Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

スーパー細菌

2006-01-19 | 想い・雑感
 5年ほど前のキーワードの一つは、環境ホルモンでした。その後地球環境が改善しているとも思えないのに、最近はあまりこの言葉を聞かないのは他に問題が多すぎるからでしょうか。
 そして環境ホルモンの一つにあげられていたのが、ダイオキシン。数年前にこれを分解する細菌の話を聞いて、いろいろな生物がいるものだと感心しました。
 さらには、スフィンゴモナスという細菌の仲間には、体の表面に大口(体腔(たいこう))をあけて高分子物質を丸ごとのみ込んで分解する種類もいるそうで、またまたびっくり。
 さらにさらに何と今回、ダイオキシンを食べる細菌に、大口を開ける細菌の遺伝子を組み込み、これまでの倍のダイオキシン処理能力を発揮するスーパーマン(細菌)を開発したそうです。
 生物の多様性にも驚きますが、人間もいろいろ考えますね。今後もいろいろな役に立つと思われる細菌を作り出すのでしょうが、怖い気もします。
 よかれと思って作り出した細菌が、とんでもない害をもたらすかもしれないし、最初から害をもたらすことを目的とした細菌を作り出そうとする人もいるだろうし…。

 それにしても、細菌にとっては、すごく栄養が偏りそうな話ですね。取り込んだダイオキシンは何に代謝されるのでしょうか。ベンゼン還があるから何かに利用するのかな?

加藤芳郎さん

2006-01-17 | 想い・雑感

 漫画家の加藤芳郎さんが亡くなられたそうですね。
 加藤芳郎さんの印象は、漫画家としてもさることながら、何と言っても連想ゲーム
 男性軍、女性軍に別れ、キャプテンの出すヒントから、問題の言葉を連想し当てるというもの。
加藤さんは男性軍キャプテンとして、軽妙、素朴、時に意外なヒントを出し続け、人気がありました。私が中学生の頃からはじまり、よく家族皆で楽しみました。

 懐かしいなあ。
 そのまま当時の茶の間に戻っていきそうな気分です。

 寂しいなあ。
 現在に戻ると、周りからはいろいろな人がいなくなってしまいました。

 亡くなられた原因は呼吸不全と有りましたが、肺炎でもこじらせたのでしょうか。

 ご冥福をお祈り致します。合掌。


腹腔鏡

2006-01-17 | 医療・病気・いのち
 腹腔鏡というのは、小さな穴から、お腹の中に挿入し、直接内蔵を観察するものです。20年以上前から、肝臓を直接見たりという検査のために使われていました。その腹腔鏡を目として用い、お腹を大きく切らずに鉗子などの器具だけを小さな切開創から挿入し手術までやってしまおうというのが、腹腔鏡下手術です。
 日本では、1990年代初頭から徐々にはじめられ95年頃から爆発的に手術例数が増加してきました。手術器機と技術の進歩が進み、次第に癌の手術にも応用できるようになりました。今後さらに難度の高い手術にも応用可能となると思います。
 手術の傷が小さい、手術中お腹の中の臓器がほとんど空気にさらされず乾燥しにくい、などの利点がある反面、手術時間が少し長めにかかる、腹腔鏡の視界が限定されており見えないところでの臓器損傷の可能性が有る、その他欠点もあります。
 それでも腹腔鏡下手術が可能な状況であれば、その方がやはり術後は楽です。
 可能かどうかは、様々な条件が重なって決定されるので、腹腔鏡下手術を検討される際には、医師に詳しく説明を受けてください。

癌性腹膜炎

2006-01-16 | 医療・病気・いのち
 胃癌の再発形式で多いのは、腹膜再発。
 胃の原発巣から、お腹の中にこぼれ落ちた癌細胞が、仲間を増やしていく。
 最初は、しこりとして認識できないので、エコーでも、CTでもとらえることが難しい。再発部位がはっきり分からないのに、腫瘍マーカーが上昇してくるときなどは、腹膜再発であることが多い。 
 腹水までたまる状態になると、癌性腹膜炎と呼ばれたりする。
 腹膜再発は、極めて治療が困難。
 医学の無力さを痛感。

 10年も前なら、癌性腹膜炎と診断がつけば、3ヶ月から半年くらいの命であることも多かった。しかし、最近では以前の抗癌剤治療より苦痛が少なく、1年から2年くらい命を保つことも出来るようになった。だから、多くの場合、外来通院で抗癌剤治療を行うことが出来る。
 
 これが、進歩といえば進歩だが、当然永遠の命を得られるわけではない。

悲嘆を受け止める

2006-01-16 | 想い・雑感
 グリーフケアという言葉を知りました。
  ーーーー>http://marukolog.blog41.fc2.com/blog-entry-53.html

 私は、母を亡くして8年ちょっと。父を亡くしてもうじき1年。
 普段、自分では何とか乗り越えて生きているつもりなのですが、
ときに発作的に、無性に会いたくなることがあります。奥底に
ドスーンと悲しみが落ち込んで来ることがあります。何かを
乗り越えることが出来ずにいるのかもしれません。

 グリーフケア

 悲嘆の時、じっと耳を傾けてくれる人がいて、思いをすべてはき出すことが
できれば、ひとはつらさを乗り越えやすくなるのかもしれません。

イタイイタイ

2006-01-14 | 想い・雑感
 昭和40年代のキーワードの一つは、公害だと思う。 子供の頃、白黒テレビから流れてくる、水俣湾周囲の町で見つかった奇病(水俣病)の映像を見てびっくりした記憶がある。
 そんな中で、最初に公害として認定されたのは、患者が痛い痛いと言って亡くなっていくことからイタイイタイ病と命名されたものでした。水俣病と同様細菌説なども有ったようですが、原因はカドミウムという重金属でした。
 そんな公害、もう過去のものと思いきや中国で出現。何ともやりきれない気がします。
 でも対岸の火事ではないような気がします。 中国からはたくさんの農作物が輸入されていますが、その作物を育んでいる土壌が汚染されているとしたら…。 重金属は、食物連鎖の下流に流れるに従い、脂肪組織などに蓄積されていきますが、川に流されたカドミウムは、海の生物にも当然影響を及ぼすし…。
 地球規模の問題になってくる予感。私たちに何が出来るのだろうか?

QOL (Quality Of Life)

2006-01-14 | 想い・雑感

 約10年くらい前から、医療分野のキーワードの一つとなっている言葉。最近では日常生活で使われることもあったりと、言葉として市民権を得てきている印象。

 
 「生活の質」と訳している場合もありますが、少し味気ない感じがします。Qualityには「上質な」という意味合いも含まれているようですし、当然Lifeは人生でもあるわけですよね。日本語に訳さずに、そのままQuality Of Lifeと使った方が、イメージが広がる気がします。


 人生に置いて、何に価値を置くか、どうすると心地よいのか、どう在りたいのか、どんなときに満足を感じるのか。これは一人一人違いますし、一人の中でも置かれてる状況によって変わってきますよね。

 医療に置いてQOLというのは、あくまで患者自身の価値判断によるというのが筋だと思うのですが、よくよく考えると家族の判断だったり、医師や看護師の判断が紛れ込んだりという状況が頻繁にあるような気がします。 この状況を打破するのは、患者自身が語ることだと思います。家族に話し、医療者に訴え、相互に意見を表現しあうことだと思います。そんなコミュニケーションを通して、きっとよりよい選択肢が見つかっていくはずです。

 これって、医療現場に限らず、日常に置いても当たり前かな。 


疼痛コントロールの階段

2006-01-13 | 医療・病気・いのち
 緩和ケアという言葉をご存じですか。
 痛みその他のつらい症状を緩和するための医療です。
 皆さんは、こういう医療のすべてを、ホスピスや緩和ケア病棟でしか受けられないと思ってはいませんか。確かに、場としての提供はそういう所でしか無理かもしれませんが、症状を取るという意味だけならば、一般病棟でもかなりの部分可能なのです。
 例えば、癌による痛み。
 痛みの取り方はいろいろ有り、医療者がそれを勉強すれば、その痛みをかなりの部分取ることが出来るのです。その段階的痛みの取り方が、疼痛ラダー(階段)と呼ばれるものです。細かい薬の使い方などは病院により違いますが、その基本は同じです。
 外科医は、癌治療のため、直接体にメスを入れます。その中にはどうしても再発してくる人もいます。そして多くの場合外科医は最後まで、自分が執刀した患者さんに責任を感じ、抗癌剤を使用し、代替医療を模索し、必要なら緩和ケアを行います。それを行わないのは、外科医の怠慢だと思います。

時は帰らぬ

2006-01-13 | 想い・雑感
 日々を重ねるにつれて、時というものは決して帰らぬことを経験し、だからこそ今ここを大切に生きなければならないことを身にしみて感じる。
 すべての出会いが一期一会。毎日のように目にする風景、出会う人々、生き物、建物、風、そして自分自身も、その時その場所での出会いは生涯一度きり。

 どうしてあの時立ち止まらなかったんだろう。
 どうして耳を澄まさなかったのだろう。心を開いて話さなかったのだろう。
 しっかりと見つめなかったのだろう。

 山のような後悔。
 

痛みは我慢しないで

2006-01-13 | 想い・雑感
 手術前の説明で、私が必ず患者本人にお願いすることがあります。
 「術後の痛みは我慢せずに教えてください。」 ということです。
 痛みがあると、深呼吸をしにくいし、体も動かしにくいということになるので
肺合併症を起こしやすくなったり、深部静脈血栓症を併発しやすくなったり、腸管蠕動の回復が遅れる傾向が出たりする可能性があります。我慢した方が良くなるなら我慢していただくのですが、我慢せずに痛みをなるべく無くしてあげた方が術後の経過は良くなるのです。
 今後胸部や腹部の手術を受ける方、特に、我慢が美徳と考えている方、痛みは我慢せずに、きちっと看護師や医師に伝えてくださいね。

チーム医療

2006-01-12 | 想い・雑感
 21世紀は、チーム医療の時代と言われています。
 患者を中心として、いろいろな職種が専門性を生かし、チームとして関わっていこうというものです。もちろん患者自身もチームの一員。
 現在病院で立ち上がっている代表的なものは、緩和ケアチーム、栄養サポートチームなど。ただその場合、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、機能訓練士、臨床心理士、事務職など直接病院内で医療に関わる人間でチームを組む場合が多いようです。当然のことですが、栄養士の方にしろ、薬剤師の方にしろ、医師の知らないことを山のように知っています。その専門性を行かせないのはもったいないのです。
 これからは、さらに鍼灸師、マッサージ師、アロマセラピーをする方、音楽などの芸術家、その他いろいろな職種の方が、健康維持や治療に関わっていける時代になればいいなと思います。
 ほとんどの医療行為は、医師の指示のもとでなければ行ってはいけないとされている現状の法のもとでは、最終責任がすべて医師にかかってくるので、難しい面も有ります。でも少しずつでも、より皆がハッピーな方向へ進んで行ければと思います。

癌年齢

2006-01-12 | 想い・雑感
 一般的に癌年齢といえば50代から70代をさします。その年代で癌が見つかることが多いからです。でも少しでも早期に見つけるために、癌検診は40才になれば毎年が推奨です。
 ただし、20代30代で胃癌、大腸癌、乳癌などに罹患してしまう方も少なからずおられます。特にその年代は、仕事や子育てでなかなか自分の体を顧みることもなく、若さから来る肉体への自信から、少し体調が悪くてもなかなか病院にかからず。そして見つかったときには手遅れということもめずらしくありません。
 まだ、幼い子を抱えながら、最後の日が近づいていることを隠しようもない肉体の変化。本人も周りもつらい。

 そんなことにならないよう、時には自分の体調に気を遣ってほしい。
 もちろん、心の健康にも。

5年生存率

2006-01-10 | 想い・雑感
 術後5年生存率というのは、単純に言えば、手術を受けたうちの何%の人が、5年後に生きているかと言うことです。なんともいやな言葉ではありますが、これによって以下の3つの概略が把握できます。
1:病気の悪性度
 一般的癌の場合、もっとも悪性度が高いと思われるのは膵臓癌で、5年生存率は10~15%くらい。次が肺ガンの約35%、食道癌の約40%となります。頻度の高い胃癌や大腸癌はだいたい70%くらいと言われています。
2:病気の進行度と予後との関係
 胃癌の場合、日本では進行度をIA, IB, II, IIIA, IIIB, IVの6段階に分けています。その進行度ごとの5年生存率は統計によって少し異なりますが、IA 90-95%, IB 85-90%, II 70%, IIIA 50%, IIIB 30%, IV 15%くらいです。進行したものほど完治しにくいことがはっきり分かり、早期発見の重要性が叫ばれる根拠となります。
3:治療手段による成績
 この10年くらいでもっとも治療方法の基準が変わったのが乳ガンに対する治療と思われます。10年以上前では、乳ガンと分かれば、癌のある乳房だけでなく、その下の筋肉まで根こそぎ取ってしまうのが標準術式でした。しかし実際に5年生存率や10年生存率で比べてみると、癌の大きさによっては乳腺の一部を切除して乳房を温存する治療方法でも生存率に差がない、つまり治療成績に差がないことがわかり、標準術式が大きく変わってしまったのです。
 以上のように、生存率というのは現実を突きつけられるようで避けたい話しかもしれませんが、とても大切な指標なのです。

セカンド オピニオン

2006-01-09 | 医療・病気・いのち
 そのまま訳せば、二番目の意見。要するに別の人に意見を聞くと言うことですね。
 最近では、セカンドオピニオンを求められたり、求めたいといわれることも、時々有ります。この流れは、患者自身が自分の治療方針を考えるという意味でとても良いと思います。
 「おまかせします。」ではなくて、納得して治療を受けましょう。健康という、生きていく上で最も基本の部分ですから。
 自分は今どういう状況なのか、どのような治療法が選択できるのか、どの方法がもっとも良い(合っている)のか、放置すればどうなるのかなどなど、聞いておくことはたくさんあります。よく質問して、よく聞いて、それでも納得いかなかったり、何か引っかかるものが有ったりすれば躊躇せず他の医師の意見も聞きましょう。
 その際には、最初の医師に、「セカンドオピニオンを○◎病院の□◇先生に聞きたい。」という希望を伝え、それまでの情報を記載した紹介状を書いてもらいましょう。また、必要なフィルムなども借りましょう。無断で他の医師の意見を聞くというのは、それまでの情報を、次に相談する医師に伝えることもできないし、最初の医師との人間関係を築くことを放棄していることにもなると思います。
 意見を求めるとともに、自分自身の意見も述べる。ここに初めて双方向のコミュニケーションが生まれます。
 いずれにしろ、自分自身の体に関すること。よく聞き、よく考え、相談しながら治療を進めていくことが大切だと思います。

肛門出血にご用心!

2006-01-09 | 医療・病気・いのち

 排便痔に紙に血液がついたり、便器に真っ赤な血が散ったりというとき、多くの場合は痔疾患であると思われます。いわゆるイボ痔や切れ痔です。そして実際に医者を訪れ診察を受け、痔の治療となる場合が多いと思います。
 でも特に40歳以上の癌年齢の方はご用心。直腸癌が隠れていることがあります。
 実際に痔を診てくれということで受診される方の中には、肛門指診といって、肛門の中に手袋をした指を入れる診察をすると、すぐそこに大きな癌を触れる場合が有るのです。
 直腸癌も他の癌と同様、早い時期だとそれだけ切除範囲が小さくて済みます。肛門出血が有れば、必ず大腸検査も受けるようにしましょう。
 ちなみに、肛門出血といって診察を受けた際に、肛門指診をしない医師は、肛門疾患をあまり診たことがないと思われます。