3月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3183
ナイス数:885
失敗しないためのジェンダー表現ガイドブックの感想
時間がなくてかなり雑な読み方になってしまった。色々な新聞社の労組メンバー集まって作った本。「失敗しないための」とあるが、付け焼き刃で炎上を防ぐあれこれではなく、「なぜジェンダー表現に気をつけなければならないか」の根本から丁寧に書いていて、とても好感。わざとキャッチーなタイトルにしたと思われる(中で批判しているネット記事のタイトルとPVの関係を逆手に取っていてあっぱれ)。かなりフレッシュな話題も取り上げてあるので、新鮮なうちに是非どうぞ。
読了日:03月31日 著者:新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)の感想
コミュニケーションの授業として、小~大学まで演劇の即興の授業を取り入れている著者によるコミュニケーション論。日本人のコミュニケーション力が培われないのは、日本の文化が対等な「対話」を必要としてこなかったから、当然である。政治も授業も上から下への一方通行では立ち行かなくなった現代、コミュニケーションに「慣れ」る必要が出てきている。…雑にまとめるとこういうことだけれど、「メチャクチャに、ノイズを含んで、この本は構成されている」と著者が語るように、本題以外の部分にも重要なことがたくさんあった。読んでよかった。
読了日:03月30日 著者:平田 オリザ
ミジンコはすごい! (岩波ジュニア新書)の感想
ミジンコはすごい!ということを伝えるための渾身の一冊。ミジンコの体の作りより前に、まず「敵がいると頭がとんがる」ということから始まる本書。こんなん食いつくに決まってるじゃないですか。図解やイラストもいちいちツボにきます。そしてミジンコ(をはじめとする微生物)、本当にすごい。最後の一文「湖沼生態系の中のミジンコのように、地球生態系の中では、人類は決して特別な存在ではないのです」。人間は地球の支配者だと奢ってはいけない。わたしは昔から微生物が好きなのですが、より好きになりました。あー、顕微鏡買おうかなぁ…笑
読了日:03月29日 著者:花里 孝幸
岩波科学ライブラリー ハトはなぜ首を振って歩くのかの感想
岩波科学ライブラリーに間違いなし!! 鳩の首振りで1冊本を読ませるとは…やりますねえ。著者は人類学の専門で、ヒトの歩行を研究するはずがなぜか鳩の歩行を研究することになり(笑)。もうこの成り行きだけで面白いです(文章も面白い)。さて本題。意外と奥が深かった。鳩の目の作り(大きく平たい形で動かす筋肉が発達していない)からくる視覚的なブレをなくすため、それは鳩が歩きながら近くのものを採食する食生活が関係している。首を振って歩くと言えば鳩、だが、同じような食生活の鳥は鳩以外も首を振る、と。
読了日:03月28日 著者:藤田 祐樹
ブラック・ジャック 23 (少年チャンピオン・コミックス)の感想
古本で購入。後半が丸々「過ぎさりし一瞬」という話。この話と巻頭の「死者との対話」の読み応えがものすごい。そしてB.J.が人助けではなくて自分のエゴの為に医療活動をしているというのがよくわかる2篇である。
読了日:03月22日 著者:手塚 治虫
幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)の感想
幸福、と聞いて一般的にイメージするものとはかけ離れた、その人だけのニッチな喜びやこだわり(そしてそういった、不幸について)。取り留めない感じでまとまりには欠けるけれど、面白かった。
読了日:03月22日 著者:春日 武彦
事故物件怪談 恐い間取り3の感想
事故物件住みます芸人・松原タニシさんによる書籍第3弾。事故物件に住む意図が変わってきているのを感じる。事故物件を面白おかしくネタにしたり、やたら怖がったりしない。ありのままの現状とそこに暮らして亡くなった人の生きざまを見つめる、冷静なまなざし。「事故物件が希望になる」こともあるという新たな発見。「2021年にすべてを失う」という過去に受けた予言、「すべて」というのはそれまでの価値観のことなのかもしれない。知人から聞いた怪異譚は物件関係ないものも含まれるが、霊感の後ろにあるものを考察したくなるものが多い。
読了日:03月22日 著者:松原 タニシ
どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 (新潮新書)の感想
ここでいう「頑張れない人たち」というのは、わたしのようにうつの症状で脳のキャパシティが落ちている人のことではなく、「成功体験がないため、努力をすることに意義を感じられない人(ケーキを3等分できない少年院の子どもたちのような)」のことである。行きつく先が犯罪で、「今度こそ頑張りたい」と思って社会に出てもうまく行かず、「頑張らない人は助けたくない」と世間の目は冷たい。そうなる前に、小さいころからその子のできること、頑張りたいことに目を向けて、成功体験を重ね「自分でもできることがある」と自信をつけることが大切。
読了日:03月21日 著者:宮口 幸治
うみべのストーブ 大白小蟹短編集 (トーチコミックス)の感想
トーチwebで表題作を読んで、ああいいなあ、と思った作家さんの短編集。発行を知ってからしばらくして買って、また1か月ほど積んでからようやく今日読む。でもエネルギー不足の今日読むのにぴったりな作品集だった。雪が静かに降り積もるように、心の足りないところ(や出っ張っているところ)にそっと何かが降り積もって覆ってくれるような、そんな作品たちでした。
読了日:03月20日 著者:大白小蟹
片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 1 (1) (ヤングチャンピオンコミックス)の感想
よく広告で見る漫画が、kindle版期間限定1巻無料だったので。原作はライトノベルで、主人公がチート能力だからほっといてもらえない系。ストーリーはなかなかおもしろいのに、キャラ造詣が無駄に巨乳で露出度高めなのが「いらんわあその設定」と思ってしまう。あと女の子の弟子ばっかりなのが違和感。続きはもういいかな。
読了日:03月20日 著者:乍藤和樹
ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)の感想
ベストセラーをようやく。内容については15年ほど前に著者の研修を受けに行ったのでそのままな感じ。本としての評価は、研修を受けた時の感想でもあるが、とにかく学校現場を責めすぎ。一斉指導では「この子はなんか違うな?」と思っても、抽出して個人に適した指導を受けられるような制度はほとんどない。特別支援学級だって障害者手帳や診断がなければ入級できない自治体もあるし、中学校に至っては内申書の評価が1になってしまう危機をはらんでいる。変えるべきは国の教育制度、そして零れ落ちて罪を犯した子の矯正教育だと思う。
読了日:03月14日 著者:宮口 幸治
ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密 (岩波科学ライブラリー)の感想
kindle unlimitedで(無料期間終了にて退会、すみません)。大人になってから外国語を学ぶのとは全く異なる、赤ちゃん~幼児が母語を習得していく際に生じる「まちがい」から言語獲得の認知について探る本。単に周りの大人が話すのをマネっこしているわけではなくて、脳みその中で決まりを見出して予測していくから、生じる間違いなんだなあ。「は」に〝(だくおん)をつけて、って言ってもわからないのは、「は」と「ば」では発音の仕方が全く異なるから。大人になって「そういうものです」となる前の自由な日本語。
読了日:03月13日 著者:広瀬 友紀
おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った: 世界ことわざ紀行の感想
「はたらく動物と」で好きになった金井真紀さんの本。世界のことわざや言い回しを集めた本だけど、現地で旅行したときやその国の出身者・研究者に「その国らしい」ものを聞いて作ったそう。解説にも金井さんの思い出や感想が表れてて、友だちを紹介するような本でした。とくに虐げられた国や言語に注目している。世界の7000の言語のうち、文字がないものの方が多いと知り、びっくり。また公用語が11もあったり。どうやってコミュニケーションをとるの? と思ってしまうけど、それは自分が普段日本語しか使わないからなんだろうなぁ。
読了日:03月13日 著者:金井 真紀
人間関係を半分降りる: 気楽なつながりの作り方の感想
ここ5年ほど、わたしが意識的にまたは無意識でしてきたことや感じていたことが、たくさん言語化されていた。幼いころから日本文化下で暮らしている人はまじめになり過ぎて「集中しすぎ」という表現には「ほう」と思った。先日、バイト先で2ヶ月で辞めて行った長いこと中国で暮らしていた方に「まじめですね」と褒め言葉ではない感じで言われたことを思い出す。カチカチに固まった人間関係から離れて、緩やかにつながる。そのためには法整備も必要。さて法が変わるのが先か、日本に住む人の意識が変わるか、どちらが先か。
読了日:03月12日 著者:鶴見 済
年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活 (講談社現代新書)の感想
特に就職氷河期世代(著者、そしてわたしもその世代である)にスポットを当てて、平均年収取得者ともっと年収の少ない人たちをインタビューした書。平均年収あっても、子どもがいればまったく足りないことがよくわかる。わたしと夫は現在平均年収の半分も稼げてないけれど、困窮というほどになっていないのは子どもがいないせいであるともいえる。止まらない非正規雇用の拡大、教育費を国が賄わず子を持つ人たちに背負わせっぱなしの政策が、ここまで日本を貧しくさせていった。政治が変わらない限り今後はもっとひどくなることだろう。
読了日:03月07日 著者:小林 美希
そこに工場があるかぎりの感想
読めてよかった。工場という武骨なものづくりの現場を取材しているのに、小川さんの手にかかれば職人さんの矜持と技術が詰まったものたちが生み出されていく、きらきらとした喜びに満ち溢れている1冊に。素材に開けられた細穴、お菓子、競技用ボート、サンポカー(保育園の子どもたちを運ぶあれです)、鉛筆。職人さんだけでなく、製品そのものへの敬意とうっとりするような甘美さが漂う。写真が一切ないのに工場の様子が的確に伝わってくるのがさすが。あとがきでコロナ禍中のそれぞれの工場の様子が載ってたのもよかった。
読了日:03月04日 著者:小川 洋子
読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3183
ナイス数:885
失敗しないためのジェンダー表現ガイドブックの感想
時間がなくてかなり雑な読み方になってしまった。色々な新聞社の労組メンバー集まって作った本。「失敗しないための」とあるが、付け焼き刃で炎上を防ぐあれこれではなく、「なぜジェンダー表現に気をつけなければならないか」の根本から丁寧に書いていて、とても好感。わざとキャッチーなタイトルにしたと思われる(中で批判しているネット記事のタイトルとPVの関係を逆手に取っていてあっぱれ)。かなりフレッシュな話題も取り上げてあるので、新鮮なうちに是非どうぞ。
読了日:03月31日 著者:新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)の感想
コミュニケーションの授業として、小~大学まで演劇の即興の授業を取り入れている著者によるコミュニケーション論。日本人のコミュニケーション力が培われないのは、日本の文化が対等な「対話」を必要としてこなかったから、当然である。政治も授業も上から下への一方通行では立ち行かなくなった現代、コミュニケーションに「慣れ」る必要が出てきている。…雑にまとめるとこういうことだけれど、「メチャクチャに、ノイズを含んで、この本は構成されている」と著者が語るように、本題以外の部分にも重要なことがたくさんあった。読んでよかった。
読了日:03月30日 著者:平田 オリザ
ミジンコはすごい! (岩波ジュニア新書)の感想
ミジンコはすごい!ということを伝えるための渾身の一冊。ミジンコの体の作りより前に、まず「敵がいると頭がとんがる」ということから始まる本書。こんなん食いつくに決まってるじゃないですか。図解やイラストもいちいちツボにきます。そしてミジンコ(をはじめとする微生物)、本当にすごい。最後の一文「湖沼生態系の中のミジンコのように、地球生態系の中では、人類は決して特別な存在ではないのです」。人間は地球の支配者だと奢ってはいけない。わたしは昔から微生物が好きなのですが、より好きになりました。あー、顕微鏡買おうかなぁ…笑
読了日:03月29日 著者:花里 孝幸
岩波科学ライブラリー ハトはなぜ首を振って歩くのかの感想
岩波科学ライブラリーに間違いなし!! 鳩の首振りで1冊本を読ませるとは…やりますねえ。著者は人類学の専門で、ヒトの歩行を研究するはずがなぜか鳩の歩行を研究することになり(笑)。もうこの成り行きだけで面白いです(文章も面白い)。さて本題。意外と奥が深かった。鳩の目の作り(大きく平たい形で動かす筋肉が発達していない)からくる視覚的なブレをなくすため、それは鳩が歩きながら近くのものを採食する食生活が関係している。首を振って歩くと言えば鳩、だが、同じような食生活の鳥は鳩以外も首を振る、と。
読了日:03月28日 著者:藤田 祐樹
ブラック・ジャック 23 (少年チャンピオン・コミックス)の感想
古本で購入。後半が丸々「過ぎさりし一瞬」という話。この話と巻頭の「死者との対話」の読み応えがものすごい。そしてB.J.が人助けではなくて自分のエゴの為に医療活動をしているというのがよくわかる2篇である。
読了日:03月22日 著者:手塚 治虫
幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)の感想
幸福、と聞いて一般的にイメージするものとはかけ離れた、その人だけのニッチな喜びやこだわり(そしてそういった、不幸について)。取り留めない感じでまとまりには欠けるけれど、面白かった。
読了日:03月22日 著者:春日 武彦
事故物件怪談 恐い間取り3の感想
事故物件住みます芸人・松原タニシさんによる書籍第3弾。事故物件に住む意図が変わってきているのを感じる。事故物件を面白おかしくネタにしたり、やたら怖がったりしない。ありのままの現状とそこに暮らして亡くなった人の生きざまを見つめる、冷静なまなざし。「事故物件が希望になる」こともあるという新たな発見。「2021年にすべてを失う」という過去に受けた予言、「すべて」というのはそれまでの価値観のことなのかもしれない。知人から聞いた怪異譚は物件関係ないものも含まれるが、霊感の後ろにあるものを考察したくなるものが多い。
読了日:03月22日 著者:松原 タニシ
どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 (新潮新書)の感想
ここでいう「頑張れない人たち」というのは、わたしのようにうつの症状で脳のキャパシティが落ちている人のことではなく、「成功体験がないため、努力をすることに意義を感じられない人(ケーキを3等分できない少年院の子どもたちのような)」のことである。行きつく先が犯罪で、「今度こそ頑張りたい」と思って社会に出てもうまく行かず、「頑張らない人は助けたくない」と世間の目は冷たい。そうなる前に、小さいころからその子のできること、頑張りたいことに目を向けて、成功体験を重ね「自分でもできることがある」と自信をつけることが大切。
読了日:03月21日 著者:宮口 幸治
うみべのストーブ 大白小蟹短編集 (トーチコミックス)の感想
トーチwebで表題作を読んで、ああいいなあ、と思った作家さんの短編集。発行を知ってからしばらくして買って、また1か月ほど積んでからようやく今日読む。でもエネルギー不足の今日読むのにぴったりな作品集だった。雪が静かに降り積もるように、心の足りないところ(や出っ張っているところ)にそっと何かが降り積もって覆ってくれるような、そんな作品たちでした。
読了日:03月20日 著者:大白小蟹
片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 1 (1) (ヤングチャンピオンコミックス)の感想
よく広告で見る漫画が、kindle版期間限定1巻無料だったので。原作はライトノベルで、主人公がチート能力だからほっといてもらえない系。ストーリーはなかなかおもしろいのに、キャラ造詣が無駄に巨乳で露出度高めなのが「いらんわあその設定」と思ってしまう。あと女の子の弟子ばっかりなのが違和感。続きはもういいかな。
読了日:03月20日 著者:乍藤和樹
ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)の感想
ベストセラーをようやく。内容については15年ほど前に著者の研修を受けに行ったのでそのままな感じ。本としての評価は、研修を受けた時の感想でもあるが、とにかく学校現場を責めすぎ。一斉指導では「この子はなんか違うな?」と思っても、抽出して個人に適した指導を受けられるような制度はほとんどない。特別支援学級だって障害者手帳や診断がなければ入級できない自治体もあるし、中学校に至っては内申書の評価が1になってしまう危機をはらんでいる。変えるべきは国の教育制度、そして零れ落ちて罪を犯した子の矯正教育だと思う。
読了日:03月14日 著者:宮口 幸治
ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密 (岩波科学ライブラリー)の感想
kindle unlimitedで(無料期間終了にて退会、すみません)。大人になってから外国語を学ぶのとは全く異なる、赤ちゃん~幼児が母語を習得していく際に生じる「まちがい」から言語獲得の認知について探る本。単に周りの大人が話すのをマネっこしているわけではなくて、脳みその中で決まりを見出して予測していくから、生じる間違いなんだなあ。「は」に〝(だくおん)をつけて、って言ってもわからないのは、「は」と「ば」では発音の仕方が全く異なるから。大人になって「そういうものです」となる前の自由な日本語。
読了日:03月13日 著者:広瀬 友紀
おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った: 世界ことわざ紀行の感想
「はたらく動物と」で好きになった金井真紀さんの本。世界のことわざや言い回しを集めた本だけど、現地で旅行したときやその国の出身者・研究者に「その国らしい」ものを聞いて作ったそう。解説にも金井さんの思い出や感想が表れてて、友だちを紹介するような本でした。とくに虐げられた国や言語に注目している。世界の7000の言語のうち、文字がないものの方が多いと知り、びっくり。また公用語が11もあったり。どうやってコミュニケーションをとるの? と思ってしまうけど、それは自分が普段日本語しか使わないからなんだろうなぁ。
読了日:03月13日 著者:金井 真紀
人間関係を半分降りる: 気楽なつながりの作り方の感想
ここ5年ほど、わたしが意識的にまたは無意識でしてきたことや感じていたことが、たくさん言語化されていた。幼いころから日本文化下で暮らしている人はまじめになり過ぎて「集中しすぎ」という表現には「ほう」と思った。先日、バイト先で2ヶ月で辞めて行った長いこと中国で暮らしていた方に「まじめですね」と褒め言葉ではない感じで言われたことを思い出す。カチカチに固まった人間関係から離れて、緩やかにつながる。そのためには法整備も必要。さて法が変わるのが先か、日本に住む人の意識が変わるか、どちらが先か。
読了日:03月12日 著者:鶴見 済
年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活 (講談社現代新書)の感想
特に就職氷河期世代(著者、そしてわたしもその世代である)にスポットを当てて、平均年収取得者ともっと年収の少ない人たちをインタビューした書。平均年収あっても、子どもがいればまったく足りないことがよくわかる。わたしと夫は現在平均年収の半分も稼げてないけれど、困窮というほどになっていないのは子どもがいないせいであるともいえる。止まらない非正規雇用の拡大、教育費を国が賄わず子を持つ人たちに背負わせっぱなしの政策が、ここまで日本を貧しくさせていった。政治が変わらない限り今後はもっとひどくなることだろう。
読了日:03月07日 著者:小林 美希
そこに工場があるかぎりの感想
読めてよかった。工場という武骨なものづくりの現場を取材しているのに、小川さんの手にかかれば職人さんの矜持と技術が詰まったものたちが生み出されていく、きらきらとした喜びに満ち溢れている1冊に。素材に開けられた細穴、お菓子、競技用ボート、サンポカー(保育園の子どもたちを運ぶあれです)、鉛筆。職人さんだけでなく、製品そのものへの敬意とうっとりするような甘美さが漂う。写真が一切ないのに工場の様子が的確に伝わってくるのがさすが。あとがきでコロナ禍中のそれぞれの工場の様子が載ってたのもよかった。
読了日:03月04日 著者:小川 洋子
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