宮城県高校総体男子バスケ、昨年のIH準優勝校の明成高校が決勝で東北学院に敗れた。84-64、20点差である。新人戦でも敗れているので、「やはり」、というべきなのだろうか。今回の高校総体は震災の影響で一般のファンをシャットアウトして開催されたので生で観戦することは出来なかったが、幸いというべきか、You TubeにビデオがUPされており、ゲーム内容を知ることができた。
驚きだ。明成の完敗である。ディフェンス、運動量、スピード、リバウンド、シュートの精度などほとんどすべての面において東北学院の方が明らかに勝っている。明成のゾーンディフェンスもほとんど機能しなかった。はっきりいって、もっと点差がついても不思議ではないゲーム内容だ。
パンフレットのメンバー表には名前がなかったようだが、噂の中学日本代表のスーパー1年生たちはプレイしていたのだろうか。webの掲示板などをみると出ていたようである。まあ、スーパー1年生とはいっても、ついこの間までは中学生だったのだ。全中上位進出メンバーを中心に高校で鍛え上げられた東北学院には及ばなかったということだろうか。
それにしても、このゲームの明成のバスケットは解せない。数年前までの目くるめくようなパッシングゲーム、モーションオフェンスは一体どこにいったのだろうか。多くの選手がパスをしたあと立ちどまり、パスの流れが悪い。ボール保有者が、立ちどまってレシーバーを探している場面さえ何度もみられた。また、インサイドを起点にした攻撃はほとんど見られず、逆サイドに展開する攻撃も少なかった。外を回して④藤井の遠距離シュートというパターンが目立ち、苦し紛れのシュートも少なからずあった。全体的な印象としては、④藤井の孤軍奮闘という感じだ。準決勝までのゲーム内容は不明であるが、聖和学園などによく勝ったなと思ってしまうほどだ。
名将といわれる、佐藤久夫コーチのこと、スーパー1年生を鍛えてまた全国トップを狙うチームをつくってくるものと信じているが、昨年のチームもモーションオフェンスが有効に機能していなかった、というかやらなかったようにみえるのが気にかかる。モーションオフェンスは強靭な脚力が必要であり、確かに、これまでにも全国大会の上位戦で、終盤、足が止まってしまったり、パターンを読まれたりして、逆転を許してしまうケースがあったように思う。高いレベルで完成させるのは、本当に難しいということなのだろう。しかし、それが有効に機能したときの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
外国人の長身プレーヤーを有する有力校に対抗するためには、精度の高い外角シュートが必要なことはもちろんだが、変幻自在でタイトなディフェンスと、モーションオフェンスによるスピード感のあるバスケットが重要だと思う。もう一度、明成高校のスピード感のあるモーションオフェンスを見たい。