クロアゲハの幼虫に口を食い込ませていた,あの幼虫の正体がわかりました。そして,口器を体内に入れていた訳も氷解しました。これは,ネット検索をとおしてたまたま出合った情報のお蔭です。
ヌカカという昆虫でした。漢字で“糠蚊” 。糠粒のように小さな蚊という意味で命名されたようです。ウィキペディア・フリー百科事典にこう書かれています。
「体長が1mmー数mmほどの小型昆虫で、一部の種類のメスはカと同様に吸血動物となる」「毎秒1046回羽ばたいている。これは全ての生物の中で最速の羽ばたきである」「体が小さいため網戸等を抜けてヒトの住居に侵入することもある。蚊と異なり、刺咬された直後は刺された感触もなくほとんど痒みはないが、翌日以降に腫れと痒みが起こり、小さな水ぶくれができることもある」
と。
羽ばたきが毎秒1046回だなんて,すごいのはすごいけど,よくもマア数えようとした人がいたものです。これも徹底していて,立派。
「こんな昆虫がいたなんて,知らなかったー!」
ということは,あのとき,ヌカカはクロアゲハの体内から血を吸っていたということです。よくよく考えてみると,あの腹は大きく膨らんでいたー! 一瞬,からだのかたちから「蚊の腹みたい!}と思ったものの,蚊がアゲハから血を吸うなんてまず想像がつきません。「まさか,そんなことはあるまい」なんて先入観を持ったのが軽率でした。
わたしだってこれまでにヌカカに刺されたことがあったとしても,気づいていないのかもしれません。なにしろ体長がミリ単位なのですから。
ともかく,「こんな正体の昆虫がいるんだよ」という視点から,なかなかすてきな“内容知”を仕入れることができました。頭が固くなりかけている時期に,「こんなふうに考えてみたらいいね」という視点で,なかなかすてきな“方法知”を得ることができました。感謝。