枯れた竹とか人工物で蛹化した個体が羽化するのは何度も何度も見てきました。しかし,青々とした葉や茎に付いている蛹のそれは,そう多くはありません。
つい先日,ウマノスズクサのすぐ脇に植えているレモンの木で羽化する場面を目の当たりにしました。生の葉のような自然物で羽化するのは,とても自然な姿だと思います。それゆえ,殊のほかワクワク感が膨らんだのでした。
たまたま昼間,羽化間近と思われる蛹を発見。葉ごと家に持ち込んで,羽化の瞬間を待つことにしました。これまでの経験からすると,ほんの2,3時間以内に成虫が出てくると思われました。
予感どおり成虫が出てきました。その直前,10秒ほどの間,蛹が小刻みに揺れました。ブルブルッという感じでした。傍にいた妻に「羽化や!」と伝えました。そのとおり,羽化が始まったのです。
成虫は,じつにゆっくり現れました。そして,折り曲げた足をゆっくり伸ばして殻から出てきました。
このあと,殻からすこし上に移動して,口吻のウォーミングアップを始めました。これはいつものとおりです。
緑の葉で羽化する風景には,いかにも自然の匂いが漂っています。ジャコウアゲハにはぴったりです。