ベニシジミの蛹化を観察撮影していて,「なるほどな」と合点のゆくことが一つありました。それについて触れておきましょう。
わたしの指が触れたために,前蛹がひとつ葉から落下してしまいました。帯糸が切れてしまったのでは,傾斜面にはおけません。それで,葉の表におくことにしました。そこは比較的水平に近い面です(下写真)。
12時45分。幼虫から前蛹になって,一定時間が経ちました。間もなく蛹化が始まりそうです。帯糸がないことで,なにか不都合が生じないかと思いながら,観察を続けました。帯糸はからだを固定するものです。なければ,動きが生じた場合,「トラブルが起こるのではないか。落ちるかな」というのがわたしの単純な思いでした。
14時50分。蛹化への大変化が始まりました。表皮が薄く剥がれる兆候が見えてきました。
14時55分。表皮が脱がれていきます。同時にからだが前に移動して,ほんとうに葉から落ちそうになりました。それで,わたしは軽く元に戻しました。あとはそのままにしておきました。やはり,帯糸がなければからだがとても不安定になります。今回の事例をとおして,とてもはっきりわかった点でした。
14時56分。脱がれた皮は尾部にかためられていきます。
15時45分。完全に脱皮が完了した後,薄緑をした蛹が静かに横たわっていました。
17時07分。4時間が経ちました。時間の経過とともに,黒っぽい斑点・紋様が表れてきました。
21時19分。蛹化後8時間が経ちました。薄い緑色よりも黒い紋様の方が目立っています。
やはり,しくみというのは合理的・論理的に仕上がっているものだなあと舌を巻いた次第です。