『ヤマトシジミ,蛹化へ。そして羽化へ(2)』 の記事中,尾に近いところで白い突起が出入りしているふしぎさについて触れました。これが氷解しました。ほんとうに,スッキリと。そして,びっくりするかたちで!
これはヤマトシジミならではの生態につながる事実でした。ネット情報で調べていて,まったく偶然飛び込んできたのです。内容は,わたしなりに整理すると次(赤字部分)のようになります。
ヤマトシジミは尾に近い腹部上側に蜜腺を持っていて,アリを呼んでいる。アリに来てもらうことによって,外敵から身を守っている。つまり,アリはボディーガード役なのである。ただ,その蜜腺の姿はどうもわかりにくいらしい。脇に白い突起が二つあって,それに挟まれる位置にあるようだ。突起は匂いの誘引物質フェロモンを放つことに使う。どうやら,近くにアリがいないと不安を感じて放出するらしい。結論としては,ヤマトシジミの幼虫はアリと共生関係にあるといえる。
ということは,絹糸を紡ぐ際,外敵に襲われないかしきりに心配していたってことなのですね。警戒心を怠らないその行動はじつに見事です。ただし,どの個体もその段階でアリを呼ぼうとするのかどうか,それは複数個体を観察しない限りわかりません。
接写撮影していて,この動きに気づきました。その動きがあまりにも突拍子で意外性に満ちたものだったので,すごーく印象に残ったのです。すごーく驚いたのです。それで,その部分が写った写真を改めて見直してみました。そして,拡大したのが下の写真です。
白い円柱状の突起。その先に何本かの棘がイソギンチャクの触手のように生えています。突起の高さは0.3mm。触手からフェロモンが放散されているのでしょうか。
下の突起が出始めています。
二つの突起が揃いました。このあとは,それぞれまた元通りに入って,また出て,という繰り返しです。
ミリの世界に隠された,巧妙なしくみには唖然とするほかありません。まったく大したものです。