酔い日は佳い日

日々の食卓、晩酌事情。by こたりん

メンチカツ!と言えなくて

2014-10-14 | 旨かった話
なぜだか気を使ってしまい、ものを言えないことってある、と思う。
例えば食堂。忙しい時や店の人間が疲れていそうな時、手のかかるものが頼みにくいとか。
商売だろ、頼めばいいじゃないかと言うお方もいるが、
そうできないところに庶民の機微があるとも思う。

それがあの食堂だ。

時々お邪魔する、とある街の食堂。
親子でやっている小さな店なのだが平日は近所のサラリーマンと出前で繁盛している。

実は自分、メンチカツが大好物。
肉料理としては、ハンバーグより、生姜焼きより、はてまた月並みなステーキよりは好きなのであって
店のメニューにそれを見つければ、矢も縦もたまらないのである。
その食堂のそれも実にうまそうなのだが
他のメニューに比べ手がかかりそうなので、例によってどうも注文できない。

その店をよく知る商店街のとあるダンナも
確かに、忙しい時には揚げ物は頼みにくいなと言っていた(あくまで個人の感想です)こともあり、
要らぬ知恵がついてますます言いづらい(笑)。

でも食べたい。
ならば客の少ない時間を狙えばいいではないかと、行ってみた。

客は自分ひとり。向こうもオバチャンひとり。
オヤジらは出前の器を下げに出てるようで留守。
オバチャンはテレビを見てくつろいでいた。

ううむ、そうくつろがれたのでは、これまた頼みにくい。

結局注文したのはこれ。


カレーと小ラーメンのセット。
勿論うまいのだが、満足を得たかという点では達成感は乏しい(笑)

で、その半月後となる昨日。
いよいよ念願は達成されることとなる。

よし、今日こそ暖簾をくぐったら、オバチャンがひとりだろうと一言、メンチカツと告げよう。
意を決し店に入ってみると全員勢揃い。客はヒマ。

おおっ


オヤジさんが作ってくれたメンチカツ定食。
メンチは注文があってから丸めて揚げる(タネは作り置き)。
そのあいだに添えのスパゲッティを温め、一人分の味噌汁を温める。
単品で頼まれた日にゃ確かに手間がかかるかも。

カツは2個。タルタルでひとつ、ソースや醤油でもうひとつ。そんな楽しみ方もできる。
洋食を気取り、ライスが皿盛りというのも泣かせる(笑)
食堂の家族は誰ひとりメンチカツを嫌がることもなく、
オヤジさんの心づくし、有り難く完食。
思いすごしも美味しさの素ってことにしとこうか。

思い出しては再び、満足な今朝なのであった。
たかがメンチ、長い話で恐縮。

されどメンチ。