HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

ノクターン8番・黒鍵の弾き方

2019年05月09日 | 音符・楽譜・テクニック
ドクター(大人):
ショパンのノクターン8番を練習しています。
この曲は、途中に大変難しい部分があり、そのため ショパンのノクターンの中で 最も難しいと言われている数曲の中に入っているのですが、ドクターはコツコツ練習して、ゆっくりとなら最後まで弾けるようになってきました。
すごいですね!

「ノクターン8番」は 黒鍵を弾くことがすごく多いのですが(調合はフラット5個!)、
こういった 黒鍵の多い曲を弾くときは、いつもより手を鍵盤の奥の方に置くのがコツです。いつでも黒鍵を捉えることができるようにね。
特に、1の指が黒鍵を弾く分散和音やアルペジオは、まず手を自然な形に広げたまま、1の指を 指定の黒鍵の上に置いてみましょう。
そうすると、手全体が ぐぐっと黒鍵に乗った感じになり、分散和音もアルペジオも 見違えるように楽に、そしてきれいに弾けますよ。
みんなも試してみてね。

カントリーロードはアウフタクト

2019年01月30日 | 音符・楽譜・テクニック
Sちゃん (中3):
ハノン、曲( l am )などのレッスンを終わった後、残った時間で 楽典や聴音などの学習をするようにしています。
今日は 残り時間が5〜6分と少なかったので、先週と同じく「知っているメロディーを譜面に書き表す」、まずは「リズムを正確に書き表す」という課題を行いました。
これは、次の段階で「聴き取った課題を書き表す(聴音)」や耳コピにつながっていきます。

さて、今日の「リズム書き取り」には「カントリーロード」を選びました。
実は、「カントリーロード」は アウフタクト(弱起)の曲。メロディーが 第4拍から始まっています。
Sちゃんが それをちゃんと書き表せるかどうかが この課題の注目ポイントです。
エンピツを握ったSちゃん、
「♪ カントリーロ〜… アレ? カント、カントリー… アレ?」と なんども出だしを歌っては指で拍子を取って考えてる。
さあ、書けるかSちゃん。
苦心の末、書きましたよ。「1、2、3、カントリー〜」の出だし。
よしっ、4拍目から始まる、ということがちゃんとわかったのはアッパレだ。
よく考えて頑張ったのを褒めてあげよう。
ただね、アウフタクトの曲っていうのは、最初の小節を「不完全小節」で書くのだよ。
カントリーロードなら、いきなり4拍目から書く。
足りなかった3拍はどこへ行ったか?
それはね、最後の小節にある。
最後の小節は、3拍伸ばしてそこで終わり、冒頭の1拍ぶんと合わせて 初めて完全な1小節となるのです。
そうすれば、1番を歌い終わってすぐに 良いリズムで2番へ歌いつなぐことができるし、書かなくっても良かった Sちゃんオリジナル型の四分休符を3個も書いて、先生から笑われなくてもすんだのです。(爆)


8分の6拍子は小さいお皿

2017年07月24日 | 音符・楽譜・テクニック
Aちゃん(小4):
先週、新しく「ミッキーマウスマーチ」をやることになった時に、拍子の説明をしておきました。
「ミッキーマウスマーチ」は 8分の6拍子のマーチです。
8分の6拍子って、8分音符が1小節に6個入るってことだよ、と説明しても、小学生にはピンとこないでしょう。
そこで・・・
「今までは『4分の4』とかって、4分音符が基準になってたよね。4分音符が1で、8分音符は「半分」って習ってたよね。
だけど今回は、8分音符が基準になってるの。こういう小さいお皿に、半分のリンゴが乗ってるようなもの。」

「そうすると、1個分のリンゴを食べたい人は、何皿食べればいいかな?」
「えっと、2皿?」
Aちゃんは即座に答えてくれました。さすが4年生。・・・って普通か?
「そうだね。ほら、回ってくるお寿司屋さんみたいにさ」
「ああ、回転寿司?」
「そうそう。このお店は、ちっちゃいお皿しかないの。半分に切ったリンゴのお皿しかないから、今まで大きなお皿の1個だったリンゴは、小さいお皿の2皿分。ね?」
「うん。リンゴしかないなら『回転寿司』じゃなくて『回転リンゴ』だね」
「そう。しかもこのお店はさ、半分のお皿しかないし、それを6皿までしか食べれないんだよ」
「あははー」
「ほら、どの小節にも、小皿が6枚あるよ。
この小節は、半分のお皿・カラのお皿・半分のお皿・半分のお皿・カラのお皿・半分のお皿 って並んでる。リンゴが乗ってなくたって、お皿はちゃんと6枚」
「この人かわいそー(笑)」

「もっとかわいそうな人いるよ。最後の小節なんて、リンゴの乗ってるお皿は最初の1個だけで、あとは全部カラのお皿だけ!」
「うわー
と 回転寿司ならぬ「回転リンゴ」で盛り上がり、とりあえず8分の6拍子の譜割りは理解できたようでした。
で、本日の「ミッキーマウスマーチ」、一通りなんとか最後まで到達したので、先生は言いました。
「来週はAちゃんお休みって言ってたよね。だからレッスンないけど、自分で練習して、こんど来るときまでにちゃんと完成してきてね」
「えっ、もう? 一人で?」
「だってー。今の曲が終わらないと、次の曲やれないじゃない?発表会の曲、もうやりたいんでしょ」
「うん、はやくやりたい」
「だったら、この曲終わらせなきゃ。じゃないとできないよ?」
「そうか・・・がんばる。がんばって一人でしあげてくる」

よーし、うまくいったぞ。
まんまと誘導されちゃったAちゃんだけど、次回の仕上がり 楽しみにしてるよ。

テンポの揺れは落とし穴

2017年05月14日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
ベートーヴェンの「ムーンライトソナタ(月光)」、第1楽章。
前回のレッスンの時に ひととおり最後まで聴かせてもらっていて。(何しろ、遠い昔に独学で仕上げた曲・第1号だそうなので、もうとっくに完奏できてるのです)
前回の時に、テンポの「タメ」がもうちょっとあったらな、というアドバイスをしました。
美しい曲なんだけど、もう少し表情をつけたりリズムやテンポの「揺れ」があったりしたら、もっといいな、と思ったので。
そしたらなんとTさんは、意識してテンポの揺れやタメをしないようにして弾いてました、というのです。

そうか。前に、たびたびそのことで 私がうるさく言ってたからだね。

実はTさん、「月光」に限らず、イメージ豊かで切ない感じの曲が「タイプ」なのだそうで。
これまでも、そういう曲をたくさんレッスンしてきたのですが、こういった「ムードたっぷりの曲」には ある落とし穴があります。
それは、演奏者自身が曲のムードに酔ってしまい、やたらとテンポルバートしたり、フレーズごとに思い入れたっぷりのリタルダンドやフェルマータをつけたり、ということを ついやってしまいがち、ということ。
意識的にであれ、無意識にであれ、必要以上のテンポの揺れやリタルダンド、フェルマータなどは、不安定であるばかりか、演奏をセンチメンタルで安っぽいものにしてしまうことだってあるのです。
これまで、Tさんのレッスンの中で、けっこう小うるさくそのことを言ってきたので、よい子の生徒であるTさんは それを守って テンポが揺れないよう、きちんと弾いていたんですね。
でも、Tさんとは、たくさんレッスンをしてきたので、もう適切なルバートや 曲の転換のときのタメなどのニュアンスは学習できてると思います。

「もう大丈夫だから、自分の思うように弾いて。」
と「揺れ・タメ許可令」を出したのが前回のレッスン時。

そして今日のTさんの「月光」は、ほぼ完ぺきに近いくらい ヒバリ先生の満足のいく演奏でした♪
完璧、と言えなかったのは、ひとつだけ「惜しい!」という点があったからで、それについては、次回のレッスンでTさんが修正し、完ぺきに弾いてくれるだろうと思います。
それでは、その時にまた。

音階のポイント…クロッシング

2017年05月09日 | 音符・楽譜・テクニック
K子さん(大人):
「ハノン」の38番、音階の両手弾きです。
「先生が弾いてるのを見ると、手がすごく柔らかく動いてるのに、私のはどうしてもギクシャクしてしまって・・・どうしてなんだろう???」と 頭がパズルになっちゃってる様子です。

そう、音階って、ただ単に 鍵盤を隣へ隣へと順番に弾いていくだけで単純なはずなのに、実はとっても難しいんですよー。
そのポイントの一つは、指のクロッシング(交差)です。
たとえば ドレミファソラシド、と弾くとき。
ドレミ、と弾いた後 1の指をくぐらせてファの音を弾くんですが。
その時、くぐった1の指をいつまでもくぐったままの体勢にしていたり、くぐられた3の指や手首が上がったままになっていたりすると、なめらかな音階になりません。
指のポジションを移動した後、いかに素早く、ニュートラルなポジションに戻すかが、なめらかな音階を弾くカギになるのです。

そこで、こんな練習をしてみました。
ドレミ、と弾いたらすこし間をとり、1の指をくぐらせてファの位置に置いたら、手の形や手首の位置などを「ドレミ」と弾いたときと同じ、ニュートラルな態勢に整えます。
それから、その自然なフォームで、残りの「ファソラシド」を弾きます。

ドレミ、ファソラシド、という、2つの流れを連続させるイメージで何度も弾いてみると、K子さんの手が、だんだんコツをつかみ、しなやかな連携ができてきました。

音階の道は奥が深くむずかしいですが、先々必ず役に立つ必須アイテムなので、あせらず身につけていきましょう。

音階の練習・ハノン38番

2017年03月28日 | 音符・楽譜・テクニック
K子さん(大人):
「ハノン」の練習がけっこう楽しいとのことで、レッスン曲の合間によく弾いているみたいです
たまたま先日も、「ハノン」について書いたばかりですが、今日は39番の「音階」のひとつ手前、38番を弾いてみました。

38番は、音階の予備練習といった感じの課題です。
いちおうハ長調の音階ですが、ドレミファソラシド、と1オクターブ弾くだけで、同じパターンを繰り返していくというもの。 
39番に比べればずっと気楽に弾けるのです。

気楽な分、指や手のフォームに気を配る余裕が持てそうですね。
いつも、今弾いている音よりひとつ先の音がスタンバイできている状態をつなげていくと、なめらかな音階が弾けます。
たとえば「ド」の音を出した時には、「レ」の音の上に次の指がいるように、です。
あと、指だけでなく手全体の動きとか、上体の重心移動とかにもきをつけて、やわらかに円を描くような動きで重心を移動していきます。
それらに気をつけながらK子さんが「ドレミファソラシド」を弾いてみたら、とってもやわらかに、きれいな音階が弾けています。
「その調子!今のを忘れないように、お家でも弾いてみて!」と応援しました。
音階は、ピアノの基本ですからね。
これがきれいに弾けていれば、今後いろんな曲を弾くときにも、いい音で弾けることでしょう。
それを楽しみにがんばりましょう。

ハノンの使い方

2017年03月26日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
「もう一度これを」練習したいと思って...」と出したのは「ハノン」です。
「ドレミファソラシド?」と聞いてみたら図星でした。
「音階」は、ハノンの39番に入っています。
調合がひとつもないハ長調から始まって、♭や♯がだんだん増えながら(♭、♯それぞれ6個まで)、全部で39種類の音階練習がズラズラ並んでいます。
ページ数にして12ページ。
これ全部やって、ようやく「39番」にちょこんとマル、なんて、そりゃないぜ~(涙)
と、子どものころハノンをやらされていた私は、いつもそう思っていました。

「ハノン」...ポイントを押さえて上手に使えば、なかなか効果のある教材なのですが、ただ単に「バイエルが済んだから、これ弾いてらっしゃい」と与えられただけの小学生には、その効果もわかりませんでした。
「良薬、口に苦し」と言いますが、せっかくの良薬も 小学生のヒバリにはただただ苦いばっかりで 効き目が薄かったのかも、と 今になって思うんです。

ハノンの中の、特に 今日Tさんが示した39番の「音階」は非常に重要で、ピアノを弾く人にとって永遠の課題です。
たまたま初めて39番を習ったのが小学生時代だったとしても、それで終わるわけではありません。
ハノンを最後まで終えても、中級クラス、上級クラスになっても、音大生になっても、プロになっても、ずーっと「音階練習」はくり返していくのです。
音階って、ただ単に ド、レ、ミ、ファ、ソ・・・と隣の音を弾いていくだけなんですが、実際に弾くのは簡単ではありません。
テクニック的には山あり谷あり。
まずはドレミファソラシド、と1オクターブ弾くだけでも、5本しかない指で8個の音を均一に弾くんですからね。
工夫やワザも必要ってもんです。
弾くのを2オクターブに増やせば、鍵盤を弾くエリアが2倍になって、手の条件も変わってきます。
ちなみに「ハノン」のテキストでの「音階課題」は4オクターブ弾くことになっています。
けっこうピアノの端から端まで使うので、その長い道のり(?)の間、指の形、指替え、手のフォーム、手首の柔軟さ、腕の動き、上半身の姿勢と重心の移動、床に置いた足の踏ん張り、などなど 全身くまなく気を配って、音の1つ1つ、きれいに揃った真珠のように粒をそろえ、一連の真珠のネックレスのような音階を弾くのは至難の業です。
しかもそれを両手で弾くのですから、難しさも倍増、いや2乗になるといっていいでしょう。
「音階練習」の中には、実際の曲を弾く上で必要なテクニックやメカニック、あらゆる要素が入っているので、これを練習することによって、かなりのピアニズムが身についてきます。
また、39番以降には、アルペジオ、オクターブ、3度の音程、同音連打、トリルやトレモロ、など、さまざまなテクニックにポイントをしぼった練習曲があるので、実際にそういったテクが使われている「ソナタ」などの曲を弾くときは、「ハノン」の中から選んで それなりのテクを合わせて練習すれば、効率の良い練習ができますね。
自分でポイントを意識して練習するのとそうでないのとでは、その効果にも大きな開きが出てくるはずです。

ハノンの使い方、もうひとつ。
ストレスがたまってる時とか、なーんかムシャクシャするときとか、何する元気も出ない・・・なんていうとき、「ハノン」を弾いてごらんなさい。
それには、 逆に「ポイントをしぼらない曲」がいいです。
前半の、1番から30番くらいのページをパッと開いて、次々と弾いていくのです。
「音階」などと違って、ただただ同じ指使い、同じ音型の曲を、何も考えず、頭も心も無にしてひたすら弾き続ければ、心地よい運動疲労と反比例して、いつしか疲れた頭も疲れた心も スッキリと浄化され、リフレッシュした自分を見出すことができるでしょう。
これは、「ムシャクシャしたらひたすら掃除する」とか「家じゅうの鍋をみがく」などという「主婦の知恵」にも似た、高い効果を得られるワザです。
ぜひお試しください。

16分音符・32分音符の譜割りに苦労

2017年03月07日 | 音符・楽譜・テクニック
Hさん(大人):
バッハの平均律、2番のプレリュードが ついに最後まで到達しました。
絶え間なく上昇する音列を経てクライマックスのプレスト、そして風格を示すかのような堂々としたアダージォ、最後はアレグロで 充分音を響かせて終わる、これぞバッハ!というすばらしい曲です。
最後まで音が確認できたので、あとはゆっくりと弾き込んでまとめに入ります。

さて、バッハはめどがつきましたが、もう1曲やっているベートーヴェンの「選帝侯ソナタ」。
これの第二楽章、こちらも最後まで到達したのですが。
第二楽章の典型である「緩徐(かんじょ)楽章」で テンポはゆったりなのですが、譜割りが細かいのが苦労のタネです。
「わたくしリズムがダメですから」とHさんが公言しているように、部分部分はなんとか弾けるのですが、曲全体を通したときにテンポが一定しないのが困りもの。
すごく早い四分音符があったり、小節が何倍にも広がってしまうようなゆっくりした16分音符があったり、というのは日常茶飯事のHさん・・・
今回のこの曲は、四分音符・8分音符はもちろんのこと、16分音符のパッセージ・32分音符のパッセージまでいっぱい出てきて、しかもそれぞれが延々と続いてる。
これらの音符のバランスをどう取るか。
8分音符は4分音符の2倍の速さ。
16分音符はその2倍の速さ。
32分音符は さらにその2倍の速さ。
頭では分かっています。分かっていますとも。
ただ、それを正しく弾けるか、というのは、また別問題なのでね・・・(;^_^A

チェルニーで 複数パートを弾き分ける。

2017年03月05日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
テクニック練習のため「チェルニー30番」をやっていて、本日は7番です。
右手は弾むようなスタッカートのメロディ、そして左手は いわゆる「アルベルディ・バス(ドソミソ ドソミソという音型)」の速いテンポで 同時に「フィンガーペダル」併用、というスタイルの伴奏です。
「フィンガーペダル」は、ドソミソの最初の音を保持する弾き方ですが、このことによってバスの音に旋律が生まれ、結果 1.右手のメロディー 2.左手上部の小刻みな伴奏3.左手低音によるバス の3つのパートが成立します。
この3つのパートをそれぞれ独立したものとして聞き分け かつ弾き分けると、曲が奥行のあるものになります。

Tさんは熱心によく練習していて、右手・左手それぞれの役割や音量の配分、タッチなども理解しているのですが、右手と左手を別々に弾くとできることでも、両手を合わせると難しくなってしまいます。
Tさんによると「右手と左手が真逆のことをやらないといけないので、全部のパートに気を配って弾くのが困難です。右手と左手を別々に操れない」ということのようです。

克服する方法としては、まずはそれぞれのパートを別々に、ゆっくりのテンポで納得いくまで練習します。
そして、自分で「これなら」というぐらいに弾けている それぞれのパートを録音して聞いてみましょう。
次には、2つまたは3つ(全部ですね)のパートを組み合わせて同時に弾いてみます。
これも録音してみましょう。
1パートごとに単独で弾いたときと、同じに弾けているでしょうか?
どこかのパートだけ、音が必要以上に強く出ているかもしれません。
どこかのパートのフレージングや アタック・リリースが 単独で弾いた時のようにできずおざなりになっているかもしれません。
目の前の楽譜を間違えないように弾くことに夢中になってしまうと、自分の弾いている音が聞こえなくなってしまうものですが、今は 簡単に録音や録画する方法があるのですから、それらをうまく利用しましょう。
また、曲の全部 あるいは半分まで とか弾くのは大変なら、1フレーズずつ、丁寧に練習してみましょう。
そして、出来たフレーズ、出来たフレーズをひとつひとつ、つないでいくのです。
いろんな工夫、いろんな方法を組み合わせて、納得のいく音が弾けるように練習しましょう。

Tさんのお好みは、オーケストラ音楽のようなスケールの大きい、奥行きのあるハーモニーを持った曲だそうです。時代で言えば ロマン派とか近代音楽でしょうか。
そういう音楽を弾くためには、2本の手・10本の指だけで複数のパートを弾き分けるテクニックが必須です。
オーケストラなんて20パートとかあるんだから、まずはチェルニーの3パート、なんとかマスターしようよね!

ダイアナ、初めてのラウンド・コード

2017年02月09日 | 音符・楽譜・テクニック
Y子さん(大人):
これまで何曲か、左手でC、F、G7、Dmなどのコードをつけながら、メロディーを弾く練習をしてきました。
実は今まで習っていたコードは、基本形と転回系両方をとりまぜ、ピアノの左手で伴奏を弾く際に都合のいい形のものを、そのまま覚えたものでした。
Cは基本形のドミソですが、Fはドファラ、G7はシファソ、といったものです。
ピアノにも大分慣れてきたので、前回ぐらいからコードの仕組みをざっと説明し、コードの基本形を自分で考えて弾く練習を少しずつ始めました。

今日の課題は、オールディーズの「ダイアナ」です。
この曲は「ラウンドコード」というコード進行でできています。
曲全体が、C → Am → F → G という1セットのコード進行をグルグル何回も弾くことで成り立っています。
オールディーズには、この「ラウンドコード」を使った曲がたくさんあります。

最初は、Y子さんの弾くメロディーにヒバリが伴奏をつけて、何度か弾きました。
ロックンロールっぽいリズミカルな仕上がりです。
次は、左手でラウンドコードの練習です。
C → Am → F は、コードを押さえた左手の形をくずさないように気をつけながら、キーの位置を1つ置きに下げていけばOKです。Fまでいったらひとつ上に上がって、G。
これで1ラウンドです。
これを何度も、グルグル弾けば、「ダイアナ」の伴奏は完成!簡単ですね。
Y子さんも1度だけ、試しに弾いてみました。
考え考えですが、なんとかできそうです。
さあ、次回は、一人でごきげんなロックンロールが弾けるように、がんばりましょう!

ポリフォニーってどんな音楽?

2017年02月07日 | 音符・楽譜・テクニック
「ポリフォニー」というのは、日本語にすると「多声部音楽」「複音楽」などと呼ばれます。(日本語の方が難しい・・・)
意味は、旋律(メロディー)がひとつじゃなく、メロディー声部が多数/複数 ある音楽のこと。
ポリフォニーに対して 旋律がひとつの曲は「モノフォニー」(メロディーパートがひとつあって、それに伴奏パートがベースや和音で伴奏をつけたりするスタイル)といいます。
学校で音楽の時間に歌う歌、TVや映画、CMの曲など、現代ふつうに聞かれる音楽のほとんどは「モノフォニー」です。

簡単な例を上げてみましょう。
たとえば「かえるのうた」を歌うとします。
クラス全員で声をそろえ「♪かえるのうたが、きこえてくるよ~」と歌い、先生がピアノでブンチャッチャッチャ~と伴奏をつけたとしたら、
これはメロディーがひとつなので「モノフォニー」です。大勢で歌っても、メロディーパートはひとつだからです。
つぎは、クラスのメンバーが半分ずつに分かれ、輪唱で歌ったとします。
半分の人が「♪かえるのうたが~」と歌って、「♪きこえてくるよ~」に入るタイミングで、残り半分の人が「♪かえるのうたが~」と歌い始めます。
それぞれのパートは独立したメロディーを歌っていて、どちらも相手の伴奏になってはいませんね。
これが「ポリフォニー」です。メロディーパートがふたつあるからです。
(ちなみに輪唱は、ポリフォニーのいろいろある形式の中のひとつ、「カノン」というスタイルです。)

さて、バッハが活躍したバロック時代、そしてそれよりもっと昔の音楽は、ポリフォニーが主体でした。
なので、今日の日記に書いたとおり、K子さんが弾いた「メヌエット」は、右手と左手それぞれがメロディーのポリフォニー。
一人で左右別々のメロディーを弾くなんて大変。
でもそれで驚いちゃいけない。
もっと複雑な曲になると声部も増えて3声部、4声部になったりするんだからね。
しかもそれが転調されたり、二重フーガ、三重フーガなどとエスカレート(?)その難解さは天井知らず・・・
2本の手で3声部とか4声部とか、どうやって弾くのかな?!
ハァ~、ポリフォニーは奥が深いのです・・・

「はた」恐怖症?

2016年03月23日 | 音符・楽譜・テクニック
Hさん(大人):
「バッハ・インヴェンション」「バッハ・シンフォニア」と進み、とうとう最後の「シンフォニア15番」となりました。
ひとつ前の「シンフォニア14番」が、キレイだけれどもその分、とても難しかったので、最後の15番はどんだけ難しいんだろう~と恐れをなしてしまいますが、意外や、15番はカンタンですよ~
・・・と、先週 私はHさんにお話しして、「では来週、15番・・・」と宿題にしていたのでした。
今日、レッスンに来て楽譜を広げたHさん、開口一番
「難しいですぅ~」と恨めし気。
「難しい?! そうかな?!」
「リズムが、難しいんです。わ・た・し・に・は、ねっ」
自称「リズム音痴」のHさん、音符に「はた」が2本とか3本とかつくと、もうそれだけでパァァ~ と目がくらんでしまうらしい。
「はた」というのは、8分音符や16分音符についてる小さな旗状の記号のことです。
「はた」が続けて出てきたりすると、もう「速いんだ!」と緊張のあまり、必要以上に猛スピードで弾いてしまうのです。
「15番」が 8分の9拍子、つまり3拍子×3つ という、みんなの苦手な3拍子がそれも3倍の複合拍子になっている、というのも取っつきにくい理由です。

そこで、15番は右手と左手のメロディーの受け渡しがほとんどないのを幸い、Hさんには右手だけ弾いてもらって私がわかりやすい伴奏をつけてみることにしました。
ぶん・ちゃっ、ちゃっ のワルツのリズムや、3拍子系の分散和音の伴奏などです。
そうしたら、16分音符のタイミングがきっちりつかめたようで、Hさん一人で弾いても なんとか大丈夫になりました。

もう一曲、並行してレッスンしている「ベートーベンのソナチネ・ロンド」。
こちらにも何度か、「ターン」という、一種の装飾音符が入ってきます。
1拍分の音符の上に ちっちゃな16分音符が4つもチマチマと書き込んであるので、Hさんはその箇所にくると途端に緊張し、身体中が硬直して 肝心のターンの音符がろくすっぽ弾けない状態になってしまいます。
同じことが、すぐ後の左手アルペジオにも起こります。
「ここは、実はそんなに速くないんですよ。ゆっくり一つ一つの音を弾いても充分間に合います」と、ターン、アルペジオの手本を示し、Hさん自身にもゆっくり弾いて充分間に合うことを確かめてもらいました。
実際に音にしてみて、ゆっくりで間に合うことがわかり、Hさんも安心したようです。
ケイレンでも起こしたかのような緊張はなくなり、やわらかに弾けるようになりました。

Hさんのように、16分音符や装飾音符の「はた」を、実際以上に「速いんだ!」と構えてしまう人はけっこう多いです。
だけど、「はた」=「速い」というイミではないので、落ち着いて丁寧に弾いてみましょう。
案外、なーんだ、こんな速さでいいのか~と思うはずですよ。

二拍三連 克服まであと一歩

2016年02月27日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
「白鳥の湖」を使っての二拍三連徹底攻略研究続行中です。
前回のレッスンから1ヶ月たって、Tさんの二拍三連はバージョンアップしたでしょうか。

演奏を聴いてみると、先月は曖昧だった冒頭部分が、ばっちりハマっています。
やったー、これで二拍三連克服できたんだね!とおもったのもつかの間、左手の伴奏が少し変わったり 声部が増えたりすると、あっさりその落とし穴にはまって、さっきまでできていた二拍三連が もう崩れてしまいます。
その一方、Tさんは、「三角形の法則」という独自の攻略法を編み出していて (なんか「ピタゴラスの定理」みたいな図を描いて説明してくれた)、それなりに克服の域には達している感じがしました。
だけど、曲のテンポが速くなったり音が複雑になったりすると、旋律を正しく弾くことに気を取られて、肝心の二拍三連リズムを見失ってしまうらしいのです。
そこで、この曲はあくまで二拍三連克服用に使うのだから、曲のイメージとかは考えないで、間に合う速さまでテンポを落として、ゆっくりきちんと合わせていくことに徹底しよう、ということに決めました。
いずれ二拍三連が克服できた時には、テンポが速かろうと音が複雑だろうと、絶対ちゃんとできるようになるんだから。

軍隊ポロネーズ・アルペジオは重心の移動を使って

2016年02月22日 | 音符・楽譜・テクニック
Kさん(大人):
ショパン作曲「軍隊ポロネーズ」を少しずつ練習始めています。
ショパンというと、繊細なノクターンや静かでセンチメンタルな曲が多いイメージかもしれませんが、ポロネーズの数々は重厚な和音や躍動感にあふれ、ショパンの別なイメージが新鮮です。

この「軍隊ポロネーズ」も、生き生きとしたリズムと分厚い和音が 華やかなのですが、それだけに和音を的確につかんでいくのが一苦労です。
何しろ、オクターブを超えてなおかつその中に3つや4つの音が平気で盛り込まれてるんですから。
9度や10度の和音でも、手が大きくて一気につかめる人はいいですが、そうでない人は和音をバラして「アルペジオ」スタイルで弾くことによってカバーすることが多いです。

Kさんもそのアルペジオで苦労していて、アルペジオの4つの音がなかなか正しく捉えられない、とのことでした。
和音をアルペジオで弾くコツは、まずその和音の構成音・・・4つなら4つの音と指を確認したら、全部一気にひこうとせず、最初の音から2番目の音へスムーズに移ることだけ考えて その感覚をつかみます。
次に2番目から3番目の音へ移る練習。そしてその次。
こうして、全部の音を橋渡しできたら、手首のスナップと重心の移動を充分に利用しつつ 和音全体のアルペジオを弾きます。
Kさんはこのようにして数分練習したところ、さっきまでの悩みがウソのようにかき消えて、まるでアルペジオの名手みたいに上手になってしまいました。

和音、アルペジオ、スケール、どんな場合でも、ピアノは「重心の移動」これに尽きるのです。

白鳥の湖・二拍三連

2016年01月31日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
今年は、長年のウィークポイント「二拍三連」を克服したいということで、敢えて「白鳥の湖」を課題に選んだTさん。
見上げた心がけですね。
練習してきたのを聴かせてもらうと、さすが自分で選んだ曲だけあって かなりの出来ばえです。
序奏のトレモロ、重厚な和音の響き、広い範囲のアルペジオ、どれもすばらしい。
ただ、肝心の二拍三連が・・・残念なんだよね・・・( ̄◇ ̄;)

今回のこの曲が、何かのお楽しみ会で弾くとか、BGMで弾くとかであれば、ちょっとしたリズムの狂いなどには目をつぶって「小節内に収めてつじつま合わせれば何とかなるから、気にせず曲全体の流れをだいじにして弾いてね」などと言うところですが(全体の雰囲気はとっても良くできてるので)。
しかし今回は、そうはいかん。
何しろ二拍三連克服のための白鳥の湖なんだから。

そこでいちいち「今のとこ合ってないよ」「コレもダメ」と徹底的につっつき出し、せっかくの白鳥の湖ですが 機械的なリズム練習を繰り返しました。

二拍三連ができるかできないかは、両手の譜割り配分が理解できてるかできてないかで決まります。
はっきり理解できると、その瞬間から、二拍三連は100パーセント完璧に出来るようになります。
Tさんも、2(拍)と3(連)の最小公倍数「6」をキーワードに、左手をシンプルな分散和音にしたり右手も和音を省いてメロディーのみにしたりと工夫しながら、繰り返し練習して、ほとんど飲み込めそうなレベルまで到達しました。
あとは自分で、納得いくまでゆっくりやってみてね、ということで本日のレッスンは終了しました。

二拍三連では、ほんとにみなさん苦労します。
過去にもいくつか、二拍三連に触れている日記があるので、そちらも参考にしてみてください。

「二拍三連」2009/2/22

「白鳥の湖-二拍三連-」2009/9/2