WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

基本的人権の保障を第一条に

2021年05月03日 | 今日の一枚(I-J)
◎今日の一枚 500◎
John Coltrane
Giant Steps
 憲法記念日である。今朝の新聞には護憲派の巨大な意見広告が載っていたが、国民アンケートをみると、改憲支持が改憲反対を上回っているらしい。現在の改憲論は、保守派というというより右派によって担われ、第9条が主に俎上に載せられることが多い。けれども、私は本当に重要なのは第1条なのだと考えている。第1条は「天皇」の条項であり、象徴天皇制が宣言される中で、「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く 」と国民主権が付け足しのように位置付けられるのだ。これは、日本国憲法が大日本帝国憲法の改正として成立した事情によりおこったことだが、やはり歪んでいる。
 日本国憲法の三大原則として「基本的人権の保障」「国民主権」「恒久平和主義」があげられるが、この3つは本来並列的に並べられるべきものではなかろう。一番重要なものは、いうまでもなく「基本的人権の保障」であり、「国民主権」と「恒久平和主義」はそれを実現するための手段として位置付けられるべきものである。ところが、「基本的人権の保障」が登場するのは、前文を除けば、なんと第11条なのだ。私が、「基本的人権の保障」の条項を第1条にと考える所以である。
 尚、高校教科書では、「基本的人権の保障」と記されているが、中学校教科書では「基本的人権の尊重」と格下げされた表現となっているようだ。まことに、残念なことである。

 今日の一枚は、ジョン・コルトーンの1959年録音作品『ジャイアント・ステップス』である。還暦をあと数年後に控えても、時々、大音響でコルトレーンを聴きたくなる。学生運動世代には人気があったというコルトレーンであるが、現在の純正ジャズファンからは悪口をいわれることが多くなったようだ。にもかかわらず、やはり私はコルトレーンが好きだ。タイトル曲Giant Steps の爽快なスピード感に、Naimaの哀しみを湛えた美しさに心を奪われる。
 シーツ・オブ・サウンド。時間と空間を音で敷き詰めてしまうかのように、高速で16分音符を基調としたフレーズを吹きまくるコルトレーンの奏法のことだ。音楽というものが音と無音によって成り立っていることを考えるとき、コルトレーンは音楽そのものを否定しようとしたのではないかとふと思うことがある。その後のコルトレーンの歩みを見るとき、あながち的外れではないかもしれない、と思うのは 私だけだろうか。


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1 コメント

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Unknown (刮目天 一(はじめ))
2021-05-03 12:11:18
>日本国憲法が大日本帝国憲法の改正として成立した事情によりおこったことだが、やはり歪んでいる。

わたしも最近までそのように思っていましたが、これがウソだという証拠が分かって、戦後教育の欺瞞にアタマにきました!m(__)m
改正したものならば名称はそのまま同じでなければおかしいですから、全く別物です!8月敗戦革命の結果だったと考えると合点が行きますが、日本国民が日本国民のために作ったわけではなかった!日本を滅ぼすために押し付けられたらものですから衝撃的ですね(`_´)
詳しくは拙ブログにありますので、よろしければご意見下さい!突然お邪魔しました(^^;)
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