本記事は10月2日付け『脱皮後のヤマトシジミ』 で取り上げた個体の,その後の話題です。この個体は,すでに蛹化しているものとは別のものです。それで,仮に“個体B”と呼んでおきましょう。
10月1日(火)。個体Bの頭は,ふだん“蓑”風の保護壁の奥に収まっているので,見たくても見えません。移動するとき,食べるときぐらいにちょこっと見かけるぐらいです。それに頭もからだも小さいので,関心がない限りそれを目にすることもありません。
たまたま,終齢幼虫が葉を食べるま場面を目の当たりにして撮ったのが下の写真です。黒い頭が出て,顎を出して食草を食べていました。
ふしぎに感じたのですが,思いのほか,大きな動きで食べるのです。バリバリという感じでした。食べているときも,やっぱり頭は蓑に包まれています。よほど警戒心が強いのかもしれません。
10月3日(木)。見ると食事中でした。最後まで食べ切るというのが,終齢幼虫の律儀な特徴なのかもしれません。食痕を残すという半端な感じでなく,他の葉もことごとく葉柄だけを残して食べているのです。
食べている姿勢は,あっぱれというか,ユーモアたっぷりというか,なかなか味わいがあるなあと思いました。細い葉柄を腹脚と尾脚で抱え込み,落ちないようにしがみ付いています。胸脚は折りたたんで,ちっとも使っていません。こんなふうにして葉を平らげるのです。こうした瞬間に,排泄物でもポロッと出してくれようものなら,最高のショットがものにできるのですが……。
わたしなりの昆虫観察のおもしろさは,動物行動学の目で対象の動きを追い,解釈してみるところかなと思っています。 昆虫の気持ちになって,というところでしょうか。深く考えていくと,考えることが尽きるってことはありません。
個体Bは間もなく蛹になり,そのあと成虫に育っていきます。それに伴う変化を追いながら,記事にもしていく予定です。