こんばんは、へちま細太郎です。
一面の雪景色を想像していたら、朝で家を出るころには、地面が見えていた。
「転ぶなよ」
とぼくに言ったおとうさんは、玄関を出るなりひっくり返った。
「足いてえ」
と、治りかけの骨折した足を抱えて転げまわって、おばあちゃんが担いで病院に直行することになった。
後からきいたら、また骨折だって。
「なんだそりゃ」
それをきいたタコ壺保健室の匿名希望の東山先生は、呆れた表情をみせた。
「あんたのおやじ、今年、天中殺なんじゃないの?」
「まあなんだな、早く嫁もらわないと、女運も逃げて行くぞ」
と、片山教授もあきれ顔だった。
「だったら、いい女性を紹介してよ。中島教授のところの浅田さんはなんでもなかったっていうし、みんなおとうさんをおちょくっているわけ?」
と、文句を言ってみたけど、
「まあ、いじられキャラだからあきらめな」
遊びにきていた高校の桜井先生が、意地悪く言い放った。
「結婚されてしまうと、いじれなくなる」
「じゃあ何、おとうさんが結婚したらいじめたりしなわけ?」
「しないよ、嫁さんがいるやつはいじめない主義だ」
なんとも呆れた理屈だけど、おとうさんがいじられキャラなのはわかる…気がする。
「まあ、どうでもいいけどさ。ほんと、おとうさん、おかあさんと再会して早く結婚してくれないかなあ」
思わず本音をいってしまったら、
「まあ、本人たち次第でしょ、こればっかりはどうにもならないし」
「でも、あんたのためにはなるよね」
そうだね、ぼくは心の中でつぶやいた。
そしたら、つばさ君と会えるかもしれなし、と思った。