畑に行きホウレンソウの育ち具合を見ていて,一枚の葉の裏に黒っぽいものが付いているのが目に入りました。すぐに確かめると,セスジスズメの幼虫でした。幼虫が脱皮を終えた直後だったのです。
尾の後ろに,前の殻が残っていました。殻には円い斑紋“眼状紋”があり,突起“尾角” がくっきりと立って見えました。 尾角は,いかにも脱皮直後らしい瑞々しさを物語っていました。背中には体液が一滴。
その葉を採集して来て,写真を写しました。尾角はもう黒く色変わり。
農作物では,これまでにサツマイモとサトイモに付いているのを見たことがあります。もちろん,葉を食べられて被害を受けました。しかし,ホウレンソウで見かけたのは初めてです。食痕はこの幼虫が残したものなのでしょうか。
いずれにしても,セスジスズメの食草は野生植物のヤブガラシ,ノブドウ,マルバルコウ,栽培植物のホウセンカなど,じつに多岐にわたっています。それだけ,環境への適応性が大きいといえそうです。
【追記】 脱皮後の様子を撮影した翌日のこと。ホウレンソウに灌水をしていると,やはり黒い何かが見えました。寄って確認したら,ホウレンソウの辺りに生えているホトケノザにセスジスズメの幼虫が付いていました(下写真)。それも,三匹! ホトケノザに食痕があるのは,たぶんセズジスズメがつくったものでしょう。ということは,先の幼虫は脱皮を控え,たまたまホウレンソウに移動していたというふうにも考えられます。