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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサク,そして昆虫(16)

2016-03-25 | マンサク

わたし風の観察は,繰り返してその場を訪れ,じっと細部まで確認していくことに尽きます。一回で見つからなくても,あるとき,引っ掛かるように観察機会に恵まれる場合があるのです。そして,花が小さくて多いとくれば,どの花に昆虫がいるか,わかりづらいのです。次の例は,そうして観察しているうちに見かけたものです。

ショウジョウバエに似たコバエが花の中を覗いていました。明らかに花に関心をもっている様子。 

 
花から出て来て,また別の花に移っていきました。どうするのかなと思って観察していると,やっぱり!


ゆっくり歩いて花の中にからだごと入っていきました。 


寒さを感じる日だったので,動きは鈍い鈍い。

冬から春にかけては,寒くても活動している昆虫がいるかもしれないと期待感をもつことが観察の大前提です。

今日(3月25日)現在,マンサクはすでに花弁を落とし,実を形成するために変化を続けています。今シーズンは天候異常があったために訪花昆虫の種類はいたって少なかったように感じます。それでも,花はたぶん1000個は上回ったはずなのでかなりの種子ができるでしょう。結局,異常な天候下でも実を結べるわけで,種を維持するための対策を織り込み済みなのです。

 


今回で本シリーズを終えることにします。お付き合いの程,ありがとうございました。

 


春,ツマグロヒョウモンの幼虫

2016-03-25 | ツマグロヒョウモン

3月7日(月)。最低気温9.3℃,最高気温19.8℃。見かけなくなっていた幼虫が一匹,春の陽気に誘われ姿を見せました。道端の枯れ草の間を歩いていました。近くのスミレが葉を伸ばしかけています。どうやらこの幼虫,長い冬を無事に乗り切れたようです。


プランターの幼虫は結局冬を乗り越えられず,いのち絶えてしまいました。からだが縮んでしまっています。長い期間観察を続けてきただけに残念。


3月12日(土)。 仕事場の玄関で発見した個体(B)は容器(コップ)の壁面で脱皮していました。パンジーの葉を食べて順調に成長しています。その証拠に,コップ底には糞がいくつも。

 

 
3月13日(日)。自宅脇で見つけた個体Aは動きが完全に止まりました。脇には生々しい糞が1つ,そして排泄したと思われる液状のものが黄色い痕を残しています。


3月14日(月)。個体Aは同じ位置でからだを大きく曲げたままじっとしていましす。脱皮が始まる兆しではないでしょうか。それならよいのですが。

 


3月18日(金)。 おかしなことに個体A・Bとも微動だにしません。死を迎えたのでしょうか。心配。

3月20日(日)。まったく静止状態。指先を触れても動きません。かわいそうな結末になりました。もう食草のスミレが伸びて花も付けているというのに。わたしの飼育法でなにがよくなかったのか,わからないままです。

 

 


マンサク,そして昆虫(15)

2016-03-24 | マンサク

花を一つひとつ点検するような感じで見ていくうちに目にとまったのが,昆虫の真っ白な死体。脚と翅が残っているだけで,無残な姿です。「ははーん,これはクモにでもやられたんだな」と直感。


さらに近くを見ていくと,ウロコアシナガグモが花にいたのです。前とは違って,花に被さるような体勢をとっています。「もしかしたら昆虫を捕まえているのかも」と思い,確認しました。しかし,その気配はありません。ふしぎなのは,そんなわたしの動きを警戒する素振りがまったくないこと。


なんだか執着心のようなものさえ感じました。気になるので,さらに周辺を見ておこうと思い,見始めたとき! すぐ近くで捕まって動かなくなったハエのなかまが糸にぶら下がっていたのです。 宙ぶらりん! 

 
このときの状況は,もしかすると,捕食中にわたしの姿を認め,花に一時退避したばかりだったのかもしれません。だから,貴重な獲物を置いたまま簡単に逃げて行くわけにはいかなかったのかも。

食物連鎖の場面を目にして,それぞれ種・からだの大きさの違いはあっても,いのちといのちの関わり・つながりはどこにおいても,どの例においても似ているなあと改めて感じました。 

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(5)

2016-03-23 | ジャガイモ

3月20日(日)。早く芽生えた種子の中には,もうからだが直立していているものがあります。子葉が開きかけます。


幼い茎のラインは白鳥の首筋のよう。いのちの瑞々しさが伝わってきます。


3月21日(月)。上写真(2枚目)の芽は,翌21日の朝見ると下写真のように成長。

 


こんなふうになかよく並んで林立している光景も。なんだかほほ笑ましい!


孤高の人のように伸びようとする芽。


かたまって地中に埋もれていた種子が揃って芽生えてきました。地表がグッと持ち上げられています。ジャガイモの原産地は南米のアンデス地方です。そこにある原生種の自生地へ行くと,根元辺りに落ちた実からこのようにして発芽する光景が観察できるのではないでしょうか。

 
こちらでは,ばらけて地中に埋まった種子から芽が。

 

 
ジャガイモの種子は“ワンダー”の世界を拡げてくれます。

 


マンサク,そして昆虫(14)

2016-03-23 | マンサク

2月29日(月)。日中の最高気温は10.7℃。風が強く,寒さを感じる一日となりました。

こういう日はまあ昆虫は見られないだろうなと思って花を確認。なかなか見つけることができませんでしたが,そのうちに見つかりました。ガのなかまです。今のところ,わたしには同定できません。名を知るのは自然を見つめる入口なのですが,こういう昆虫が訪れているという生態のおもしろさの方が断然おもしろい,そんなふうにときには居直って考えることにしています。 


花の中を覗いているように見えます。明らかに花に関心があるとみてよいでしょう。


花粉まみれになったユスリカのなかまが1匹。「こんなに小さいんだあ」という印象を思わず持ってしまいそうな,小ささ! 

 

 
おやおや,ミノムシが歩いていました。昨年も見かけたものです。蓑にはマンサクの樹皮をくっ付けて鎧にしています。

 


歩くので,頭部が出ます。動くので,輪郭をくっきりとはとらえ切れません。そうそう,昨年の観察例からいえば,花弁を食べているはず。 

 


寒い日は目立つ昆虫は見当たりません。そうかといって,小さな昆虫が見つからないというわけでもありません。いのちはあちこちに,いつも息づいていると思って観察を続けることがたいせつです。 

 


小さな生きものたちの3月22日

2016-03-22 | 日記

3月22日(火)。春分を過ぎて,春の日差しがはっきりと感じられます。近頃は暖かさと寒さとが日ごとに乱高下するといった気候で,服装についても「今日はなにを着ようかな」とつい思ったりします。今日は,昼頃まではくっきりと晴れ渡りましたが,午後は薄曇りでひんやりとして寒気を感じてしまいました。


昼食後,道端でいくつかの昆虫と出合いました。日中が長くなり気温が上昇するにつれて,虫たちの動きが活発になってきました。わくわくして飛び出してきたのです。

いちばんに足元にやって来たのがキタテハ。「これは見逃したくない」と思い,田に入って追いかけました。そして地面に降り立った瞬間撮ったのが下のもの。春型で小さめの個体です。


次がモンシロチョウ。カンサイタンポポで吸蜜していたので,「おーっ!」と驚きながら近づいたのですが,惜しくも舞い上がってしまいました。しばらくして草の上に降り立ったので,とりあえず撮っておきました。


ホシノヒトミの群落にやって来たのがガガンボのなかま。キリウジガガンボでしょうか。どこかに行く途中,偶然着地したようでした。

 


花にいたのが鮮やかな色合いのイタドリハムシ。日の光を照り返して輝いています。でも,ホシノヒトミの葉がめあてで訪れたのかどうか,不明です。花には,別の小さな昆虫が1匹。どうやらハネカクシのなかまのよう。


テングチョウと数頭出合いました。このうち1頭はタネツケバナで蜜を吸っていました。口吻の先が蜜源までぐーんと伸びていました。しばらくして舞い上がったのですが,また戻って来ました。タネツケバナの蜜が相当にお気に入りのようです。


その他の昆虫にもたくさん出合いました。生きものとの出合いをたのしむのは極上のひとときなのですが,健康保持で歩いていることもあり,そうそう道草ばかりしてはおれません。「程々にたのしみつつ,しっかり歩くことを忘れないで!」と,自分に言い聞かせています。

 


マンサク,そして昆虫(13)

2016-03-22 | マンサク

トリバガを1匹見かけました。といっても,ようく見て,やっと見つかった1匹です。ブドウトリバガでしょう。たいへんユニークなかたちをしています。キク科の花やサザンカではときどき見かけた昆虫です。吸蜜中だったと思われます。しかしこのときは,口吻を確認することはできませんでした。 


近くの花に移っていきました。 飛び去らなかったのは幸い。蜜を吸いたそうです。


しばらく見ていると,口吻が伸びました。そして蜜を吸い始めました。 

 
蜜を吸い終わると,枯れ葉に移りました。


ほんとうにいろんなかたちをした昆虫がいるものです。トリバガのような際立った姿をした昆虫がいるって,おもしろいなあとつくづく感じます。今シーズンは,たった一度見かけただけでした。

 


マンサク,そして昆虫(12)

2016-03-21 | マンサク

2月終わりの暖かな日のこと。マンサクは花盛りを終えて,すこしずつ花弁が落ちていきます。「こういう日はきっとなにかに出合えるはず」と期待して,農作業をしながら度々見ていました。やっぱり期待どおり!

大きめの黒いハエがやって来ました。花は見上げる高さにありました。蜜を舐めようとして花に頭を突っ込みかけたとき,わたしはコンデジを構えました。しかし敏感に気配を感じたらしく,飛び去りました。残念! したがって,写真なしです。

クモを2種確認しました。もちろん,訪花昆虫を待ち伏せているのです。一匹はウロコアシナガグモ。花にからだを入れていたので,もしかすると獲物を捕らえていたのかもしれません。とても小さいので,それを確かめることができませんでした。


もう一匹は,花の間に隠れていました。カニグモのなかま,ハナグモのようです。よくぞ目にとまったなあと,自分を褒めたくなるような状況で見かけたのです。なにしろ,枝や萼(がく)の色合いにそっくりなのですから。


わたしの動きを,身近な外界の出来事として感知しているようで,警戒を怠っていません。ゆっくり移動を始めました。 

 
おやおや,今度は枝にでも化けたつもりなのでしょうか。あっぱれ!


こんなふうに絶えず策略を巡らしているので,小さめの昆虫がそこに来ようものなら簡単に捕まりそうです。すっかり油断しているはずですから。と思って見て行くと,小さめの虫たちが目にとまりました。それらはよほど目を凝らさなくては見えない大きさです。


小型のクモにはぴったりの大きさに見えます。 


夢中で蜜やら花粉やらを舐めていたら,突然そこに! と想像するだけで,身近な世界の知らざる営みが見えてきます。厳しい掟の世界です。 

 
ユスリカのなかまもいました。この体長だと,同じように被害者になりうるでしょう。


クモだって外敵に常にねらわれています。それで警戒を怠ることはできません。わたしの動きにも反応して身を隠そうとしました。生きていくためには欠かせない行動なのです。「食べる」「食べられる」という食物連鎖の関係が,今年もまたマンサクで見られました。いのちのドラマが浮かぶ風景は緊迫感や躍動感があっていいものです。

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(4)

2016-03-20 | ジャガイモ

たいていの種子では,発芽したときにまず顔を覗かすのが根です。根でからだを支えて保持する作業が最初の営みなのです。それがひとまずできてから地上部に力を注ぎ,葉を広げ始めます。

これまで記事にしてきた発根の様子について,改めて順を追いながら整理してみます。

乾燥していた種子に水分が入っていき,温度と光を感じると発芽の準備が整います。すると,胚乳に蓄えられていた養分を使って根が出かけます。本来なら地中に埋まっているので,根の先端は重力の方向,つまり地中深くに淡々と伸びさえすればよいのですが,地表に横たわる種子はそうはいきません。手探り状態で,まずはちょこっとだけ出ながら,重力の方向を感知します。 


伸びる方向を定めると,一心にその方向を目指します。同時に,できるだけ早くからだを固定して,体内に水分と栄養分を吸収しなければなりません。そのために表皮細胞が変化して,管状の根毛になり伸びかけます。下写真は根毛が発生し始めた時点で撮ったものです。 


地表で逆立ちした種子から出た根は,成長の向きを反転させて地中に向けて大急ぎ。それに合わせたようにして根毛が伸びてきました。そして土壌の粒をつかもうとしています。 


横向きになった種子から出た根は90度方向転換します。土粒がなくても,とりあえず原則どおり根毛を大量につくります。根に気持ちがあるとすれば,このときは「ワラをもつかむ思い」でしょう。 

 
根先が土の中に入らないと一苦労です。根毛が土粒をつかめば,からだをがっしりと支えることができます。すると,根が支えるのに比例して地上部の茎・葉が起き上がり,重力の反対方向に伸び始めます。

 
このときにはもう葉緑体ができているので,降り注ぐ日光を浴びて成長に必要な養分を自力でつくり始めます。巧妙なしくみを思えば,「化学工場の操業開始!」といったところです。この頃の芽は多くが種皮を被って,なんだか優雅な曲線を描いて見えます。わたしは,この姿に初々しさを見る気がして,気にいっています。 

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(3)

2016-03-19 | ジャガイモ

3月18日(金)。順調な発芽ぶりです。種子には土をほんの薄くかけている程度なので,地表に剥き出しになった状態のものがかなりあります。それらを見ていると,成長ぶりがよくわかって,納得できる点がたくさんあります。

その1つが根毛のこと。根毛は文字通り,“根の毛”です。英語でいえば“Root hair”。まずは写真をご覧ください。

 


根の先端近くに密生しているのがそれです。それこそ先端は新しい根が生まれゆく最前線であり,成長盛んなためにまだ根毛は生えていません。そこよりほんのすこし上側に根毛は生えます。その部分は成熟した箇所といえます。

 


成熟部分が土壌と接するところにある表皮細胞が,管状になって伸びます。これが根毛なのです。植物一般としてみれば,太さは15~17μm(マイクロメートル。0.015~0.017mm),長さは80~1,500μm(0.08~1.50mm)あたりなのだそうです。根毛を6,7本横に並べてやっと1mmになるのですから,その小ささは自ずと想像できるかと思います。

さらにこんな話はどうでしょうか。日本人女性の髪の平均的な太さが80μm(0.08mm)。すると,この5分の1が根毛1本の太さにあたる! そんな感じです。

 


根の先はどんどん成長を続けて地中深く潜っていきます。根は枝分かれもします。地上部が大きくなると,当然地中で根がしっかり張らなければなりません。それに応じて根毛もどんどんつくられていきます。どんどんつくられながらも,古くなった根毛は役目を終え,次々と死んでいきます。つまり,更新していくのです。寿命は短くて数日から長くて3週間ぐらい。

役目ということばを使いましたが,その最たるものは地中の栄養分(肥料分)と水分を吸収するというもの。それが横向きに伸びることで,細胞の表面積が数十倍に拡がります。拡がることで外界との接触面積が増加し,吸い上げるべきものを効率よく吸い上げます。根毛がなければ,植物は死に絶えます。

次には,土壌粒子をがっちりつかんで根を支え,結果として植物のからだを支持しているというもの。根毛がなければ,植物は倒れます。1本1本はか弱くても,生命維持のなんとも頼もしい担い手! 地の中の力!

根毛が写真のように剥き出しで姿が露わになっていると,日頃は見えない植物のふしぎがぐっと迫ってきます。「成長の裏に根毛あり」。

ついでに,同じところで写した写真を一枚どうぞ。名前不明の草ですが,根毛の様子がまたおもしろくって! 地表を這うように伸びています。