、気さくで、優しく、
親切なお方であった
ある日の事、砂川恵美さんが少し迷惑な話を
私とアンパンマンに持ちかけてきた
「ウチの主人がぜひとも、食事をご馳走したいといっている
近くに物凄く安くて美味しい中華料理屋があるので、
そこへ招待します !! 」
私はあまり乗り気にはなれなかった
それは、アンパンマン氏も同様であった
断るのも気が引ける
結局、断りきれず、ご馳走になる事に決めた
・・・・・・・・・・・・・・・
会社のすぐ近くにある中華料理の店に案内される
砂川オヤジは嬉しそうな顔で言った
おお! 若いの!! 今日は俺が おごる から遠慮せすドンドン食べてくれ!!
まずは餃子でも食うか!!
おい!!! 店員さん!!! 餃子 3人前!!!
餃子が運ばれて来た・・・・・
3人前と言っても
一見した所、6人前位の量がある
砂川オヤジ テーブルに置かれた餃子を真っ先に1つ食べた
うまい!!!! この店は安くて、量が多くて、美味しいんだ
おい、若いの! とんどん食べてくれ!!!
・・・・・・・・・・
何だかイヤな予感、確かに量は多いけど・・・
見るからにマズそう・・・
1つ食べてみた、
んんん・・・・・・・
これはヒドイ・・・・・・
冷凍の餃子を茹でて、しばらく放置したような感じの食感
皮がぶよぶよで、焦げ目がない
中身の具はパサパサしていてほとんど水気がない・・・
砂川オヤジは旨そうにパクパク食べている
出されたものを残す訳にはゆかない・・・・
アンパン氏の顔色を伺った
アンパン氏も私の顔色を伺っている様子
目が遭った
アンパン氏の目は 私に ・・・・・ と訴えている
私は「美味しいですね」と言って全部 食べた
アンパン氏も 美味しい!!
と言いながら自分の分は平らげた
・・・・・・・・・・・・・・・・・
気を良くした砂川オヤジ
そのあと勢いに乗って他の料理を 次から次えと注文する
どれを取っても量は多いが 恐ろしい程 マズい・・・
砂川オヤジの好意を無にする訳には行かない・・・・
砂川オヤジ 口が悪く、柄が悪いが
優しさが伝わって来る
私と、アンパン氏は食べ続けた
・・・・・・・・・・・・・
もう限界だ・・・・・・と思っていると
砂川オヤジが更に追い討ちをかけてきた
ここの 野菜炒め は旨いぞ・・・・
食べるか?
私とアンパン氏は
声を揃えて言った
「 もう十分です、お腹一杯でこれ以上は食べられません 」
ナニを情けない事言っているんだ!!!
遠慮せず食べろと言ったじゃないか!!!
おい! 店員さん! 野菜炒め 3人前持ってきて!
・・・・・・・・・
アンパン氏の顔を見ると、苦しそうな顔をしている
アンパン氏は育ちが良く、かなりの美食家
酒が好きで、酒を飲みながら美味しい物をホンの少しだけ
食べるといったタイプ
私は、酒より 食べる方が主である
その気になれば結構な量を食べる事が出来た
そんな私でも、ここまでが限界だった
ましてや、アンパン氏は私以上に苦しいはず・・・
・・・・・・・
大皿に1つに盛られた 野菜炒め 3人前が運ばれて来た・・・
量が半端じゃない・・・
普通の5人前に匹敵する程の量であった
もう、一口も食べたくない思いであった
決死の思いで
取り皿に少し取って食べてみた
想像を絶するマズさだった・・・・・
アンパン氏、私の耳元で砂川オヤジに聞こえないように
ソッとつぶやいた
マズ過ぎる・・・・
湯通し した野菜に油を混ぜ、ソース と ケチャップ と 砂糖で
味付けしたような味だった
いま思い出しても
あれほどマズイ野菜炒め を食べたのは、あれが最初で最後のような気がする
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おい!!! なに遠慮してるんだ!!!
旨いだろう!!! 俺の分も食え!!!
砂川オヤジ 3人前頼んでおいて自分はほとんど食べず
ビールばかり飲んでいる
もうこれ以上食べられない・・・・
さすがの私も、完全な限界を感じた
もし、これ以上食べたら、たぶん嘔吐していだだろう・・・・
このとき、私はアンパンマン氏の本質を垣間見ることとなる
なんと、アンパン氏、この恐ろしくマズい、
大量な野菜炒めを一人ですべて平らげてしまったのだ
この光景を目の当たりにしたとき
アンパンマン氏の本質を見た気がした
それまで、
この男・・必ず何か裏がある・・・と警戒していた
この野菜炒め をいかにも美味しそうな顔をして
嬉しそうに黙々と食べる姿を見たとき
アンパンマン氏の 器の大きさが 実感として分かった
これは理屈では説明できない、以心伝心 の世界
負けた・・・・・
アンパンマン恐るべし・・・・・
この一件以降、私はアンパンマン氏に
絶対的な信頼をもつようになっていた ・・・・