自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キスジトラカミキリの擬態

2014-06-14 | 昆虫

家の中に,ハチと見紛う昆虫が1匹侵入してきました。それを見て,一瞬,これは刺されちゃいけないぞと思いました。見たことのない昆虫だったので,とりあえず慎重に観察容器に入れました。その後,撮ったのが下写真です。中脚の一本が欠けています。


体長は15mm。調べると,正体はすぐにわかりました。キスジトラカミキリです。クリの花とか,切り倒された広葉樹にやって来るのだとか。よくよく見ると,翅の特徴はまさにかみきりであって,ハチのそれではまったくありません。なのに,見た瞬間,ハチと間違いそうになったのです。


解説を見て,納得できました。キスジトラカミキリの,黒と黄色の縞模様はスズメバチの警告色を真似た擬態なのです。スズメバチは毒液を持ち,攻撃的な性質を有する昆虫です。そのことについては,人間のみならず哺乳類・鳥類に広く認知されています。そのからだに,似せて身を守ろうとするかしこいカミキリがこれというわけです。色彩だけでなく,姿格好もなんだかそっくり。

 

このキスジトラカミキリ以外にも,スズメバチに擬態した昆虫はたくさんいます。カミキリムシにも,そのほかの種にもいます。

種間の関わりって,おもしろいものです。それを感じさせてくれる出会いとなりました。

 


初めて見た卵!

2014-06-14 | ベニシジミ

今観察している幼虫を採集したウォーキング道でのこと。ベニシジミの成虫をいくつか見かけました。これまでに卵をできるだけ早く見つけたいと願っていたので,この機会に探してみようと思い立ちました。実物を見たことはありませんでしたが,写真情報をとおして表面の規則正しい凹凸面が脳裏に刻み付いていました。

わたしは,てっきり葉の裏側に産卵しているはずだと思い込んでいて,スイバ・ギシギシの葉の裏を探したのですが,まったく見当りません。結局,思い違いをしていたのでした。たまたま表側で1個見つけ,その美しさにびっくり。そして,次々に見つかりかけ,「ははーん」と納得したのは表側で当たり前だということ。 

 


この葉でも表側です。 

 

 
別の葉でも表側で。卵の直径は0.6mm。

 


部分拡大して,表面の特徴を見てみましょう。 1mmより小さな世界の巧み。

 

  
やっぱり,ここも表側。

 


葉柄にも。 

 


表側で当たり前というのは,ベニシジミのからだの大きさからみれば,裏側に産み付けるのはなかなかたいへんだと思われるからです。ヤマトシジミは同じような体型ですが,カタバミの葉の裏側に産みます。安全対策としてはもっともです。これと比べて,ベニシジミは生存上不利と思える位置に産みます。

ふしぎといえばふしぎですが,理由はベニシジミに聞いてみなくてはわかりません。そうした選択をしたとしかいいようがありません。

思い付いて卵を探した結果,新たな発見に結び付きました。大きな収穫です。