練習熱心なTさんに「あんまりいっぱい練習しないでね」と言ったことを、先のブログに書きました。
それは「無理な動作や姿勢を長時間繰り返すと弊害が起こる恐れがあるよ」という意味なので、真面目で努力家の生徒さんだからこその忠告です。
一生懸命努力したために、かえって手や身体を損なってしまったら残念すぎます。くれぐれも気をつけてください。
「長時間、無理に繰り返さないでね」ということと、もう一つ、努力家さんへの忠告。
それは「毎回、最初から最後まで弾かないでね」ということです。
もちろん、完成したレパートリーや、本番前の仕上げ練習の時は、最初から最後まで通しで弾くんですが、まだ練習し始めて譜読み段階とか、最後まで一通りたどり着いた、ぐらいの段階の時のこととして聞いてください。
今の時代、子どもも大人も忙しい。
なかなかまとまった練習時間が取れない人がほとんどだと思います。
例えば、ピアノの練習に充てる時間が30分間あったとします。
今やっている曲を初めからつっかえつっかえ弾き始め…音符を数えたり、拍を数えたりしながら…ようやく最後までたどり着いたら、大曲ならそれだけで30 分近くかかってしまうかもしれません。
しかも、どっこも上手にはなっていないんです。
翌日もまた、始めから終わりまでたどたどしく弾いて、時間が経ってしまいました。
出来ばえは相変わらず昨日と同じです。
このように弾いていては、毎日「今日も下手だった」と思うだけです。
「30分しか練習しなかったから、1回しか弾けなかった」という罪悪感まで感じてしまうかもしれません。
そうじゃなく、練習する分量をしぼって。
30分なら30分で上手になれる!というだけの分量を決めて、そこだけを集中して練習するのです。
どのくらいの分量なら可能か、というのは、あなたのレベルや、今やっている曲の難しさなどによって違うので、適切な箇所、適切な分量を見きわめましょう。
弾くのは、必ずしも始めから区切っていく必要はありません。
今この時間でやれる所、とか、一番苦手な所だけ、でもいいし、逆に一番好きな所をまず弾けるようにしたい、とかでもいいんですよ。
さて、30分間練習して、目標の分量が…2小節でも1小節でも…完成出来ました。
やったー。上手になった。
今日の目標が達成できた。
…となりますよね?!
翌日は、15分しか時間がありませんでした。
だから、一番ラストの、ジャン!と決める和音だけを、確実に弾けるように練習しました。
やったー。上手になった。
今日の目標が達成できた。
ね? これなら、毎日「上手になった」という達成感でピアノの蓋を閉めることができるんですよ。
しかも着実に、「完成した部分」が増えていくのです。
つまずきながら全体を弾いて「今日も下手だった。練習出来なかった」という敗北感と罪悪感で練習を終えるのと、どっちがいいですか。
毎日、毎回、小さな達成感を積み重ねて、小さな完成部分が増えていって、そうやって、長い大曲だって出来上がっていくのです。
千里の道も一歩から。
そうして地道な練習を続けつつ、たまには曲全体を弾いて、曲の雰囲気や流れを楽しみましょう。
その時は、ちょっぴりずつ完成させたパーツパーツが、なめらかに&心地よく歌ってくれますよ!
HP HIBARIピアノ教室
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