老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

さくら貝

2015-05-21 09:47:50 | 俳句
  美しき桜貝一つ  去り行ける君にささげん
  この貝は去年の浜辺に  われ一人 ひろいし貝よ
               作詞  土屋花情
               作曲  八洲秀章

 この歌が好きでよく口ずさんでいた。
 亡くなった 殿 を連れて、車で一時間くらいの海へ行く。
浜辺で 殿 を放す。殿 が思いきり浜辺を駆けまわる姿を見るのも好きだし。。。。
 ここには、さくら貝が落ちているのだ。夫と目を凝らして探しても、一日に
2、3枚も拾えれば、最高。浜辺には、一面に貝が打ち上げられていて、貝殻を
踏まなければ歩けない。ほとんど貝殻の残骸ばかりなのだ。その中から、割れていない
形の整ったさくら貝を見つけ出す。遠くから、夫が「あったぞー」  殿 が駆けて
行く。

   ☆  鎌倉や暁の汀の桜貝    いさ桜子
   ★  桜貝ひとつ拾ひてひとつきり   三村純也

 この浜の、さくら貝。
いつでもは落ちていない。いわゆる 貝寄風 の頃、が一番多い。
強く吹く季節風によって、多くの貝が吹きよせられる例のとおりに。旧暦の2、3月頃
浜は砂嵐のような風が吹く日も。
 貝寄せが吹いていると思う夜、夫に、明日はさくら貝を拾いに連れて行ってと頼み込む。

   ☆  貝寄風の風に色あり光あり   松本たかし

 拾ってきたさくら貝に、透明のマニキュアを塗る。今にも壊れそうな貝にマニキュア
を塗ると丈夫で強そうになる。色もそのままなで、美しいさくら貝だ。ちょっと、光を
おびるが。。。
それを、透明の小さな瓶に入れて、まるで宝もの扱いに大切に保存している。
溜て溜て、瓶の半分以上にはなっている。
拾って瓶に入れた時のままだ。今朝その瓶を見て、 殿 のことを思い出した。


   🌼  琴爪の袋に仕舞ふさくら貝    









  
コメント
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