自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヤマトシジミ,蛹化へ。そして羽化へ(4)

2013-10-05 | ヤマトシジミ

『ヤマトシジミ,蛹化へ。そして羽化へ(2)』 の記事中,尾に近いところで白い突起が出入りしているふしぎさについて触れました。これが氷解しました。ほんとうに,スッキリと。そして,びっくりするかたちで!

これはヤマトシジミならではの生態につながる事実でした。ネット情報で調べていて,まったく偶然飛び込んできたのです。内容は,わたしなりに整理すると次(赤字部分)のようになります。

ヤマトシジミは尾に近い腹部上側に蜜腺を持っていて,アリを呼んでいる。アリに来てもらうことによって,外敵から身を守っている。つまり,アリはボディーガード役なのである。ただ,その蜜腺の姿はどうもわかりにくいらしい。脇に白い突起が二つあって,それに挟まれる位置にあるようだ。突起は匂いの誘引物質フェロモンを放つことに使う。どうやら,近くにアリがいないと不安を感じて放出するらしい。結論としては,ヤマトシジミの幼虫はアリと共生関係にあるといえる。

ということは,絹糸を紡ぐ際,外敵に襲われないかしきりに心配していたってことなのですね。警戒心を怠らないその行動はじつに見事です。ただし,どの個体もその段階でアリを呼ぼうとするのかどうか,それは複数個体を観察しない限りわかりません。

接写撮影していて,この動きに気づきました。その動きがあまりにも突拍子で意外性に満ちたものだったので,すごーく印象に残ったのです。すごーく驚いたのです。それで,その部分が写った写真を改めて見直してみました。そして,拡大したのが下の写真です。

白い円柱状の突起。その先に何本かの棘がイソギンチャクの触手のように生えています。突起の高さは0.3mm。触手からフェロモンが放散されているのでしょうか。

 

下の突起が出始めています。 

二つの突起が揃いました。このあとは,それぞれまた元通りに入って,また出て,という繰り返しです。 

ミリの世界に隠された,巧妙なしくみには唖然とするほかありません。まったく大したものです。 

 


クロアゲハの幼虫,天敵からの受難

2013-10-05 | クロアゲハ

スダチにいるクロアゲハの幼虫を見ると,妙に小さなハエかハチのようなものが一匹付いていました。そこにもう一つ現れましたが,間もなく去っていきました。腹が異様に膨らんだからだつきをしていました。

はじめからいた個体は,アゲハのからだに異常に関心を示して,去る様子がありませんでした。どうもからだの表面に眼と口が向いています。それで撮ったのが下の写真です。

明らかにこれは天敵のとる行動です。大きな顎が体表を狙っています。 

たしかに口を体表に入れました。からだが前のめりになっています。体液でも舐めとっているのでしょうか。あるいは,筋肉の一部を食いちぎっているのでしょうか。なにしろ体長が2.3mmの昆虫の為す行動なので,口を突き刺したといってもまず跡形はわかりません。 

ふしぎなのは,肛門から風船のような状態で液体か,気体かが排出し続けたことです。7,8秒に1回,きっちり出てくるのです。写真では写せませんでした。上写真に写ったものは単なる排泄物だと思われます。

名前不明のこの昆虫の行動が時に違和感を伴なうのか,アゲハの幼虫はすこしからだをピクッとさせました。タマゴバチでもなし,ヤドリバエでもなし,アオムシコバチでもなし,アゲハヒメバチでもなし。ではいったい,何虫なのでしょう。まことにふしぎな光景でした。