K子さん(大人):
ブルクミュラー「やさしい花」を予習してきました。
「一応やったんですけど、何か意味というか課題みたいなものが、よく分からないし、弾きにくくて…」とのこと。
8分音符が連続して並んでる、この曲。
確かに、ただ弾くとカタカタと無機質な音が並んだだけになってしまう…
「この曲は、右手と左手、それぞれが持ってるメロディックなフレーズが、次々と交差して出てくるの。しかもほら、きっちり順番に出てくるんじゃなく、すこーし重なり合って来てるじゃない?たとえば」
ヒバリ先生が「ここと」「ここ」と言って弾いたのは、メロディーの冒頭です。
右手2小節目の「ファ♯ミド♯ララー」とに続いて左手の「ソミド♯ララー」が、2拍遅れて追いかけているので、右手の最後と左手の最初が重なっています。
譜面を見ると、2つのフレーズは同じリズム、同じ規則性の音並びを持っていることがわかります。
「あら、ほんとだ!このフレーズとこのフレーズが同じ形で、セットになってるなんて、全然気がつかなかったわ!」とK子さんはびっくり。
よく見ると、他にもいっぱい、このような「同じリズム形のセット」が、あちこちに隠されているのが見えてきます。
「ほら、こことここも。こっちにも」
「あらー、本当だ〜」
実は、これはバッハが使った「模倣」という手法で、フーガとかにも使われているものなのです。
この「やさしい花」という小曲、「模倣」モチーフが並行、反行、ズレ、同時進行、など、さまざまな配置で盛り込まれて、まるでバロック曲。
なのに、その旋律は軽いフランス風で、「バロック様式」だとは感づかれない。
もしかしたらブルクミュラーさんは、この「やさしい花」を作曲する時、バッハのパロディーごっこをして遊んでみたのかもしれないね。
そういうわけなので、みなさん、「やさしい花」が難しいなあ、と思ったら「これはバロック音楽のミニチュア体験なんだから!」と考えてがんばりましょう(笑)
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