クロアゲハの食樹は柑橘類です。我が家には,スダチ,レモン,キンカンの木が植わっていて,クロアゲハとアゲハが産卵に訪れます。それで,驚くほどに幼虫が出現することがあります。
今秋はクロアゲハの幼虫がほんとうにびっくりするほど生まれました。それを見つけて,数個体飼育箱に入れ飼っています。
さて,この幼虫を探しているときに,天敵がクロアゲハの幼虫を食べている場面を目撃しました。強力な武器で,獲物をがっちりつかみ放さないという感じでした。高いところだったので,惜しくも写真には撮れませんでした。その天敵とはカマキリです。その後はそういう場面を見かけたことはありません。
先日たまたまカマキリを見かけ,撮ったのが下の写真です。やはり,幼虫を探していたのではないでしょうか。
クロアゲハの幼虫は,4齢までは鳥の糞に似た色とかたちをしています。カマキリの目をときどきは欺けても,いつもそうそううまくいくとは考えられません。
アゲハの幼虫の動きの緩慢さと体色,カマキリの動きの俊敏さと体色,これら二つを比べると明らかにアゲハは劣勢に立っています。ある生きものにとって棲みよい場所では,別の生きものがそれを標的にしてチャンスを覗っているというのは自然の理です。襲う知恵・襲われない工夫,追う目・逃れる手,考えてみれば“生きとし生けるもの”共通のありのままのドラマです。