WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

さんまのぬた

2021年09月26日 | 今日の一枚(E-F)
◎今日の一枚 547◎
Earl Klugh
Hand Picked
 入院中である。入院している病院の食事に大きな不満はない。減塩食だが、きちんと味は付いている。栄養士がわざわざ来ていろいろ打ち合わせもしてくれる。毎日の食事が楽しみなほどだ。
 それでもやはり、退院して秋の味覚を食べたいと思う。自由になったら、戻りガツオとさんまを食べよう。酒は日本酒、とりあえず地酒からいこう。さんまについては、塩焼きもいいが、《ぬた》を食べたい。三枚におろしたさんまをぶつ切りにして、玉ねぎなどと酢みそで和えるのだ。私の住む気仙沼ではよく食べる料理だ。ああ、想像しただけで最高だ。

 今日の一枚は、アル・クルーの『ハンド・ピック』、2013年のリリースのようだ。アル・クルーは自宅にも数枚しかない。それほど聴き込んだ記憶もない。先日、ラリー・カールトンのアコースティック・ギターをしばらくぶりに聴いて感動し、apple musicでジャズやフュージョンのアコースティック・ギターを使ったアルバムを探して立て続けに聴いた。アル・クルーはいわずと知れたガット・ギターの名手だが、その天真爛漫すぎるテイストがちょっとは趣味に合わなかったのだ。けれども、このアルバムはいい。全編にメランコリックな乾い哀感が漂う。取り上げられた楽曲も、ジャズの名曲やポップスの有名どころだ。名曲をアル・クルーのガット・ギターがどう料理するかが聴きどころである。
 早く退院して、先日購入したばかりのエレガットを弾きたい。

IgA腎症と私⑩

2021年09月26日 | IgA腎症と私
(10)ステロイドパルス療法(第2クール)
中間結果(1クール後)とeGFRの推移
人間ドックのとき eGFR 32.84
腎生検前入院時 eGFR 32.23
腎生検後退院時 eGFR 29.40
扁桃摘出28日後 eGFR 37.53
パルス1クール後 eGFR 36.24
 担当医によれば、よくなってきているとのことだった。ただ、パルス1クールで若干数値が下がっているのが気になる。誤差あるいは通常の変動の範囲なのだろうか。いずれにせよ、パルス1クールのみでは大きな改善はなかったということなのだろう。尿潜血と蛋白尿がどうなっているのか知りたいところだ。

ステロイドパルス療法(第2クール)の状況です。
追記していきます。

[2]-1日目
・採尿・採決
・昨夜は、とてもよく眠れた。朝の体重が減った。しばらくぶりに、お腹が減った。早く、朝食が食べたい。
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間程度) 
・20:00の血糖値390
・眠剤(ベルソムラ15mg )を飲んだがあまり眠れなかった。1時間程度眠った気もするが、眠りが浅くて眠ったかどうかわからない。

[2]-2日目
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間程度) 
・夕食後、血糖値を下げる薬を服用(オングリザ錠2.5mg)
20:00の血糖値 309
眠剤(ベルソムラ15mg )を飲んだがほとんど眠れなかった。

[2]-3日目
・眠いが眠れない感じ。身体がぐったり疲れている感じ。
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(オングリザ錠2.5mg)
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間程度) 
・点滴中は、よく眠れた。スッキリした。
・20:00の血糖値 299
・夜、眠剤(ベルソムラ15mg )を飲んだ。寝つきがよく2時間ほどよく眠れた。深夜は眠れなかったが、朝方、1時間半程度眠れた。

[2]-4日目
・握力が低下しているが、気力は充実している。
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(オングリザ錠2.5mg)
・朝食後、ステロイド剤を服用(プレドニン5mg×6錠)
・数日前から、足裏に夥しい水虫ができている。免疫がなくなってきたことが原因か。皮膚科の医師が来てくれ、薬を処方してくれた(テルビナフィン塩酸塩クリーム1%)。
・20:00の血糖値 259
・夜、眠剤(ベルソムラ15mg )を飲んだ。比較的眠れた。途中起きたが、4時間以上は眠れた。

[2]-5日目
・顔中にぶつぶつが出てきた。副作用であろう。また、肌がカサカサして上半身がかゆい。
・朝食後、ステロイド剤を服用(プレドニン5mg×6錠)
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(オングリザ錠2.5mg)
・顔・首・胸・背中などの発疹が、だんだん酷くなった。休日ということで当直の医師が対応してくれた。薬疹が疑われるので、一旦、オメプラゾール錠10mg、カナグル錠100mg、オングリザ錠2.5mgを止め、点滴を打つことになった。血糖値については、この週末はインスリンで対応し、一日3回測定することになった。点滴は、薬疹を抑える薬、胃薬、ステロイドの3種類ということだ。まさか、今日もステロイド点滴になるとは。
・16:30の血糖値210
・20:00の血糖値308 
・21:00にインスリン注射をした。
・眠剤ベルソムラ15mg服用。寝つきは良かったが、深夜は眠れなかった。しばらくぶりに、足首の痺れが気になった。

[2]-6日目
・6:00の血糖値 145
顔・首・胸・背中などに発疹は変わらず、若干顔がかゆい気もする。少しのどが乾燥して痛い。
・体重が減少してきている。
・朝食後、ステロイド剤を服用(プレドニン5mg×6錠)
・担当医が来て、水虫の薬(テルビナフィン塩酸塩クリーム1%)が悪いかも入れないので、一旦使用をやめるように指示された。確かに、発心と水虫の薬は、時期的には一致する。
・14:00の血糖値 228。インスリン注射を打った。
・20:00の血糖値324、インスリン注射を打った。
・眠剤ベルソムラ15mgを飲んだ。足首の痺れはなかったが、顔の発疹のかゆさが気になって、全く眠れなかった。

[2]-7日目
・顔の発疹のかゆさが気になって、全く眠れなかった。顔はかゆいのを通り越してヒリヒリして熱い感じである。頭皮の感覚もおかしい。コンディションはかなり悪い。
・5:00に採血・採尿した。
・7:00の血糖値 100
・朝食後、ステロイド剤を服用(プレドニン5mg×6錠)
・午前中、1時間半ほど眠れた。顔がヒリヒリ燃えるような感じは治らないが、それでもだいぶ楽になった。
・皮膚科の医師が診察に来てくれたが、薬疹の可能性があるので、薬を止めて経過観察とのことだった。この酷い状況は改善されないのだろうか。
・アイスノンをもらって顔を冷やした。ヒリヒリする感じは変わらないが、少しだけ楽になった。
・14:00血糖値270、インスリン注射をした。
・また採血した。
・夕食後、抗アレルギー剤を服用。(クロルフェニラミン徐放錠6mg)
・20:00血糖値286
・インスリン注射

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気仙沼に帰ってくんだね

2021年09月23日 | 今日の一枚(A-B)
◎今日の一枚 546◎
Bobby Jaspar
Clarinescapade

 人の話はお帰りモネである。
 入院中は、BS7:30からのものを見て、さらに朝食を食べながら地上波8:00からも見るのが日課になってしまったようだ。
 先週、菅波先生がモネにぶっきらぼうにプロポーズをし、今週の話では、菅波先生が心に引っかかっていたかつての患者と和解、モネも気仙沼に帰る決意をしたようだ。モネも菅波先生も自らの挫折と和解し、物語は終末へと向かっていく。海の人は海へと戻っていくのだ。
 気になるのは、モネと菅波先生との関係だ。先週の話では、菅波先生は東京の大学病院へと帰るオファーを受けており、モネも東京で生活するような雰囲気もあった。亀島(大島)にも診療所があるので、そこに菅波先生が赴任するというのがとりあえず無難な道なのだろう。けれどもそれはあまりに短絡的というものだろう。挫折と和解し、個として自立した2人には、それぞれの道が待っている。いつか2人で暮らすことはあっても、ここはそれぞれの道を進んでほしい。それが愛ある別れとなってもである。女性が男性のために進むべき道を変えるというのは、この作品の趣旨に反するのだ。
 一方、登米の問題はどうなるのだろう。コロナ禍だが、登米市もお帰りモネで盛り上がっている。登米での展開も最後にひと花咲かせてほしいとこだ。

 今日に一枚は、ボビー・ジャスパーの1956年録音盤、『Clarinescapade』である。かつては幻の名盤言われた希少盤なのだそうだ。applemusicで見つけて聴いている。ボビー・ジャスパーはもちろん名手であり、なかなか渋い演奏を聴かせるサックス奏者だが、私にとってはブロッサム・ディアリーの元夫という印象が強い。ブロッサムのアルバムでも、テナーサックスのほかクラリネット、フルートと、その多芸ぶりを披露していたが、このアルバムでもそれらの達者な演奏が展開される。
 最近、比較的新しいジャズを聴いていたので、古風で渋いアルバムと感じてしまう。けれども、古風なアルバムもいい。心が落ち着く。入院中だが、ウイスキーを飲みたい心持ちになった。退院したら是非そうしよう。ウイスキーを飲みながら、このアルバムを聴こう。バーボンでいい。メイカーズマークを小さなウイスキーグラスに注ぎ、ロックで飲みたい。

Bobby Japar(ta, fl, cl), 
Tommy Flanagan(p), 
Nabil Totah(b), 
Elvin Jones(ds), 
Eddie Costa(p),
 Barry Galbraith(g), 
Milt Hinton(b),
 Osie Johnson(ds)

ただ本を読む

2021年09月21日 | 今日の一枚(Q-R)
◎今日の一枚 545◎
Ron Carter
The Man With The Bass
 入院中である。昨日はしばらくぶりによく眠れたが、ステロイドの副作用で眠れない夜が続いた。夜も昼も眠っていないのに、全然眠くならないのだ。ベットに横たわって目をつぶり、眠る努力をしてもダメな時は、あきらめて起きることにした。椅子に座り、静かな暗い闇の中で本を読むのだ。kindleのフロントライト機能のおかげで暗闇の中でも本を読むことができる。昨夜は、ヴォネガットの『スローターハウス5』を読み終え、『母なる夜』に取りかかった。役に立てようとか、何かの資料にしようとか、そういう余計な考えをもたず、ただただ本を読む。まるで学生時代のようにだ。そういえば、こういう読書体験はしばらくぶりだ。そもそも、じっくり小説を読んだことなどここしばらくなかった気がする。
 入院の効用である。

 今日の一枚は、ロン・カーターの『ザ・マン・ウィズ・ザ・ベース』、1985年作品である。今も、自宅のレコード棚のどこかに眠っているはずだ。Apple musicで聴こうと探したが、見当たらない。どうも、オリジナル盤ではなく、例のサントリーホワイトのCMに使われた2曲を軸に、他のアルバムから数曲を摂った日本盤のコンピレーションアルバムだったようだ。仕方がないので、you tubeでdouble bass を聴いた。ベースもさることながら、ピアノの響きがいい。私は、このアルバムでケニー・バロンというピアニストを知ったのだった。今ではケニー・バロンはお気に入りのピアニストだ。その意味でも忘れ難いアルバムである。
 サントリーホワイトのCMには、ハービー・ハンコックが出演したものもあった。もっと以前には、サミー・デーヴィス・ジュニアのものもあった。お洒落で、センスのいいCMだったと思う。もう、ああいったCMを作る社会の余裕はないのだろうか。

IgA腎症と私⑨

2021年09月21日 | IgA腎症と私
(9)ステロイドパルス療法
(第1クール)

ステロイドパルス療法(1クール)の状況です。

[1]-1日目
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間半程度)
・昼食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・身体が何となく汗ばみ、ぽかぽかした感じがした。
・夕食後、チョコレートを食べてしまったこともあり、20:00の血糖値が320を超えた。1時間後の測定でも280台だった。(後日、主治医はステロイド点滴日に300を超えるのは想定内だと言っていた。)
・夜は眠れなかった。全く眠気がこず、2:00頃に寝たようだが4:00前に起きてしまい、その後は全然眠れなかった。意識も目もはっきりという感じだった。

[1]-2日目
・不眠のせいか、やや頭痛がする。
・朝、血糖値は190台まで下がっていた。
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間半程度)
・昨夜の不眠のせいか、点滴中に快眠、あっという間に終了。
・身体が熱っぽいことなどなく、調子よかった。
・夜、眠剤(ベルソムラ15mg)をもらう。初体験。トイレに起きたが、比較的眠れた。
・20:00の血糖値は248

[1]-3日目
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・ステロイド剤500mgの点滴(2時間半程度)
・点滴中も比較的眠れた。
・終了後、点滴針を抜いてもらった。点滴した場所が痛み、やや腫れていた。夜、アイスノンをもらって冷やした。
・点滴後も、比較的身体の調子は良かった。
・20:00の血糖値346(カルシウム補給のため、午後にかっぱえびせんを食べたのが災いしたか?)
・寝つきは良かったが、0:00頃トイレに起きてからは眠れず、Kindleで読書し、3:00頃から眠れた(6:00起床)。
・血栓症予防のため、水を多く飲んでいるので、どうしてもトイレの回数は増えるようだ。

[1]-4日目
・体重が増えてきている。
・点滴した場所の腫れは引いたが、押せば痛い。
・朝食後、経口ステロイド剤を服用(プレドニン錠500mg×6錠)
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・20:00の血糖値236
・不眠、多尿傾向、足首の痺れ。

[1]-5日目
・体重増加傾向
・朝食後、経口ステロイド剤を服用(プレドニン錠500mg×6錠)
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・昼間も全然眠れず
・20:00の血糖値231
・夜、眠剤(ベルソムラ15mg)をもらって飲んだ。眠ったり起きたりという感じ。眠りは浅いが、とりあえず交感神経は休ませた感じはする。
・足首付近の痺れ。

[1]-6日目
・体重は少し減った。
・朝食後、経口ステロイド剤を服用(プレドニン錠500mg×6錠)
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・昼間は少しうとうとしたこともあったが、眠れなかった。
・血糖値がやや高いので、明日から血圧の薬を休止して、血糖値を下げる薬を服用することになった。
・20:00の血糖値255
・ほとんど眠れなかった気がする。少しは眠ったのかもしれないが、眠りが浅いようで眠ったのかどうかもわからない。
・足首付近の痺れがなくならない。足の皮膚感覚がおかしい。手の握力がなく、強く握れない。

[1]-7日目
・朝食後、経口ステロイド剤服用(プレドニン錠500mg×6錠)
・朝食後、胃薬服用(オメプラゾール錠10mg)
・朝食後、血糖値を下げる薬を服用(カナグル錠100mg)
・午前中、少しだけ眠れた。眠りは浅かったが、頭はすっきりした。
・20:00の血糖値225
・眠剤(ベルソムラ15mg)を飲んだが、しばらくぶりにとてもよく眠れた。
・寝る時間頃には、足の痺れはかなり引いた。

※ステロイドパルス療法を始めてから、足首あたりの違和感(痺れ)が続いた。webで調べてみると、糖尿病の初期症状として手足の痺れがあるようだ(糖尿病性神経障害)。ステロイド糖尿病というなのだろうか。

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Kindleはなかなかいい

2021年09月19日 | 今日の一枚(K-L)
◎今日の一枚 544◎
Larry Carlton
Alone / But Never Alone
 入院中である。今回は廉価なkindleを購入して病室にもちこんだ。入院にはkindleはなかなかいい。病室に居ながらにして本を手に入れることができる。実際使ってみてわかったことだが、本を読むことに集中できるのだ。読書を妨げるような余計な機能が付属していないこともあるが、文字の大きさを変えることでページの字数が少なくなるところがいい。少ない字数のページを次々めくっていくことで、いつのまにか読書が進んでいく。本を所有するということから自由になれるところもいい。物欲から解放され、形のない本の内容だけを求めるようになる。入院してから、日本近代史の本を一冊、中世史の本を二冊読み、昨日は村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだ。今日は、しばらくぶりにカート・ヴォネガットの作品を何冊か読み返そうと思い立ち、とりあえず『スローターハウス5』と『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』をダウンロードした。余裕があったら、村上春樹訳のレイモンド・チャンドラーの作品も読んでみたいなどと目論んでいる。

 今日の一枚は、ラリー・カールトンの1986年作品、『アローン/バット・ネヴァー・アローン』である。自宅のレコード棚のどこかに、きっと今も眠っていることだろう。Apple musicで聴いて、身体にしみ込んできた。そんな意識はなかったのだが、相当聴き込んだのかもしれない。フレーズの一つ一つが、サウンドの細部の濃淡が、私の中で鮮やかに蘇った。335を封印し、全編アコースティック・ギターを使ったそのサウンドは、優しい、乾いた哀感に溢れている。ハードで苦しいこともあったその時代の私を癒したそのサウンドが、今、病室の私を癒してくれる。
 退院したら、その秀逸なジャケットを玄関ホールに飾ろうかと考えた。

金融緩和じゃダメなんだ

2021年09月18日 | 今日の一枚(C-D)
◎今日の一枚 543◎
Charlie Haden & Gonzalo Rubalcaba
Tokyo adagio
 自民党総裁選挙である。アベノミクスならぬ〇〇ノミクスなどといい、効果のない大規模金融緩和を続けようとする候補が目に付いた。いい加減、考えてもらいたい。《失われた30年》、いや失われっぱなしの日本経済じゃないか。「異次元の金融緩和」などといっても、目標のインフレ率2%にも遠く及ばない。通貨量が足りないのだ。そして、金融緩和ではもはや通貨量の増大は望めないのだ。

 金融緩和とは、「買いオペレーション」のことだ。日本銀行が民間銀行の保有する国債を買い入れて、代わりに貨幣を供給する。ところが、そのお金は準備預金として日銀当座預金に繰り入れられるのだ。

 ところが、これらの日銀当座預金は必ずしも民間への貸し出しには回らない。民間の銀行は別の原理で貸し出しをしているからだ。それが《信用創造》というものであり、いわば無から貨幣を創造して貸し出すやり方だ。たとえば、民間銀行が帳簿に100万円と記入すれば、貸し出しとしてのお金が作り出されるのだ。民間銀行が勝手にお金を作っているに等しい。つまり、金融緩和によって準備預金として当座預金に積み上げられたお金は、そのまま世の中には出回らないのだ。これはマネーサプライ(マネーストック)とはいわない。 

 ところが、自民党の連中は、マネタリーベースという言葉を使い、準備預金としての日銀当座預金を含めたお金の量が増えたと議論をすり替えている。実際には、マネタリーベースは増大しても、マネーサプライはあまり増えないという事になる。さらに、世の中に出たお金も、内部留保として企業がため込み、国民にはさっぱりいきわたらない。。したがって、賃金は上昇せず、消費需要も増大しないということになる。銀行と企業が、国民に渡るはずのお金をせき止めていることになる。

 今、必要なことは、政府が国民にお金を配ることで世の中に出回るお金の量を増やし、消費需要を増やすことだ。

 今日の一枚は、チャーリー・ヘイデン&ゴンザロ・ルバルカバの『東京アダージョ』である。2015年リリース作品だが、2005年のブルーノート東京でのライブ音源である。2014年のチャーリー・ヘイデンの他界を契機にリリースされたもののようだ。チャーリー・ヘイデンは、ピアニストやギタリストと多くのデュオ作品を残したが、その多くが佳作いや名作である。チャーリー・ヘイデンのデュオ作品はすでにそれなりに所有しているが、すべて集めたいと思うほどだ。それにしても、ゴンザロ・ルバルカバというピアニストは、なぜこんなにも美しい音色を出すことができるのだろう。その澄んだ響きは、チャーリー・ヘイデンの深く沈むベースと絶妙にマッチする。耳を澄まし、目をつぶって聴いてしまう。このライブが東京で行われたことを知るにつけ、そこに自分がいなかったことが悔やまれるほどだ。

深夜、静かに音楽を聴いた

2021年09月17日 | 今日の一枚(G-H)
◎今日の一枚 542◎
畠山美由紀
Song Book #1
 入院中である。ステロイドパルス療法の副作用で不眠傾向だ。昨夜は寝つきは良かったが、0:00過ぎにトイレに起きてしまった。血栓症予防のために水を多く飲んでいるため、どうしてもトイレは増えるようだ。トイレの後、なかなか眠れなかった。諦めて起き、暗く静かな病室の中でKindleで本を読みながら、Apple Musicで音楽を聴いた。今回は、以前購入し使っていなかったJBLのbluetooth スピーカーを持参したので、ちょっとだけ音はいいようだ。
 聴いたのは、私の住む気仙沼市出身のボーカリスト、畠山美由紀の『Song Book #1』と題されたアルバムだ。2021作品である。Apple Musicの「あなたにおすすめ」のNew Music Mixにこのアルバムに収録されている「星めぐりの歌」があったのがきっかけだ。そこからすぐアルバムに跳べるのだ。
 このアルバムは、来年デビュー20周年を迎える畠山美由紀の初のセルフプロデュース作品となるカヴァーアルバムらしい。コロナ禍の中、全曲自宅録音を重ねて完全リモートで制作されたもので、 ギタリストの小池龍平とピアニストの片木希依が参加したアコースティックな作品である。
 深夜の暗く静かな病室にはまったくふさわしい音楽だった。ギターの伴奏で、闇の中でささやきかけてくるような歌声が好ましい。ギターはガットギターのようだ。柔らかく、優しく、落ち着いた響きである。「わが美しき故郷よ」のセルフカヴァーには、はっとさせられた。ストリングスを排したサウンドの、ボーカルを前面に出したよりダークでスモーキーな歌唱からは、直截的に語りかけてくるような優しさを感じる。この曲の「そして街中が色めき立つみなと祭りの夜 打ち上る花火に夢を見たよ」という歌詞には共感を禁じ得ない。
 結局、3時過ぎまで断続的に聴き、読んでいた久保田哲『明治十四年の政変』も終わり近くまで進んだ。

IgA腎症と私⑧

2021年09月15日 | IgA腎症と私
(8)ステロイドパルス療法について
 月曜日に入院した。ステロイドパルス療法を行うための予定された入院である。前回の退院から18日間自宅で生活し、仕事にも復帰した。もう少し仕事が落ち着いてからと考えていたが、進行が速い気がするので、思い切って入院を決断した。7月末から、今回で3度目の入院である。 
 入院初日の月曜日には、胸部・腹部レントゲン、心電図、採決、採尿の検査があり、担当医師・看護師・薬剤師からそれぞれステロイドパルス療法についての方法や意義、副作用についての説明を受けた。ここではその概要を記す。

1)ステロイドパルス療法について
 ステロイドパルス療法は、《ステロイド》という薬を大量に投与する治療である。ステロイドにはおおまかにいうと、
(a)炎症反応そのものを抑える、
(b)炎症を引き起こしている免疫異常を抑える
という作用があるそうだ。特に(a)の作用には大量のステロイド投与が必要になるという。
 私の罹患しているIgA腎症は、本来自分を守るために身体の中に存在している抗体や白血球が自分の身体(腎臓)の組織を攻撃する自己免疫反応である。この異常な免疫をやっつけ、免疫反応を改善させる目的で、ステロイドパルス療法を行うという。

2)ステロイドパルス療法の実際
 ステロイド剤の点滴を3日間連続で行い、その後経口ステロイド薬を4日間服用する。これを1クールとして、通常3回繰り返す。したがって、3週間必要となる。ただし、治療の効果や個人差により、1回クールのときもあれば、5クールのときもあるという。

3)ステロイドパルス療法の副作用
 担当医師は、可能性のある大きな副作用として次のものを挙げた。
①感染症、
②胃潰瘍、
③糖尿病(高血糖)、
④血栓症、
⑤骨粗鬆症、
⑥白内障・緑内障、
⑦不眠症
 対処法として、次のような説明を受けた。
①にはマスク、手洗い、うがいの励行、
②には毎朝食後に胃薬(オメプラゾール錠)の服用、
③には毎晩20:00血糖値測定(場合によってはインスリン投与)、
④には水分を多めに補給すること、
⑤には転倒などに気を付けること、
⑥には眼科の先生の尽力を得る、
⑦には睡眠薬を使うこともできる、

 また、ステロイドパルス療法中に生じやすい症状として、次のようなものがあるとの説明を受けた。
●食欲増進、
●動悸、
●しゃっくり、
●イライラ、
●不眠、
●体重増加、
●顔が赤くなる

 さらに、ステロイドパルス療法が終了してから生じやすい症状として、以下のことについて注意すべき点の説明を受けた。
●感染しやすい(風邪などをひきやすい)、
●ニキビがてきやすい、
●顔が丸くなる(ムーンフェイス)
●消化性潰瘍
●肥満
●高血糖

 ステロイドパルス療法中の注意点ついて以下ような説明があった。
●通常2時間半~4時間程度かけて行うが、動悸の症状があるときはさらにゆっくり点滴する。
●入浴(シャワー)は、点滴開始前か点滴後2時間以上経過してからにすること。
●ほてり感があるときは、アイスノンを使用できる。
●ニキビは洗顔により清潔にすることが第一だが、ニキビの化膿を防ぐ効果のあるローションやクリームなどの塗り薬を処方も可能である。
●感染予防のためのマスク、うがい、手洗いを励行する。
●イライラや不眠があるときは、安定剤の処方を主治医が考える。
●パルス療法中は、プレドニン(ステロイド経口薬)は内服しない。

 次回からは、私自身のステロイドパルス療法体験についてレポートする。

●IgA腎症と私① →こちら
●IgA腎症と私② →こちら
●IgA腎症と私③ →こちら
●IgA腎症と私④ →こちら
●IgA腎症と私⑤ →こちら
●IgA腎症と私⑥ →こちら
●IgA腎症と私⑦ →こちら


IgA腎症と私⑦

2021年09月15日 | IgA腎症と私
(7)一喜一憂する患者の私
 私のeGFRが改善しているらしい。らしい、というのは、担当医から正式に説明してもらった訳ではないからだ。
 今日、管理栄養士が病室を訪ねてきた。食事についてのヒアリングのためである。その話の中で、「腎機能、改善してきてますよね。」といわれた。eGFRがどれぐらいか聞いてみると、46ぐらいだという。驚きである。感動である。うれしくて、思わず笑顔になってしまった。院内のコンビニに買い物にいくとき、ルンルン気分でスキップをしたくなったほどだ。もちろん、ぐっとこらえてやらなかったが・・・(後日知らされた正確なeGFRは、37.53であった。改善したことに間違いはないが、46で喜んでいた私にとっては、ぬか喜びとなった。)。
 「IgA腎症と私⑥ 右往左往する患者の私」で記したように(→こちら)、私のeGFRは7月の人間ドックでは32、その後8月にやった腎生検の後には29まで下がっていたのだ。eGFRとは、血液中のクレアチニンという老廃物の量から性別や年齢を加味して算出した指標であり、腎臓が何%機能しているかを表すものだ。もちろん、46は人間ドックでは★マークに変わりはないが、32や29だったことを考えるとGiant Stepsだ。このデータは、昨日の採決からのものなので、まだステロイドパルス療法は行っておらず、8月に行った扁桃摘出の成果だと考えられる。今日から、ステロイドパルス療法が始まった。腎機能がどれぐらい改善するか、楽しみである。不自由で、退屈で、重い気持ちの入院生活だが、少しだけ希望が見えてきた。
 ところがである。ステロイドパルス療法初日を終え、夕食後の8時に血糖値を測ると、何と320を超えていた。ショックである。昨日は155だったのだ。1時間後に再び測ったが280台だった。血糖値の上昇=糖尿病の危険は、ステロイドの副作用の1つなのだ。ひどい場合にはインスリンを投与するという。eGFRがちょっと改善したのをいいことに、夕食後チョコレートを食べたのがいけなかった。今夜は何度か血糖値を測らねばならないようだ。明日からは、気を引き締めよう。
[追記] 
 翌朝、血糖値は190台に下がったが、満腹時と空腹時という違いもあり、何とも言えないところだ。ステロイドパルス療法の副作用と私の場合については、後日レポートしたい。

●IgA腎症と私① →こちら
●IgA腎症と私② →こちら
●IgA腎症と私③ →こちら
●IgA腎症と私④ →こちら
●IgA腎症と私⑤ →こちら
●IgA腎症と私⑥ →こちら

今日からまたApple Music生活

2021年09月14日 | 今日の一枚(K-L)
◎今日の一枚 541◎
Kenny Burrell
At The Five Spot Cafe
 昨日、入院した。ステロイドパルス療法を行うための予定された入院である。入院するのは、7月末から3度目である。そんな訳で、今日からまたApple  Music生活である。今回は、これまでの反省から、レンタルで無制限のポケットwifiを用意した。Apple  Musicもいちいちデバイスに保存しなくても、思う存分聴けるという訳だ。
 前回の退院から18日間自宅で生活した。仕事にも復帰し、これまでのたまっていた事務的なことを片付け、これからのことを同僚に任せられるように段取りをつけた。毎日残業だったが、我ながらテキパキとよく働いたと思う。仕事というものは、一旦復帰すると次々にやるべきことができ、なかなか抜けられなくなるものだ。病気の進行もやや早いかもしれないということで、思い切って入院に踏み切った。
 今日の一枚は、『ファイブスポットのケニー・バレル』である。1959年録音のライブ盤だ。こういうケニー・バレルは好きだ。しばらくぶりに聴いたが、1曲目からノリノリだ。あんまり気もちよくて、思わず顔がほころんでくる。身体がというより、細胞が音楽に同化している感じなのだ。アート・ブレイキーのドラムが、いい感じのノリを作り出している。
 最近、ジャズギターを学びたいと思うようになった。若い頃、結構まじめにギターを弾いていた。ブルースギタリストを自認していた。ジャズのイデオムはわかるようでわからない。ある意味単純なブルースに比べると、かなり難しそうだ。古いエレクトリックギターもあるが、とりあえずは先日買ったエレガットで弾いてみたい(→こちら)。年齢とともに飽きやすくなってきておりいつまで続くかわからないが、軽い気持ちで練習したいと思っている。ケニー・バレルは、真似してみたいギタリストの一人だ。
 [パーソネル]
Tina Brooks (ts, 1~4)
Kenny Burrell (g)
Bobby Timmons (p, 1~4)
Roland Hanna (p, 5~8)
Ben Tucker (b)
Art Blakey (ds)

エレガットを買った!

2021年09月01日 | 今日の一枚(A-B)
◎今日の一枚 540◎
Boz Scaggs
Silk Degrees
 
 ギターを買った。エレガットである。エレクトリック・ガット・ギター。ガット・ギターに増幅用のピックアップが付いたものだ。高価なギターではない。もう高価なギターは必要ないと思っている。ハードケース付きで54,800円。フランスのメーカー、Lag社のTN270ACEというギターだ。
  一年ちょっと前に、ジャパニーズ・ビンテージ、YAMAHAのダイナミック・ギターを発見し(→こちら)、やめて久しかったギターを再び弾くようになった。以来、ナイロン弦の音色に魅了されている。入院中、土門秀明などの演奏をYou Tubeやapple Musicで発見して聴いているうちに、エレガットが欲しくなった。数日前に通販で購入し、今日届いた。新しいギターを購入したのは、20数年ぶりである。
 今日の一枚は、ボズ・スキャッグスの1976年リリース盤『シルク・ディグリーズ』である。AORの名盤である。ボス・スキャッグスのアルバムを買ったことはない。というか、アルバムを聴いたことがなかった。1980年代前半の学生時代、FMラジオではよく「ウィー・アー・オール・アローン」がかかっていた。ただ、その頃の私は、コルトレーンなどのジャズを聴いており、軟弱なAORなど女子供の聴くものだと虚勢を張っていた。でも本当はいい曲だと思っていたのだ。その時代のヒット曲かと思っていたら、1976年リリースだったのですね。退院後、ギターで「ウィー・アー・オール・アローン」をソロで弾いていて、原曲のニュアンスが知りたいと思い、apple musicでダウンロードしてみた。「ウィー・アー・オール・アローン」はやはりいい曲だと思ったが、他の曲を、アルバムを通して聴くのは、はっきり言ってつらいと思った。音楽を受け入れる共通のコードのようなものがないのだろうか。もっと若い頃、同時代に素直に聴いていれば、好きになれただろうか。私がAORを受け入れたのは、大学時代も終わりに差し掛かった頃、マイケル・フランクスに出会ってからだった。
 
 エレガットを買ったことは、まだ妻には言っていない。明日は、練習用のギターアンプが届くはずだ。妻は怒るだろうか。ちょっと、怖い。