このほど,スミレの葉の裏にぶら下がり蛹化したツマグロヒョウモンの個体の羽化を写真に収めました。今回のように,一部始終きちんと観察しながら撮影できる機会はそうあるものではありません。幸運だったと感じています。
蛹化したとき,スミレの葉は緑色をして元気だったのですが,その後,枯れていきました。それで,蛹は地面に倒れるようなかたちになったのです。
継続観察をしていると,翅が透き通って見え始めました。羽化近しの兆候です。翅の紋様はオスであることを示しています。
何度か個体の変化を観察しているうちに,ゆっくり殻に裂け目が入りかけました。
裂け目が大きくなり,やがて複眼が見えてきました。
脚で殻を押し開き,触覚が現れました。
殻からからだが出たとき,翅はとても軟らかい感じです。
翅を広げなくてはならないので,個体は近くの高いところを目指しました。その位置に着くと,肛門から体液を排泄しました。それがスミレの果実に付着しました。
この位置で静かにしているうちに,やがて翅が広がっていきました。
こうして無事に成虫が誕生しました。いつも,大変化は観察者の目を引き付けます。理屈抜きに感動的です。今回もそうでした。タイミングのよさに改めて感謝。