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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その315)

2014-06-13 | ジャコウアゲハ

アゲハの庭園で,下写真の前蛹を発見しました。食草ウマノスズクサのすぐ脇に植えたレモンの木で,こんなふうに蛹になろうと決めたのです。 

 
人工物ではないものに帯糸をくっ付けて蛹になるというのは,貴重な例です。大抵は塀であったり,トタン板であったり,金網であったりします。それで,「これはしめた!」と思い,経過を写真で記録することにしました。

カメラを据え,変化の兆候をときどき確認。やがて表皮に大変化が起こり始めました。

 


頭部・胸部が二つに裂けてきて……。 


瑞々しい蛹が見えてきました。 


帯糸が緩やかに曲がってからだを支えています。


表皮が帯糸の内側をとおって,後方に送られていきました。 

 
蛹は表皮を落とそうと必死になりました。くねくね,くにゃくにゃと,盛んに動き続けました。そうして,そのうちにポトリと落ちていきました。


ここまででたった5分のドラマでした。いのちが絡むドラマは,いつもこころを打ちます。

 


羽化を激写!

2014-06-13 | アゲハ(ナミアゲハ)

たまたま飼育箱に付いた蛹を見ると,羽化直前の様子。殻をとおしてからだの細部に至るまで確認できます。体毛もはっきり!

わたしは,昆虫たちの生態に飼育箱のような人工物が入り込むのはどうも人間臭さを感じて好きになれません。しかし,観察対象にした昆虫がそういう範囲にも棲息域を広げている,あるいはたくましく生きているという意味からすれば,マア,仕方ないのかもしれません。


そういう前置きをして,今回は敢えてそんな場面をご紹介することにします。理由については解説文でご理解いただけると嬉しいのですが。

午前10時に見て,「よし! せっかくなので記録写真を撮ろう」と思いました。

 


正午までには羽化するだろうと思っていました。ところが,どっこい。ピクリと動いて羽化する気配を見せることはあるのですが,羽化が始まる様子はまったくありません。

午後1時。これで3時間,ずっと見つめていました。しかし,まだ。

それから20分が経った午後1時20分。頭部の殻が僅かに割れ始めました。「ヤッター!」と小躍り。とうとう羽化の瞬間を迎えたのです。

 


ゆっくり,成虫が現れました。じつにゆっくりと。折り畳まれた脚が力強く見えました。


このあと,まったく驚くような速さで殻から出て,上に移動していきました。背には,こんなに小さな翅がちゃんと広がるのかと思うばかりの縮れた翅が乗っかっていました。


自然は巧みにできています。驚異的な変化で,翅がどんどん広がっていきました。翅脈に体液が注ぎ込まれて,ごくごく当たり前のように一人前の成虫のからだに変わっていったのです。

いのちの大変化は,観察者の目とこころを魅了します。観察者にとって,いのちのスゴサを感じる時間は至福のひとときです。