自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ようこそ,ルリタテハの幼虫(続)

2013-10-13 | ルリタテハ

幼虫を見かけたとき,食草がすっかり減っていて心許無かったので,近くの山でサルトリイバラを採集。飼育箱にそれと一緒に終齢幼虫を入れました。

そうして翌朝。見ると,葉が一枚かなり食べられていました。旺盛な食欲ぶりがうかがえます。

 

幼虫は蓋に取り付いて,絹糸を出している最中でした。ツマグロヒョウモンから推測すると,それに尾端を固定してぶら下がるつもりかもしれません。ところが,わたしが蓋を取って観察・撮影したものですから,微妙に影響を与えたようで,移動し始めました。申し訳ない。その後,仕事に出かけました。

さて,夕方帰宅してからの話です。やはり蓋の内側にぶら下がって,前蛹になっていました。もちろん,朝とは別の場所で! もう一度絹糸を出し直したです。糸がからだを縦方向に走っています。驚いたのは,ちょうどこのとき動きがはっきり観察できたこと。これは蛹化の瞬間が迫っている証拠です。

初めての出合いで蛹化が見られるのです。そう思っただけで,わくわく感がじわっと広がっていきます。 

 


クロアゲハの幼虫の脱皮,その瞬間

2013-10-13 | クロアゲハ

アゲハの幼虫は4回脱皮を繰り返して,成長していきます。

脱皮する時期が来ると,幼虫はからだを休めるようにして静止状態に入ります。その間に,皮が脱げる準備が静かに進行しているのです。幼虫が大きくなれば,それだけ準備時間がかかるように見えます。なにしろ大仕事で,無事に脱げなくてはなりません。

話は飛びますが,以前に動物園に出かけてニシキヘビの飼育担当の方から,脱皮の様子を伺ったことがあります。それによると,健康なヘビはなんらトラブルなく脱皮する,しかし元気でなかったり健康状態を崩したりしている場合は,人間が手伝わなくてはならない,という話でした。手伝うって,温かくて湿ったタオルで包んで皮が脱ぎやすくなるようにするらしいのです。場合によっては,飼育係が皮を取る手伝いをするとか。そのときは,皮はひとつながりでなく,ばらばらに千切れることが多いのだそうです。

おみやげにニシキヘビの皮の一部をいただきました。これ,今もたいせつに保管しています。

話を元に戻しましょう。要するに,うまく脱皮することはいのちの存続にとって欠かせないことなのです。

クロアゲハの4齢幼虫が葉で静止していました。その状態が続いているので,「これは脱皮が近づいたな」と予感。これまでに脱皮の瞬間前後を追ったことがないので,じっくり観察しようと思いました。それで,カメラの位置を決めて経過を見ていくことにしました。 

カメラを設置して30時間が経ちました。脱皮が近づくと,からだをゆっくり,ときには激しく動かして表皮が脱げるように懸命になりました。色合いは透き通った青色という感じです。神秘な色に見え,いよいよ脱皮の瞬間が迫ってきたなと思えるほどです。

すると,動きがほんとうに激しくなり,瞬間がやって来たと思わず呟いていました。5齢幼虫はからだを伸ばして,頭部を出しました。そして,頭をぐっと上げると……。脱げた皮が後ろに送られていきます。

からだをぐうっと前方に出しました。すこしずつ幼虫のからだが出てきて,それにつれ,きれいな黄緑の体色が現れました。  

なんのトラブルもなく,無事に皮を脱ぎ終えようとしています。送られた皮は,小さく縮んだようになりました。 

皮を脱ぎ終わって,尾先をピクンと持ち上げました。脱皮開始からここまで5分。 

こうして初々しい黄緑をした幼虫が誕生しました。脱皮は大仕事なのだと,つくづく思う風景が続きました。 粘り強く,この瞬間を待ってよかったー!