娘の「ありがとう」に熱い涙
高校の福祉科から、専門学校に進んだ娘。卒業して介護福祉士の資格を取得し、特別養護老人ホームに就職した。7年前のことだった。
とにかく勉強が苦手だった娘。しかし、ひとつの課題を習得するのに級友の数倍も時間をかけ、黙々とそして懸命に専門知識を学んだ。
そのため学生時代には、アルバイトをする余裕はまるでなかった。
働いた経験のないまま就職を迎えた娘に、「はたして勤まるのか?」と心配もしたが、音を上げることもなく、与えられた仕事も何とかこなしたようだ。そして初めての給料日を迎えた。
帰宅した娘は、私と妻に封筒を差し出した。中には明細書と新品の一万円札が2枚。
「少ないけれど、お給料貰ったから、お父さんたちに。これまで本当にありがとう」
娘の申し出は、驚きもしたが、何よりも嬉しかった。
「うんうん」
何度も頷きながら、熱い涙が頬を伝うのを感じた。親冥利に尽きるひと時だった。
(産経・2013年5月10日掲載)
高校の福祉科から、専門学校に進んだ娘。卒業して介護福祉士の資格を取得し、特別養護老人ホームに就職した。7年前のことだった。
とにかく勉強が苦手だった娘。しかし、ひとつの課題を習得するのに級友の数倍も時間をかけ、黙々とそして懸命に専門知識を学んだ。
そのため学生時代には、アルバイトをする余裕はまるでなかった。
働いた経験のないまま就職を迎えた娘に、「はたして勤まるのか?」と心配もしたが、音を上げることもなく、与えられた仕事も何とかこなしたようだ。そして初めての給料日を迎えた。
帰宅した娘は、私と妻に封筒を差し出した。中には明細書と新品の一万円札が2枚。
「少ないけれど、お給料貰ったから、お父さんたちに。これまで本当にありがとう」
娘の申し出は、驚きもしたが、何よりも嬉しかった。
「うんうん」
何度も頷きながら、熱い涙が頬を伝うのを感じた。親冥利に尽きるひと時だった。
(産経・2013年5月10日掲載)
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