Kちゃん(小1):
ピアノを始めて1年半です。
指がとっても良く動くようになったし、伴奏のついた新曲を、楽譜を見ながら両手で弾くこともすんなりできるようになって、すばらしい上達だと思います。
この分だと、テキストやバーナムもどんどん進んでいっちゃうよ、と大人としては思うけど、そうとばかりいかないのがフレッシュな1年生。
そこは1年生なりの、別の価値観もあるってもんです。
「オレンジのバーナム」を開いたKちゃん、グループ3-5、「なわとび」のページを広げて言いました。
「Kね、この曲がいちばん大好きなんだ!いちばん上手に弾けるよ!弾いてみるね」
「なわとび」は、両手そろえて和音の連続を弾くのですが、最初四分音符、そして次に倍速の八分音符で弾くのが、たまらないスピード感とスリルを味わえる曲なのです。
Kちゃんは元気いっぱい、スピード感あふれる「なわとび」を弾きました。
「ほんとだ。じょうずだね~。じゃ、花マルもっと付けちゃうね」
「なわとび」は、もうすでに修了して、花マルもつけてもらってる曲なんですが、先生はそこに、もっとたくさんの花びらを重ねました。
「もう1回弾くよ!」
「いいよ!」先生も伴奏を合わせ、二人で元気いっぱいに弾きました。
「もっと花マルつけよう」
「もう一回弾くね!先生も一緒に弾いてね。私ね、先生のリズム感があるほうが、もっと上手に弾けるから」
「オッケー、いいよ!」
「もう一回!」
「もう一回!」
こうして、二人で何度も何度も何度も「なわとび」を弾き、だんだんテンポが速くなり、大迫力、大興奮。
その都度花マルも増え、赤エンピツだけではなくオレンジやむらさきや水色の花びらも重ねて、Kちゃんの楽譜は、ページ全体がクレープフラワーのような色とりどりの花びらで埋まりました。
大熱演が続く中、ついに帰りの時間が来て、ママがお迎えです。
「Kね、『なわとび』いっぱい弾いたの!」とKちゃんがママに報告します。
「100回ぐらい弾いたよね!」と先生。
「うん!100回ぐらい弾いた」とKちゃん。
100回は大風呂敷だけど。でも、気持ち的には100回分ぐらいってことで。
今日はレッスン時間じゅう、ほとんど「なわとび」で終わりました。
テキストは進まなかったけど、たまにはこんな時間があってもいいものです。
好きな曲を、何度も何度もハイスピードで弾くのは、本当に楽しくスッキリ、心が満たされますからね。
「バーナム」はテクニックの教本なんだから、弾けば弾くほどテクニックも磨かれて、こんないいことはありませんよ~