家の中に,ハチと見紛う昆虫が1匹侵入してきました。それを見て,一瞬,これは刺されちゃいけないぞと思いました。見たことのない昆虫だったので,とりあえず慎重に観察容器に入れました。その後,撮ったのが下写真です。中脚の一本が欠けています。
体長は15mm。調べると,正体はすぐにわかりました。キスジトラカミキリです。クリの花とか,切り倒された広葉樹にやって来るのだとか。よくよく見ると,翅の特徴はまさにかみきりであって,ハチのそれではまったくありません。なのに,見た瞬間,ハチと間違いそうになったのです。
解説を見て,納得できました。キスジトラカミキリの,黒と黄色の縞模様はスズメバチの警告色を真似た擬態なのです。スズメバチは毒液を持ち,攻撃的な性質を有する昆虫です。そのことについては,人間のみならず哺乳類・鳥類に広く認知されています。そのからだに,似せて身を守ろうとするかしこいカミキリがこれというわけです。色彩だけでなく,姿格好もなんだかそっくり。
このキスジトラカミキリ以外にも,スズメバチに擬態した昆虫はたくさんいます。カミキリムシにも,そのほかの種にもいます。
種間の関わりって,おもしろいものです。それを感じさせてくれる出会いとなりました。